コーポ小林事件

２

燃え尽きてしまった私とは違い、先輩は今でも熱い男だ。
メラメラと音がしそうな先輩と燃え尽きてしまった私。
平均すればいいコンビではないか。
世の中には平均すれば全ての人類は１つずつ玉を持っているそうだし。
３つ上の先輩も私と同じように高校を卒業後警察官になったので、私の気持ちを理解してくれるかと思えばそうでもない。
というか、私も怜さんのことがなければきっと熱い女だったのかもしれない。
熱い女＝ホットな女、いいではないか、楽しそうではないか。
こんなことで燃え尽きてしまうなんて思わなかった。
とは言っても、私が燃え尽きてしまったことは理解してるようで、よく稽古には誘ってくれる。
女だから武器を使えと言って剣道。
私は柔道派だが、断れないので仕方がなくやっているが気持ちは乗らない。
周りは虚偽の通報がショックだったと思っているので、元気出せよというように見守ってくれている。
稽古に行く度に思うが先輩は警察官でなければ体育教師だろう。
思いっきり熱いやつ。
卒業式で不良のことを思い涙ぐむやつ。
最近は絶滅危惧種のやつ。
他人の気持ちは理解しているのかはわからないが本当に悪気はないやつ。
全員にいいところがあると本気で信じているやつ。
まぁ、先輩の説明はこの辺にしておく。
私には世間が燃え尽きた灰が降り注いで色褪せているが、先輩は鮮やかに見えているのだろうか。
それとも全体的に赤みがかってるのだろうか。
最後になったが、先輩の名前は【本宮 大悟(もとみや だいご)】、周りには大悟と呼ばれている。

そろそろ事件について説明していこうと思う。
今回の事件は比較的簡単だ。
簡単と言っても殺人事件なので気を引き締めていこう。
初めに言うが、被疑者つまり犯人は捕まっている。
だが拘置所にいるわけではない。
今は病院にいる。
怪我はしてないが衰弱気味なのと、精神的に拘置所ではちょっとというやつだ。
事件の概要としては、子殺しについての事件だ。
病気の子供で２４時間の介護が必要な子供を放置して殺したのだ。
殺したというと直接手を下したというイメージになるかもしれないが、今回は命の危機にあったのに放置して死に至らせたとうことだ。

母親＝被疑者は３８歳で16年間長男の介護をしていたそうだが、限界が来て逃げたが、我にかえり家に戻ると長男が亡くなっていたとのことだった。
病院にいるので事情聴取の時間があまり取れないので、全容解明には時間が掛かりそうだ。
名前は【来生敦子（きすぎ あつこ）】

被疑者の長男＝被害者は16歳で生まれたときから障害があり人工呼吸器をつけていた。
定期的に痰の吸引が必要だったが、今回は母親がいなかったため窒息死したとみている。
今は母親の証言が本当か、それとも外部からの危害があったかを調べるために解剖を待っているところだ。
名前は【来生康隆（きすぎ やすたか）】