貧乳シンデレラは、貧乳を理由に婚約破棄されましたが、元婚約者には未来の可能性が見えていませんでした。

しおしお

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25話 胸の“成長”という真実(前半)

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胸の“成長”という真実(前半)

結婚式の準備が整い、王宮は朝から厳かな空気に包まれていた。
遠国からも祝電や贈り物が届き、街では「胸によらない婚姻!」と女性たちが小さく歓声をあげている。

その影で――
巨乳絶対至上主義の古い貴族たちは、いまだに不満げだった。

「よりによって、胸が貧しい令嬢が王子妃とは……」
「国が滅ぶぞ。胸の大きさこそ女の価値だったものを……」

彼らのささやきは小言のように広まり、
王宮の片隅で、シンディはその声をふと耳にした。

けれど、彼女の表情は揺れない。

王子レオナードとともに国を変えると決めてから、
シンディはかつてのように怯えることはなかった。

そして――
今日は、そんな彼女が世界に誇れる日だった。

控室でドレスをまとったシンディは、
鏡の前に立ち、自分の姿にそっと指を伸ばす。

そこには、かつて“家の恥”と蔑まれた少女の姿はなかった。

「……本当に、大きくなったのね……」

胸元に触れると、柔らかな感触が手に広がる。
かつて平らだった胸は、
ゆるやかで自然な線を描き、
花が咲くように美しく成長していた。

王宮付きの侍女は、感嘆の息を漏らした。

「シンディ様……まるで別人のようです。
 まさか、数ヶ月でここまで……」

「いえ、私は……ただの“遅咲き”だったのですわ」

母の遺伝か、体質か――
医師が言うには「成長が遅いだけ」という説明だった。

あの日の涙、
あの日の屈辱。
魔女アドラの魔法にすがった夜。
胸至上主義の国で押し潰されそうになった日々。

ぜんぶ――乗り越えた。

侍女がドレスの胸元を整えながら、感嘆の声をもらす。

「継母メリッサ様も、義姉アンジェリカ様も……
 今日のシンディ様を見たら、どれだけ悔しがることでしょうね」

その言葉に、シンディは苦笑を漏らす。

「悔しがるでしょうね。
 でも……それはもう、私の問題ではありませんわ」

胸が小さいから笑われ、大きいと褒められる。
そんな価値観の中で生きてきたシンディだからこそ、
胸が成長した今、初めて気づくことがあった。

――胸は、誰かに値段をつけられるためのものじゃない。

そこへ、控室の扉が静かにノックされた。

「シンディ、入っても良いかな?」

レオナード王子の声だった。
シンディは少し頬を染めながらも、「どうぞ」と返す。

扉が開くと、王子は一瞬、言葉を失った。

「……シンディ……?」

深い青の瞳が驚きに揺れ、
思わず彼女へと歩み寄る。

「美しい……今までのどんな姿よりも……」

王子の視線は胸に向かうことなく、
ただシンディの瞳と、その気高い姿だけを見ていた。

「胸がどうであっても、君は美しいと思っていた。
 でも……君がこんなにも誇らしげに微笑む姿を見られて……
 私は幸せだ」

シンディの胸に熱いものが込み上げる。

「レオナード様……
 この胸は、誰かに評価されるためにあるものではありません。
 私自身が生きてきた証です。
 今日、その証を胸に……あなたのそばに立ちますわ」

王子は静かに頷き、
彼女の手を取った。

「一緒に行こう、シンディ。
 君と、胸に縛られない未来へ」

二人は視線を交わし、
ゆっくりと控室を後にする。

巨乳絶対至上主義の国が終わる――
その象徴となる結婚式が、いよいよ始まろうとしていた。


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