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31 病の床
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31 病の床
夏の終わりが近づく頃、カトリーヌはとうとう倒れた。
倒れた、といっても、それは劇的なものではなかった。
熱に浮かされて道端で崩れ落ちたとか、誰かに抱き起こされたとか、そういう芝居めいた場面ではない。ただ、じわじわと削られていた身体が、ある朝とうとう起き上がれなくなっただけだ。
司法官の保護下にあった仮の宿からも、彼女はもう長くは置いてもらえなかった。
公爵家への追及は続いていたが、それと“告発した若い未亡人の生活”は別の問題だ。司法官たちはあくまで件の扱いに責任を負うのであって、彼女の人生を丸ごと引き受けるわけではない。安全のための短期的な保護はあっても、その先をどうするかは本人の“処遇”として整理される。
処遇。
その言葉の冷たさを、カトリーヌは骨の髄まで知った。
実家は戻れない。
ロシュフォール家にも戻れない。
修道院は、今の彼女にはまだ「生きることを諦める場所」にしか思えなかった。
そしてアルディシアの姉からは、明確な答えが返っていた。
救うことはできない。
だが、道を探す手助けならする。
その返事は冷たくもあり、誠実でもあった。
カトリーヌはその文を読んだ時、しばらく何も感じられなかった。期待していたわけではない。いや、本当は期待していたのだろう。あの姉なら、最後の最後で自分を切り捨てきれないのではないかと。
でも、そうはならなかった。
当然だ。
自分がしてきたことを思えば。
それでも胸のどこかで、最後は誰かが何とかしてくれると思っていた、自分の甘さがみじめだった。
王都の片隅にある安宿へ移ったのは、その少しあとだった。
紹介されたのは、司法官付きの女からだった。表向きは“身を隠して静養する場”だが、実際には、これ以上まともな場所を用意する気がないという意味でもあった。
安宿の部屋は狭かった。
壁は薄く、隣の咳払いまで聞こえる。窓から見えるのは中庭でも景色でもなく、向かいの壁だけ。寝台は軋み、洗面の水はぬるく、夏の湿気は部屋の中へ淀んでいた。
だが、そこにすら最初は「一人でいられる」という安堵があった。
義父の視線がない。
ロシュフォール家の女官たちの目もない。
誰かに鍵をかけられることもない。
その代わりに、誰もいなかった。
それがどれほど重いものかを知ったのは、数日後からだ。
食欲がなくなった。
眠れなくなった。
ようやく眠っても、夜の途中で何度も目が覚める。物音がすれば肩が跳ね、足音が止まれば息を詰める。鍵の音がしなくても、もう身体のほうが勝手に怯える。
熱が出たのは、そのあとだった。
最初は少し身体がだるいだけだった。けれど夏の終わりの湿気と、まともに食べていないことと、張りつめ続けた神経が全部一緒になって、ある朝には喉が焼けるように痛み、頭が重く、立ち上がろうとすると足元が揺れた。
宿の女将は、最初は露骨に嫌な顔をした。
「困るんだよねえ、うちで寝込まれても」
もっともな話だった。
金は潤沢ではない。しかも若い女が一人で、貴族めいた身なりをしているのに付き人もいない。そういう客は面倒の種になりやすい。
けれどカトリーヌが袋から細い指で金貨を出すと、女将の態度は少しだけやわらいだ。
「じゃあ、湯くらいは持ってきてやるよ」
それだけでも、今のカトリーヌにはありがたかった。
ベッドに横たわったまま、天井の木目を見つめる時間が増えた。
昔なら考えられない生活だった。
ランベール侯爵家では、朝になれば侍女が起こしに来た。ロシュフォール家へ嫁いだ直後は、閉じ込められていてもなお、最低限の支度だけは誰かが整えた。
けれど今は、本当に一人だ。
水差しが空になれば自分で注がなければならない。薬を飲みたくても、飲ませてくれる手はない。汗で髪が額に貼りついても、それを払うのは自分の手だけだ。
その単純な事実が、熱に浮かされる夜ほど身に沁みた。
ある夜、うとうとと浅い眠りの中で、カトリーヌは夢を見た。
社交界の広間だった。
燭台の光が揺れ、音楽が流れ、若い貴族たちが笑っている。そしてその真ん中で、自分は淡い桃色のドレスを着て、ギルベルトの腕に手を添えていた。
皆が羨ましいと言う。
選ばれてよかったわね、と。
その声が甘く響いて、カトリーヌは夢の中で微笑んだ。
けれど次の瞬間、腕に添えていたはずの手首へ冷たいものが巻きつく。
金属だ。
重い。
逃げようとしても足が動かない。
ギルベルトは笑っている。
公爵も見ている。
母は泣いている。
父は遠くで何か言っているが、言葉が聞こえない。
そして最後に、フィオレッタだけがこちらを静かに見ていた。
責めてもいない。助けてもくれない。ただ、見ている。
そこで目が覚めた。
息が苦しい。喉が熱い。寝台の布が汗で湿っていて、胸元まで気持ち悪い。
窓の外はまだ暗い。
カトリーヌはしばらく息を整えようとしたが、うまくいかなかった。涙だけがじわりと滲む。
「……嫌……」
誰に向けて言ったのか、自分でもわからない。
夢に対してか。
過去に対してか。
それとも、まだ死ねない自分に対してか。
数日後、宿の女将がとうとう医者を呼んだ。
王都でも端のほうで細々と診る年配の医師だった。顔を見るなり、彼は露骨に眉をひそめた。
「食ってないね」
診察の第一声がそれだった。
カトリーヌは答えなかった。
「熱だけじゃない。身体そのものが弱ってる。ちゃんと眠れてないだろう」
それも図星だった。
「薬は出すが、これじゃ焼け石に水だ。人が看ないと治りは遅い」
人が看ないと。
その言葉が胸に刺さる。
看る人間なんていないのだから。
医師が帰ったあと、女将はぶっきらぼうに粥を運んできた。
「少しでいいから食べな」
「……ありがとう……」
そう言うと、女将はちょっとだけ驚いたような顔をした。
たぶん、最初に来た時のカトリーヌはもっと高慢に見えたのだろう。実際、そうだった。みすぼらしい宿でも、自分はあくまで侯爵家の娘で、公爵家の未亡人だと、どこかで見下す目を捨てきれていなかった。
でも今はもう、そんなものを保つだけの力もない。
粥を数口飲んだだけで、涙が出そうになった。
温かい。
ただ、それだけのことが、こんなにも身体へ沁みるのかと思う。
その頃、王都ではカトリーヌの名はもう半ば“終わった女”として扱われ始めていた。
義父を訴えた未亡人。
夫から異常な拘束を受けていた女。
実家にも戻れぬ傷もの。
同情はある。
だが同時に、近寄りたくないという空気のほうが強かった。
誰も助け船は出さない。
出せば、自分までその泥に触れることになるからだ。
そして、そういう空気をカトリーヌ自身も知っていた。
だから余計に、病の床で一人横たわるしかなかった。
ある午後、宿の小窓から差し込む薄い光の中で、カトリーヌはぼんやりと考えていた。
もし、あの日。
婚約者を奪わずにいたら。
フィオレッタを悪者にせずにいたら。
異国が怖いと、ただ正直に泣くだけで終わっていたら。
何度考えても意味はない。
でも、熱があると人は同じ場所をぐるぐる回る。
過去は変えられない。
けれど過去の場面だけが、やけにはっきり頭へ浮かぶ。
ギルベルトの腕に手を添えて得意になっていた自分。
礼拝堂で、姉にすがるように「連れて行って」と言った自分。
父の手紙を読んで、笑いそうになった自分。
どれも全部、自分だ。
その一つひとつが、いまの病んだ身体の上へ重なってくる。
「……ごめんなさい……」
誰に向けた謝罪なのか、自分でもはっきりしない。
フィオレッタか。
母か。
それとも、自分自身か。
答えは出ない。
ただ熱に浮かされた頭の中で、謝罪だけが何度もほどけていった。
夜になると、熱は少し上がる。
天井の木目が揺れて見える。
女将が置いていった水差しへ手を伸ばすのもひと苦労だった。指先に力が入らず、杯の縁で少しこぼす。そんな小さな失敗ですら、今のカトリーヌにはひどく惨めだった。
看取る者のない病の床。
そんな言葉が頭をよぎり、思わず笑いそうになる。
昔の自分なら、そんな運命は物語の中の不幸な脇役にだけ起こるものだと思っていただろう。
でも今、自分がそこにいる。
そして周りには誰もいない。
宿の薄い壁の向こうで、誰かが笑う声がした。別の部屋の客だろう。酒の匂いも少し流れてくる。
世界は、自分が転げ落ちても止まらない。
それが、ひどく恐ろしく、同時に妙に静かな慰めでもあった。
自分一人が終わっていっても、空は変わらず明けるのだ。
その事実だけが、最後には少しだけ優しかった。
夏の終わりが近づく頃、カトリーヌはとうとう倒れた。
倒れた、といっても、それは劇的なものではなかった。
熱に浮かされて道端で崩れ落ちたとか、誰かに抱き起こされたとか、そういう芝居めいた場面ではない。ただ、じわじわと削られていた身体が、ある朝とうとう起き上がれなくなっただけだ。
司法官の保護下にあった仮の宿からも、彼女はもう長くは置いてもらえなかった。
公爵家への追及は続いていたが、それと“告発した若い未亡人の生活”は別の問題だ。司法官たちはあくまで件の扱いに責任を負うのであって、彼女の人生を丸ごと引き受けるわけではない。安全のための短期的な保護はあっても、その先をどうするかは本人の“処遇”として整理される。
処遇。
その言葉の冷たさを、カトリーヌは骨の髄まで知った。
実家は戻れない。
ロシュフォール家にも戻れない。
修道院は、今の彼女にはまだ「生きることを諦める場所」にしか思えなかった。
そしてアルディシアの姉からは、明確な答えが返っていた。
救うことはできない。
だが、道を探す手助けならする。
その返事は冷たくもあり、誠実でもあった。
カトリーヌはその文を読んだ時、しばらく何も感じられなかった。期待していたわけではない。いや、本当は期待していたのだろう。あの姉なら、最後の最後で自分を切り捨てきれないのではないかと。
でも、そうはならなかった。
当然だ。
自分がしてきたことを思えば。
それでも胸のどこかで、最後は誰かが何とかしてくれると思っていた、自分の甘さがみじめだった。
王都の片隅にある安宿へ移ったのは、その少しあとだった。
紹介されたのは、司法官付きの女からだった。表向きは“身を隠して静養する場”だが、実際には、これ以上まともな場所を用意する気がないという意味でもあった。
安宿の部屋は狭かった。
壁は薄く、隣の咳払いまで聞こえる。窓から見えるのは中庭でも景色でもなく、向かいの壁だけ。寝台は軋み、洗面の水はぬるく、夏の湿気は部屋の中へ淀んでいた。
だが、そこにすら最初は「一人でいられる」という安堵があった。
義父の視線がない。
ロシュフォール家の女官たちの目もない。
誰かに鍵をかけられることもない。
その代わりに、誰もいなかった。
それがどれほど重いものかを知ったのは、数日後からだ。
食欲がなくなった。
眠れなくなった。
ようやく眠っても、夜の途中で何度も目が覚める。物音がすれば肩が跳ね、足音が止まれば息を詰める。鍵の音がしなくても、もう身体のほうが勝手に怯える。
熱が出たのは、そのあとだった。
最初は少し身体がだるいだけだった。けれど夏の終わりの湿気と、まともに食べていないことと、張りつめ続けた神経が全部一緒になって、ある朝には喉が焼けるように痛み、頭が重く、立ち上がろうとすると足元が揺れた。
宿の女将は、最初は露骨に嫌な顔をした。
「困るんだよねえ、うちで寝込まれても」
もっともな話だった。
金は潤沢ではない。しかも若い女が一人で、貴族めいた身なりをしているのに付き人もいない。そういう客は面倒の種になりやすい。
けれどカトリーヌが袋から細い指で金貨を出すと、女将の態度は少しだけやわらいだ。
「じゃあ、湯くらいは持ってきてやるよ」
それだけでも、今のカトリーヌにはありがたかった。
ベッドに横たわったまま、天井の木目を見つめる時間が増えた。
昔なら考えられない生活だった。
ランベール侯爵家では、朝になれば侍女が起こしに来た。ロシュフォール家へ嫁いだ直後は、閉じ込められていてもなお、最低限の支度だけは誰かが整えた。
けれど今は、本当に一人だ。
水差しが空になれば自分で注がなければならない。薬を飲みたくても、飲ませてくれる手はない。汗で髪が額に貼りついても、それを払うのは自分の手だけだ。
その単純な事実が、熱に浮かされる夜ほど身に沁みた。
ある夜、うとうとと浅い眠りの中で、カトリーヌは夢を見た。
社交界の広間だった。
燭台の光が揺れ、音楽が流れ、若い貴族たちが笑っている。そしてその真ん中で、自分は淡い桃色のドレスを着て、ギルベルトの腕に手を添えていた。
皆が羨ましいと言う。
選ばれてよかったわね、と。
その声が甘く響いて、カトリーヌは夢の中で微笑んだ。
けれど次の瞬間、腕に添えていたはずの手首へ冷たいものが巻きつく。
金属だ。
重い。
逃げようとしても足が動かない。
ギルベルトは笑っている。
公爵も見ている。
母は泣いている。
父は遠くで何か言っているが、言葉が聞こえない。
そして最後に、フィオレッタだけがこちらを静かに見ていた。
責めてもいない。助けてもくれない。ただ、見ている。
そこで目が覚めた。
息が苦しい。喉が熱い。寝台の布が汗で湿っていて、胸元まで気持ち悪い。
窓の外はまだ暗い。
カトリーヌはしばらく息を整えようとしたが、うまくいかなかった。涙だけがじわりと滲む。
「……嫌……」
誰に向けて言ったのか、自分でもわからない。
夢に対してか。
過去に対してか。
それとも、まだ死ねない自分に対してか。
数日後、宿の女将がとうとう医者を呼んだ。
王都でも端のほうで細々と診る年配の医師だった。顔を見るなり、彼は露骨に眉をひそめた。
「食ってないね」
診察の第一声がそれだった。
カトリーヌは答えなかった。
「熱だけじゃない。身体そのものが弱ってる。ちゃんと眠れてないだろう」
それも図星だった。
「薬は出すが、これじゃ焼け石に水だ。人が看ないと治りは遅い」
人が看ないと。
その言葉が胸に刺さる。
看る人間なんていないのだから。
医師が帰ったあと、女将はぶっきらぼうに粥を運んできた。
「少しでいいから食べな」
「……ありがとう……」
そう言うと、女将はちょっとだけ驚いたような顔をした。
たぶん、最初に来た時のカトリーヌはもっと高慢に見えたのだろう。実際、そうだった。みすぼらしい宿でも、自分はあくまで侯爵家の娘で、公爵家の未亡人だと、どこかで見下す目を捨てきれていなかった。
でも今はもう、そんなものを保つだけの力もない。
粥を数口飲んだだけで、涙が出そうになった。
温かい。
ただ、それだけのことが、こんなにも身体へ沁みるのかと思う。
その頃、王都ではカトリーヌの名はもう半ば“終わった女”として扱われ始めていた。
義父を訴えた未亡人。
夫から異常な拘束を受けていた女。
実家にも戻れぬ傷もの。
同情はある。
だが同時に、近寄りたくないという空気のほうが強かった。
誰も助け船は出さない。
出せば、自分までその泥に触れることになるからだ。
そして、そういう空気をカトリーヌ自身も知っていた。
だから余計に、病の床で一人横たわるしかなかった。
ある午後、宿の小窓から差し込む薄い光の中で、カトリーヌはぼんやりと考えていた。
もし、あの日。
婚約者を奪わずにいたら。
フィオレッタを悪者にせずにいたら。
異国が怖いと、ただ正直に泣くだけで終わっていたら。
何度考えても意味はない。
でも、熱があると人は同じ場所をぐるぐる回る。
過去は変えられない。
けれど過去の場面だけが、やけにはっきり頭へ浮かぶ。
ギルベルトの腕に手を添えて得意になっていた自分。
礼拝堂で、姉にすがるように「連れて行って」と言った自分。
父の手紙を読んで、笑いそうになった自分。
どれも全部、自分だ。
その一つひとつが、いまの病んだ身体の上へ重なってくる。
「……ごめんなさい……」
誰に向けた謝罪なのか、自分でもはっきりしない。
フィオレッタか。
母か。
それとも、自分自身か。
答えは出ない。
ただ熱に浮かされた頭の中で、謝罪だけが何度もほどけていった。
夜になると、熱は少し上がる。
天井の木目が揺れて見える。
女将が置いていった水差しへ手を伸ばすのもひと苦労だった。指先に力が入らず、杯の縁で少しこぼす。そんな小さな失敗ですら、今のカトリーヌにはひどく惨めだった。
看取る者のない病の床。
そんな言葉が頭をよぎり、思わず笑いそうになる。
昔の自分なら、そんな運命は物語の中の不幸な脇役にだけ起こるものだと思っていただろう。
でも今、自分がそこにいる。
そして周りには誰もいない。
宿の薄い壁の向こうで、誰かが笑う声がした。別の部屋の客だろう。酒の匂いも少し流れてくる。
世界は、自分が転げ落ちても止まらない。
それが、ひどく恐ろしく、同時に妙に静かな慰めでもあった。
自分一人が終わっていっても、空は変わらず明けるのだ。
その事実だけが、最後には少しだけ優しかった。
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