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あれれ?
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アルク様の声が頭上から聞こえて来ました。
「顔をあげて」
ああ。アルク様。アナタはきっと酷く覚め切った瞳をしているのでしょうね。
その瞳を見るのはとても怖いです。
でも、王子であるアルク様を無視する事はできません。
私は恐る恐る顔を上げました。
涙目なのは仕方ありません。
「どうしたんだい?私のレイラ。あの子に何かされたのかい?」
そこには、いつもの様に優しく少し憂いのある瞳をしたアルク様がいました。
あれ?私、嫌われたんじゃ·····
「ああ。私の可愛いレイラ。悲しい顔をしているよ?どうしたと言うんだい?君をそんな顔を、気持ちにさせる原因を教えてはくれないか?」
アルク様が美しく大きな両手で私の頬を包み、上を向いた先にはアルク様の優しい眼がありました。
「もしかして、あの子が原因なのかい?だったら私が·····」
何やら不穏な空気を醸し出し、ヒロインちゃんを睨むアルク様。
え?何故?どういう事??
アルク様は私の事を嫌いになるはずじゃ?
まさか、失敗??
と、とりあえず、今にでもヒロインちゃんに怒りの矛先を向けようとしてるアルク様を止めなければ!
「あ、あの!アルク様!!私なら大丈夫ですわ!何でもないですの!ちょっとお話するのに緊張してしまっただけですわ!!」
「·····本当に?」
「も、もちろんですわ!私がアルク様に嘘などついたことありまして?」
アルク様の裾をギュッと握り必死に止めますが、さっきとは違う緊張感が走ります。
「そっか。」
先程醸し出していた不穏な空気が無くなり、いつものアルク様に戻りました。
きっと10秒にも満たない時間だったでしょうが、私にとっては永遠に感じました。
「何かあったら必ず私に言うんだよ?」
「はい!わかりました。」
「じゃぁ、教室へ行こうか。」
元に戻って良かったとほっとしたのも束の間、アルク様は私に右手を差し伸べました。
「へ?あ、あの?アルク様?」
「さっきあの子に手を差し伸べられて狡いって言ってたじゃないか。だから、ほら。」
ああ!そんな事を言った気もしますね·····ってそんな事を覚えてらっしゃったの!?
は、恥ずかしい。。
「アルク様·····あの、その·····」
「ん?」
アルク様はニコニコしていらっしゃる反面、拒否は許さないと言うような笑顔で手を差し伸べております。
アルク様が差し伸べてくださった手。
この手を断ってしまったらアルク様に失礼です。
それに、アルク様に触れるチャンスですね!
そんな下心がアルク様に知られませんようにと心で祈りながら、恥ずかしくて震える左手をアルク様の手の上に重ねました。
きっと私の顔は真っ赤ですね。
アルク様は重なった手を取ると指を絡めしっかりと握り直しました。
「ア、アルク様!?」
「さあ、行こうか。授業に遅れてしまうよ。」
いつもの様に私をエスコートしてくださるアルク様。
いつもと違うのは学園のカップルの様に指を絡ませて来たこと。
私は更に恥ずかしくなり、湯気が出てしまってるんじゃないかって程に顔が赤くなりました。
「ふふふ。レイラってば真っ赤になって可愛いな。食べてしまいたいくらいだよ。」
後半の言葉だけ耳元で囁くなんて反則ですわ!
恥ずかしくていっぱいいっぱいな私はヒロインちゃんの事をすっかり忘れてしまい、気づいた時には教室に着いていました。
「へ?ちょっと!私の事は!?何これ!!どうなってるの!?アルク様とのロマンスは!?」
置いていかれたヒロインちゃん、ローズ。
事の成り行きを遠巻きに見ていた生徒もローズには目もくれずに教室へと向かい、ローズはその場に1人、取り残されました。
「私はヒロインなのよーーーーーー!?」
ローズの叫び声は鳴り響く予鈴と共に青空へと消えていった。
「顔をあげて」
ああ。アルク様。アナタはきっと酷く覚め切った瞳をしているのでしょうね。
その瞳を見るのはとても怖いです。
でも、王子であるアルク様を無視する事はできません。
私は恐る恐る顔を上げました。
涙目なのは仕方ありません。
「どうしたんだい?私のレイラ。あの子に何かされたのかい?」
そこには、いつもの様に優しく少し憂いのある瞳をしたアルク様がいました。
あれ?私、嫌われたんじゃ·····
「ああ。私の可愛いレイラ。悲しい顔をしているよ?どうしたと言うんだい?君をそんな顔を、気持ちにさせる原因を教えてはくれないか?」
アルク様が美しく大きな両手で私の頬を包み、上を向いた先にはアルク様の優しい眼がありました。
「もしかして、あの子が原因なのかい?だったら私が·····」
何やら不穏な空気を醸し出し、ヒロインちゃんを睨むアルク様。
え?何故?どういう事??
アルク様は私の事を嫌いになるはずじゃ?
まさか、失敗??
と、とりあえず、今にでもヒロインちゃんに怒りの矛先を向けようとしてるアルク様を止めなければ!
「あ、あの!アルク様!!私なら大丈夫ですわ!何でもないですの!ちょっとお話するのに緊張してしまっただけですわ!!」
「·····本当に?」
「も、もちろんですわ!私がアルク様に嘘などついたことありまして?」
アルク様の裾をギュッと握り必死に止めますが、さっきとは違う緊張感が走ります。
「そっか。」
先程醸し出していた不穏な空気が無くなり、いつものアルク様に戻りました。
きっと10秒にも満たない時間だったでしょうが、私にとっては永遠に感じました。
「何かあったら必ず私に言うんだよ?」
「はい!わかりました。」
「じゃぁ、教室へ行こうか。」
元に戻って良かったとほっとしたのも束の間、アルク様は私に右手を差し伸べました。
「へ?あ、あの?アルク様?」
「さっきあの子に手を差し伸べられて狡いって言ってたじゃないか。だから、ほら。」
ああ!そんな事を言った気もしますね·····ってそんな事を覚えてらっしゃったの!?
は、恥ずかしい。。
「アルク様·····あの、その·····」
「ん?」
アルク様はニコニコしていらっしゃる反面、拒否は許さないと言うような笑顔で手を差し伸べております。
アルク様が差し伸べてくださった手。
この手を断ってしまったらアルク様に失礼です。
それに、アルク様に触れるチャンスですね!
そんな下心がアルク様に知られませんようにと心で祈りながら、恥ずかしくて震える左手をアルク様の手の上に重ねました。
きっと私の顔は真っ赤ですね。
アルク様は重なった手を取ると指を絡めしっかりと握り直しました。
「ア、アルク様!?」
「さあ、行こうか。授業に遅れてしまうよ。」
いつもの様に私をエスコートしてくださるアルク様。
いつもと違うのは学園のカップルの様に指を絡ませて来たこと。
私は更に恥ずかしくなり、湯気が出てしまってるんじゃないかって程に顔が赤くなりました。
「ふふふ。レイラってば真っ赤になって可愛いな。食べてしまいたいくらいだよ。」
後半の言葉だけ耳元で囁くなんて反則ですわ!
恥ずかしくていっぱいいっぱいな私はヒロインちゃんの事をすっかり忘れてしまい、気づいた時には教室に着いていました。
「へ?ちょっと!私の事は!?何これ!!どうなってるの!?アルク様とのロマンスは!?」
置いていかれたヒロインちゃん、ローズ。
事の成り行きを遠巻きに見ていた生徒もローズには目もくれずに教室へと向かい、ローズはその場に1人、取り残されました。
「私はヒロインなのよーーーーーー!?」
ローズの叫び声は鳴り響く予鈴と共に青空へと消えていった。
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