婚約破棄されたけど負けないもん。がんばってさばいばるするぞー!

しおしお

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第2章 森でのさばいばる生活

2−1 おなかすいたのですの

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第2章 森でのさばいばる生活

2-1 おなかすいたのですの

を、リリアナの“幼女語×健気なサバイバル”を軸に、
感情とユーモアの両方を織りまぜた2000文字以上でお届けします。


---

朝の森は、まるで金色の絵本みたいでした。
葉っぱのあいだから、おひさまの光がこぼれて、
地面のしずくがキラキラ光っています。

リリアナは、火のあとに残った灰を手でならしながら、
「おはようございますの、きのうの火さん」とつぶやきました。

小屋の屋根はすこし傾いているけれど、
雨をしのげたし、風も入ってこなかった。
だから、今のところ――“完璧なおうち”ですの!

「きょうもがんばって、いきますの!」

元気いっぱいに言ったけれど、
そのすぐあと――

ぐぅぅぅぅぅぅ……。

おなかが、悲鳴をあげました。
「……うぅ。おなかすいたのですの……」

昨日食べた木の実スープは、もうありません。
パンはとうに食べ終えたし、あまいお菓子なんて夢のまた夢。
「きのうは“ひ”を手に入れたから、きょうは“ごはん”ですの!」
そう宣言して、リリアナは立ち上がりました。

***

森の中を歩くと、
朝露でスカートのすそがしっとりぬれました。
鳥の声がぴちぴち聞こえて、どこかでリスが木をのぼっています。

「こんにちは、リスさん。おひるごはんに、なにたべますの?」
リスは木の実を口いっぱいにほおばって、ぴょんと逃げていきました。

「いいなぁ……リスさんは、ちゃんとたべものがあるのですのね」

わたしもがんばらなくちゃ。

枝を拾って杖にして、
草の中をかきわけながら歩いていくと、
すこし開けた場所に出ました。

そこには赤い実がたくさんついた木がありました。
小鳥が何羽もついばんでいます。

「これは……たべられるやつかもしれませんの!」

リリアナは慎重に木に近づいて、
手を伸ばして一粒つまみました。
指でつぶすと、すこし酸っぱいにおいがします。

ぺろり、となめてみた。

「……すっぱぁぁぁいのですの!」

顔をしかめて舌を出しましたが、
おなかはきゅるきゅると鳴っています。
少し考えてから、リリアナはきっぱり言いました。

「すっぱいけど……たべられますの!」

枝からいくつかの実を摘み取って、
小屋に持ち帰りました。
木の実を石の上でつぶして、小枝でかきまぜます。
小さな鍋のつもりで、昨日の石かまどに水をいれました。

「きょうも、“ひ”をがんばりますの!」

昨日より手際がよくなっていました。
乾いた草をまとめて、木の枝をこすります。
数回こするだけで――

ぱちっ。

小さな火がつきました。

「できましたの! わたし、火の天才かもしれませんの!」

火を小さく保ちながら、
石かまどの上で木の実を煮こみます。
甘酸っぱい香りが広がって、リリアナの鼻がくすぐられました。

「おいしくなぁれ……まほうのじゅもん、ですの」

ぶくぶくと泡がたち、
森の中に“ちいさな食堂”の香りが漂います。
木の枝スプーンでそっとすくって、ぺろり。

「……んーっ! すっぱいけど、あったかい! おいしいのですの!」

目をきらきらさせながら、
リリアナは少しずつ口に運びました。
木の実のスープは、森の味がして、
おなかの中までぽかぽかしてきます。

***

「ごはんを食べたら、つぎはおしごとですの!」
リリアナは立ち上がり、
“森のおうち改良作戦”を開始しました。

まず、床に草をしいてやわらかくします。
「これで、おしりがいたくないのですの!」

次に、枝で小さな棚を作って、
ミーナさんにもらった銀のボタンをのせました。
「これは、おかあさまのボタンですの。
 いちばんきれいな場所に、かざるのですの。」

風が吹くと、ボタンが光りました。
まるで、お母さまが「よくがんばりましたね」と言ってくれているようでした。

「ふふっ……ありがとですの、おかあさま」

***

そのとき、木の上から何かが“コツン”と落ちてきました。
リリアナはびっくりして身をひねりました。

足元にころがったのは、丸いドングリ。

「ドングリですの! たべられるやつですの!」

うれしくなって顔を上げると、
木の上ではリスがこっちを見ていました。

「もしかして……くれたのですの?」

リスは“ぴこっ”と耳を動かして、ぴょんと枝を渡っていきました。
リリアナは両手でドングリを拾いあげました。

「ありがとうですの、リスさん!」

そのあと、彼女は火のそばでドングリを焼いてみました。
ぱちぱちっと皮がはじけて、香ばしいにおいが広がります。

「わぁ……すごくおいしそうなのですの!」

口に入れると、ほのかに甘くて香ばしい。
まるでお菓子みたいでした。

「これが、リリアナ・スペシャル・ドングリクッキー(仮)ですの!」
ひとりで笑って、リリアナはもぐもぐ食べました。
木の実スープとドングリクッキー(?)で、おなかはぽんぽん。

火のそばに座って、
「ごちそうさまでしたの!」と手を合わせました。

***

その夜。
森の上には、星がいっぱいひかっていました。
リリアナは空を見上げて、小さな声で言いました。

「おかあさま、きょうも いきてますの。
 おなかも いっぱいですの。
 だから、だいじょうぶ。
 わたし、まけてませんの。」

風が優しくふいて、木々がざわめきました。
まるで「よくがんばったね」と言ってくれるみたい。

火がぱちぱちと燃える音が、心地よい子守歌のように響きました。
リリアナは、木の葉のふとんにくるまりながら目を閉じます。

> 「こんなので まけない。がんばって……さばいばるするぞー!」



その声が夜空にのぼり、星たちが小さく瞬きました。

森の小さな焚き火のそばで、
幼い少女の“生きる力”が、確かに灯っていたのです。


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