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50話 7人の仲間
「結局さ、あのグレイって奴は悪魔ってことなの?」
モノクルスの会議室で広いソファーに寝そべりながら、ルルがそう言った。
その足元にはリックが座り、ソファー前のローテーブルに彼の愛器であるハンドガンが解体されて置かれている。
彼はその部品の一つを摘まみ上げると、手に持ったクロスで丁寧に拭きあげていった。
「さぁね、でもさ、俺はちょっと可哀想になったよ」
リックは手慣れた様子で吹き上げた部品を組み上げていく。
「器用ね相変わらず」
「自分の命を預けてるんだし、当然だろ?ルルが雑すぎるの」
「マシューズがメンテしてるもの」
「自分でやると愛着が違うよ、なぁウコン」
話を振られたウコンは丁度、茶葉を入れた"キュウス"なるサーバーから"ユノミ"なるカップに"リョクチャ"なるグリーンティーを注ぎ終えたところだった。あれを飲むのはここではウコンとロッドだけだ。
「俺は虎徹を誰にも触らせたくない」
「刀に名前を付ける感覚って理解できないわぁ」
ルルはそんなウコンに嫌そうに顔をしかめる。
「そうか?俺はわかるよ。それに日本の名刀にはほとんど名前が付いてるんだぜ?」
リックが擁護するが、ルルはまだ共感できない様子で首を傾げる。
「へぇ・・・じゃあ私のもポールとか名付けようかしら?」
「やめとけ・・・なんかお前がやったら違う気がする」
「ロッド!あんた酷くない?」
ロッドはウコンからグリーンティーを受け取ると、肩を竦めた。
「で、可哀想って、あの化け物が哀れだって事か?」
先ほどの話をロッドは蒸し返した。どうもモノクルスたちは話の流れを途絶えさせるのが上手い。みんな好き勝手な事ばかり言うからだ。
「だって、ウィリアムやギルバートと同じ特別なディアヴァルだっていうのにさ、もうやってる事にどこにも人間らしさがないじゃん。それに、あんなふうになってまで生きたいと思う?」
リックはそう言って、組み上がった銃のバレルを引き、撃鉄を確かめると気が済んだのかテーブルに銃を戻す。
「悪魔に乗っ取られた人間は皆寂しいのさ」
マシューズが本から顔を上げると唐突に言った。黙って読書をしていると思っていたが、どうやら話は聞いていたらしい。
「グレイが悪魔そのもので、彼に魅入られた寂しい人間や弱い人間が魔物になってしまうのかもね」
「ウィリアムのように?ってこと?」
ルルが言うとマシューズは首を傾げた。
「彼の過去はあまり知らないよ。彼は自分の事を話さないから。けれど、ウィリアムは優しい”人”だ」
「だから、魔物になったのかもな」
ロッドがしみじみと言った。
「ウィリアムもギルバートも、彼らは彼らだ。モノクルスだ。それだけで十分だ」
ウコンの言葉にロッドは頷く。
「二人がいなかったから俺たちは皆とっくに死んでいただろう」
「それは間違いないけど、彼らをこちら側に引き留めていた大きな要因は君たちだと思う」
マシューズは皆を見回す。
「私たち?」
「君たちが二人を仲間と認めたから、彼らはこちら側に居てくれているんだよ」
マシューズが本を膝に置き、言葉を続ける。
「グレイを見て僕はわかった。彼らは群れなくても生きられる生物だ。人より遥かに強いし、死なないし年も取らないんだから。けれど二人は人との共生を望んだ。それはとても稀有な事だと思う。もしかすると、こういうのを神の配材というのかもしれない」
「神様ねぇ・・・私はよくわかんないわ」
ルルが言うと「その恰好で神の事をわからないって言いきるのはちょっと不敬すぎない?」とリックが笑った。
「あんた信じるの?」
「う~ん。信じているというよりは、信じたい。かな?けどそういうものじゃないの?神の配材が気に入らないなら、運命って事でどう?」
「その方がすっきりするわ」
ルルはソファーから起き上がってう~んと伸びをした。
「で?肝心のあの二人は?」
「部屋に閉じこもってるよ」
再び本に目を通しているマシューズの言葉に、ルルは心底呆れた顔をする。
「まだ出てこないわけ?もう3日過ぎてるんだけど!?」
「呼んでくれば?」
リックののんびりした言葉に「絶対嫌よ!」とルルは叫ぶ。
「あんた、あの二人がああなってる時のあの部屋に近づけると思ってんの!?マシューズがあれだけ分厚いコンクリートで覆ってるからいいけどさ」
「おかげで声も聞かずに済むな」
ロッドの言葉にマシューズが本から顔を上げて笑った。
「そういうつもりで創った部屋じゃないけどね」
「いいなぁ、俺も誰かと愛し合いてぇ・・・」
リックの言葉にウコンが「興味がないな」と答える。
「せめてデートしたい、デート。デートじゃなくても遊びに行きたい!なぁウコン、どっか俺といく?」
「どうして俺なんだ、断る」
「えぇ・・・だってマシューズは子持ちのおっさんだし、ロッドは、ちょっと・・・」
「あんた、ここの紅一点は誰だと思ってんのよ」
「ルルは・・・えっと、ルルは素敵だけど、一緒に出かけるとめんどくせ・・・ちょっと、ぃてえ!」
ぱかり!とルルはリックの頭を叩いて「私の方から願い下げ」と吐き捨てる。
「だからさ~ウコン、遊びに行こうよ~」
「いやだ、デート相手ぐらい自分で見つけろ」
「じゃあウコンとデートする」
「は?」
ウコンが素っ頓狂な声を上げた時、マシューズのモバイルが鳴った。
緊急用の回線だ。
「ウォードだ」
マシューズの声に皆が立ち上がる。
「はい、うん、わかった、詳細を送ってくれ。では後ほど」
簡単な会話でマシューズは電話を切った。
「さぁ仕事だ」
マシューズの言葉に皆が頷く。
「で、あいつらはどうすんの?」
ルルの言葉にマシューズはため息をつく。
「呼ぶよ、あぁ、またギルバートの不機嫌な声を聞く羽目になるんだ・・・」
「がんばれよ」
ロッドが人ごとのように言ってマシューズの肩を叩く。
嫌だなぁ・・・とぼやきながら、マシューズはウィリアムの部屋のスピーカーに繋がる回線を繋いだ。
モノクルスの会議室で広いソファーに寝そべりながら、ルルがそう言った。
その足元にはリックが座り、ソファー前のローテーブルに彼の愛器であるハンドガンが解体されて置かれている。
彼はその部品の一つを摘まみ上げると、手に持ったクロスで丁寧に拭きあげていった。
「さぁね、でもさ、俺はちょっと可哀想になったよ」
リックは手慣れた様子で吹き上げた部品を組み上げていく。
「器用ね相変わらず」
「自分の命を預けてるんだし、当然だろ?ルルが雑すぎるの」
「マシューズがメンテしてるもの」
「自分でやると愛着が違うよ、なぁウコン」
話を振られたウコンは丁度、茶葉を入れた"キュウス"なるサーバーから"ユノミ"なるカップに"リョクチャ"なるグリーンティーを注ぎ終えたところだった。あれを飲むのはここではウコンとロッドだけだ。
「俺は虎徹を誰にも触らせたくない」
「刀に名前を付ける感覚って理解できないわぁ」
ルルはそんなウコンに嫌そうに顔をしかめる。
「そうか?俺はわかるよ。それに日本の名刀にはほとんど名前が付いてるんだぜ?」
リックが擁護するが、ルルはまだ共感できない様子で首を傾げる。
「へぇ・・・じゃあ私のもポールとか名付けようかしら?」
「やめとけ・・・なんかお前がやったら違う気がする」
「ロッド!あんた酷くない?」
ロッドはウコンからグリーンティーを受け取ると、肩を竦めた。
「で、可哀想って、あの化け物が哀れだって事か?」
先ほどの話をロッドは蒸し返した。どうもモノクルスたちは話の流れを途絶えさせるのが上手い。みんな好き勝手な事ばかり言うからだ。
「だって、ウィリアムやギルバートと同じ特別なディアヴァルだっていうのにさ、もうやってる事にどこにも人間らしさがないじゃん。それに、あんなふうになってまで生きたいと思う?」
リックはそう言って、組み上がった銃のバレルを引き、撃鉄を確かめると気が済んだのかテーブルに銃を戻す。
「悪魔に乗っ取られた人間は皆寂しいのさ」
マシューズが本から顔を上げると唐突に言った。黙って読書をしていると思っていたが、どうやら話は聞いていたらしい。
「グレイが悪魔そのもので、彼に魅入られた寂しい人間や弱い人間が魔物になってしまうのかもね」
「ウィリアムのように?ってこと?」
ルルが言うとマシューズは首を傾げた。
「彼の過去はあまり知らないよ。彼は自分の事を話さないから。けれど、ウィリアムは優しい”人”だ」
「だから、魔物になったのかもな」
ロッドがしみじみと言った。
「ウィリアムもギルバートも、彼らは彼らだ。モノクルスだ。それだけで十分だ」
ウコンの言葉にロッドは頷く。
「二人がいなかったから俺たちは皆とっくに死んでいただろう」
「それは間違いないけど、彼らをこちら側に引き留めていた大きな要因は君たちだと思う」
マシューズは皆を見回す。
「私たち?」
「君たちが二人を仲間と認めたから、彼らはこちら側に居てくれているんだよ」
マシューズが本を膝に置き、言葉を続ける。
「グレイを見て僕はわかった。彼らは群れなくても生きられる生物だ。人より遥かに強いし、死なないし年も取らないんだから。けれど二人は人との共生を望んだ。それはとても稀有な事だと思う。もしかすると、こういうのを神の配材というのかもしれない」
「神様ねぇ・・・私はよくわかんないわ」
ルルが言うと「その恰好で神の事をわからないって言いきるのはちょっと不敬すぎない?」とリックが笑った。
「あんた信じるの?」
「う~ん。信じているというよりは、信じたい。かな?けどそういうものじゃないの?神の配材が気に入らないなら、運命って事でどう?」
「その方がすっきりするわ」
ルルはソファーから起き上がってう~んと伸びをした。
「で?肝心のあの二人は?」
「部屋に閉じこもってるよ」
再び本に目を通しているマシューズの言葉に、ルルは心底呆れた顔をする。
「まだ出てこないわけ?もう3日過ぎてるんだけど!?」
「呼んでくれば?」
リックののんびりした言葉に「絶対嫌よ!」とルルは叫ぶ。
「あんた、あの二人がああなってる時のあの部屋に近づけると思ってんの!?マシューズがあれだけ分厚いコンクリートで覆ってるからいいけどさ」
「おかげで声も聞かずに済むな」
ロッドの言葉にマシューズが本から顔を上げて笑った。
「そういうつもりで創った部屋じゃないけどね」
「いいなぁ、俺も誰かと愛し合いてぇ・・・」
リックの言葉にウコンが「興味がないな」と答える。
「せめてデートしたい、デート。デートじゃなくても遊びに行きたい!なぁウコン、どっか俺といく?」
「どうして俺なんだ、断る」
「えぇ・・・だってマシューズは子持ちのおっさんだし、ロッドは、ちょっと・・・」
「あんた、ここの紅一点は誰だと思ってんのよ」
「ルルは・・・えっと、ルルは素敵だけど、一緒に出かけるとめんどくせ・・・ちょっと、ぃてえ!」
ぱかり!とルルはリックの頭を叩いて「私の方から願い下げ」と吐き捨てる。
「だからさ~ウコン、遊びに行こうよ~」
「いやだ、デート相手ぐらい自分で見つけろ」
「じゃあウコンとデートする」
「は?」
ウコンが素っ頓狂な声を上げた時、マシューズのモバイルが鳴った。
緊急用の回線だ。
「ウォードだ」
マシューズの声に皆が立ち上がる。
「はい、うん、わかった、詳細を送ってくれ。では後ほど」
簡単な会話でマシューズは電話を切った。
「さぁ仕事だ」
マシューズの言葉に皆が頷く。
「で、あいつらはどうすんの?」
ルルの言葉にマシューズはため息をつく。
「呼ぶよ、あぁ、またギルバートの不機嫌な声を聞く羽目になるんだ・・・」
「がんばれよ」
ロッドが人ごとのように言ってマシューズの肩を叩く。
嫌だなぁ・・・とぼやきながら、マシューズはウィリアムの部屋のスピーカーに繋がる回線を繋いだ。
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