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 「すみません。まだ両親混乱してるようなので」
 やめてぇぇぇぇ自分の子が天使とか脳に花咲いた発言
 「フフッ自分の子供は皆天使だよ……………うちの子は時々悪魔だけど」
 謝る私に夫人がホローしてくれる
 優しい人だ、後の声は小さくて聞こえなかったけど
 クルー様と公爵様が面白そうに見てくる
 もう私に出来るのは出来るだけ体を小さくして視界に入いらないようにすることだけだ
 「混乱などしていない。ライルはお父様にとって至宝の宝石だ!目に入れても痛くない程愛している!」
 ちょっと黙ろうかお父様!
 「すみません!すみません!うちのお花畑がすみません!」
 デェアビタス公爵の皆さんの目が生暖かい
 クルー様の肩が揺れている
 口を一文字にして口角がピクピクしている
 笑うのを堪えている証拠だ
 公爵も夫人もニヨニヨして私達を見てくる
 やめてぇぇぇぇ
 公爵家の皆さんの視線が心に刺さる
 「私はライルでご飯10杯はいける!」
 なぜに競う
 「すみません!すみません!すみません!うちの脳筋がすみません!」
 空気を読んでお母様!そしてもう喋るな二人共!
 嫌だぁ帰りたいお家に
 お兄様ぁぁぁぁぁぁぁ助けてぇぇぇぇ
 両親引き取りに来てえ
 あぁそうだ!お兄様が言ってた
 こういう場合は周りの声を聞き流し、心を無にするのだと
 む、ム、mumu無………
 「私達は天使の御使いだと思っているのにこの子は昔から自分はナヨナヨした変な顔だとか不細工だとかいって謙虚過ぎるんです」
 「色白で可愛いらしい顔ですよね」
 無………………
 「見て下さい女神ミューズを思わせるこの艶めく美しい水色の髪を」
 「絹糸のようにサラサラして肌触りが良さそうですよね。色も涼やかな川面を思わせる」
 無…………………………ムリダァーッ
 「もうやめてェェェェ!ボクが恥ずか死ぬからアアァァァ!!夫人も気を使って合いの手入れないで下さい」
 顔を真っ赤に半泣きの私は物理で両親の口を塞いだ
 私は悪くない
 このままだと精神的に死ぬ
 お兄様私はまだまだ修業が足らないようです…………

 「ライルくんが愛されているのと個性豊な方々だと分かったことだし。どうかなエンジストン伯爵うちの息子との婚約は。うちとしては勧めたいと思うが」
 公爵様は両親の暴走を個性の一言でさらりと流してくれた
 ありがたい
 出来た人だ
 心で手を合わせ拝んでおこう
 ただ残念ながら婚約は流してくれなかった
 クルー様は私に背を向け声を殺して笑ってる
 気を使ってくているのは分かるが今のわたしには逆に虚しいだけだ
 声を出していっそ笑えばいい
 
 
 
  

 
 
 結局クルー様と私の婚約は成立した
 馬車の中でお母様に膝枕されてユラユラ揺られて帰路に着く
 今日は疲れた…………ビールの一杯でも飲みたいところだが、11歳の私には難しい
 代わりに11歳らしくお兄様にうんと甘えて癒やされよう
 
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