ブリティッシュ関西ガールと京女どす 〜テストの回答は英語でええやん!あかんどす〜

しおしお

文字の大きさ
21 / 26

第21話 おこしやす、修学旅行は事件の香り1:出発!京都&大阪‐神戸ツアー

しおりを挟む
 修学旅行当日の朝。東京駅の新幹線ホームは、遠足気分の女子高生たちで華やいでいた。



 瓢及鸞はコロコロとキャリーケースを転がしながら、金髪を揺らして振り返る。



「おーい、あずささーん! 集合写真撮るで!」



「ほ、ほんまですか? ちょ、髪乱れてへんか確認だけ――」



 都あずさは慌ててポーチを開き、鏡で前髪を整える。袴柄をアレンジした旅行用トートを肩に、いつものはんなりモードとは違う高揚感がにじんでいた。



 クラスメイトの陽菜がスマホを構え、深雪が号令をかける。



「はい、3、2、1――どすえ★」



 シャッター音と同時に、関西弁と京ことばと標準語が入り交じった歓声がホームに響く。



「ていうか鸞さん、それ寝間着ちゃう? パジャマ感すごいんやけど!」



「これは“エフォートレス英国スタイル”言うねん! 移動はラクが一番!」



「新幹線で優雅にクロワッサン食べそうやもんな」



「あずささんもめっちゃお嬢やん。トランクに家宝入っとる?」



「一口羊羹と緑茶ティーバッグどす」



「さすが京女!」





### ◆車内は即席お笑い劇場



 N 700 系の車内に落ち着くやいなや、クラスの女子たちはお菓子交換タイム。早くも通路は修学旅行名物“歩く駄菓子屋”状態だ。



 そんな中、陽菜がマイクのおもちゃを取り出した。



「特別企画! **関西弁講座 vs 京ことば講座** 開幕~!」



 拍手喝采。急ごしらえの舞台に立たされたのはもちろん、鸞とあずさ。



「ほな、まずは日常会話編いっときましょか」



「ちょ、準備なしなんどすけど……!」



 それでも二人は息ぴったり。



> **鸞(関西弁)**「あほちゃうか!」  

> **あずさ(京ことば)**「あんじょうしとくれやす」



「語感がソフトすぎる!」



「そちらこそストレートすぎどす!」



 車内は笑いの渦。先生が苦笑しつつ注意に来るが「車掌さんの英語アナウンスに合わせた異文化交流です!」と鸞が謎の理論武装で切り抜ける。





### ◆富士山とほか弁



 窓の外に富士山が姿を現した頃、あずさはそっとお弁当包みを広げた。鱧の押し寿司、ちりめん山椒、だし巻き卵――京の香りの詰め合わせ。



「手作り!? うわ、料亭級!」



「うち、卵サンドやけど交換して!」



「ええですけど……鸞さんの卵サンド、マーマイト挟んであるやないですか!」



「British Power!」



 あずさは困惑しながらも一口。「……意外といけるどす」



「せやろ!」





### ◆京都駅到着、そして――



 正午前、列車は京都駅に滑り込む。コンコースを流れる三味線 BGM に、修学旅行ムードが一気に高まった。



 深雪が点呼表を掲げて叫ぶ。



「全員いるわね! まずは清水寺コース、往復徒歩! 健脚組、覚悟して!」



「うそやん、キャリー転がして坂上るん!?」



「へっちゃらやで、うちラグビー帰りやから!」



「ラグビーは関係ないどす!」



 笑いと悲鳴が入り混じる中、あずさはふと隣の鸞を見る。陽光に金髪がきらめき、青い瞳が期待に輝いている。



(この人と一緒なら、どんな坂道も楽しいんやろな)



 そんな気持ちを胸に、あずさも歩き出した。  

京都と大阪と神戸――二泊三日の旅は、今始まったばかりだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】黒の花嫁/白の花嫁

あまぞらりゅう
恋愛
秋葉は「千年に一人」の霊力を持つ少女で、幼い頃に龍神――白龍の花嫁として選ばれていた。 だが、双子の妹の春菜の命を救うために、その霊力を代償として失ってしまう。 しかも、秋葉の力は全て春菜へと移り、花嫁の座まで奪われてしまった。 それ以来、家族から「無能」と蔑まれながらも、秋葉は失われた力を取り戻すために静かに鍛錬を続けていた。 そして五年後、白龍と春菜の婚礼の日。 秋葉はついに霊力が戻らず、一縷の望みも消えてしまった。 絶望の淵に立つ彼女の前に、ひとりの青年が現れる。 「余りもの同士、仲良くやろうや」 彼もまた、龍神――黒龍だった。 ★ザマァは軽めです! ★後半にバトル描写が若干あります! ★他サイト様にも投稿しています!

落ちこぼれ村娘、拾った王子に溺愛される。

いっぺいちゃん
恋愛
辺境の村で育った元気娘 ミレイ。 ある日、森で倒れていた金髪の青年を助けるが、 実は彼は国一の人気者 完璧王子レオン だった。 だがレオンは外に出ると人格がゆるみ、 王宮で見せる完璧さは作ったキャラだった。 ミレイにだけ本音を見せるようになり、 彼は彼女に依存気味に溺愛してくる。 しかしレオンの完璧さには、 王宫の闇に関わる秘密があって—— ミレイはレオンの仮面を剥がしながら、 彼を救う本当の王子に導いていく。 ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。 ※この作品は「小説家になろう」でも同時投稿しています。

気がつけば異世界

蝋梅
恋愛
 芹沢 ゆら(27)は、いつものように事務仕事を終え帰宅してみれば、母に小さい段ボールの箱を渡される。  それは、つい最近亡くなった骨董屋を営んでいた叔父からの品だった。  その段ボールから最後に取り出した小さなオルゴールの箱の中には指輪が1つ。やっと合う小指にはめてみたら、部屋にいたはずが円柱のてっぺんにいた。 これは現実なのだろうか?  私は、まだ事の重大さに気づいていなかった。

竜帝に捨てられ病気で死んで転生したのに、生まれ変わっても竜帝に気に入られそうです

みゅー
恋愛
シーディは前世の記憶を持っていた。前世では奉公に出された家で竜帝に気に入られ寵姫となるが、竜帝は豪族と婚約すると噂され同時にシーディの部屋へ通うことが減っていった。そんな時に病気になり、シーディは後宮を出ると一人寂しく息を引き取った。 時は流れ、シーディはある村外れの貧しいながらも優しい両親の元に生まれ変わっていた。そんなある日村に竜帝が訪れ、竜帝に見つかるがシーディの生まれ変わりだと気づかれずにすむ。 数日後、運命の乙女を探すためにの同じ年、同じ日に生まれた数人の乙女たちが後宮に召集され、シーディも後宮に呼ばれてしまう。 自分が運命の乙女ではないとわかっているシーディは、とにかく何事もなく村へ帰ることだけを目標に過ごすが……。 はたして本当にシーディは運命の乙女ではないのか、今度の人生で幸せをつかむことができるのか。 短編:竜帝の花嫁 誰にも愛されずに死んだと思ってたのに、生まれ変わったら溺愛されてました を長編にしたものです。

竜王に嫁いだら、推しの半竜皇子の継母になりました〜冷酷な夫には興味ありませんが、闇落ち予定の皇子は私が全力で幸せにします!〜

せりもも
恋愛
転生したのは、web小説の世界だった。物語が始まる前の時間、隣国の竜王へ嫁ぐ薄幸の王女、デジレに。 結婚相手である竜王ワッツァは、冷酷非道で人間を蔑む恐ろしい竜人だ。彼はデジレを、半竜(半分竜で半分人間)である息子の養育係としかみていない。けれどその息子バートラフこそ、前世の「わたし」の最オシだった。 この世界のバートラフはまだ5歳。懸命に悪ガキぶっているけど、なんてかわいいの!? 小説のバートラフは、闇落ちして仲間の騎士たちに殺されてしまうけど、そんな未来は、絶対に許さないんだから!  幼いバートラフに対する、愛情いっぱいの子育ての日々が始まる。やがて彼の成竜への通過儀礼を経て、父の竜王は、デジレに対して執着を見せ始める。 ところが、竜と人間の戦争が始まってしまう。おとなになったバートラフは人間側につき、聖女の騎士団に入った。彼は、父の竜王に刃を向けられるのか? そして、転生者デジレに与えられたスキル「プロットを破断する者」を、彼女はどう発動させるのか。

エアコン魔法、全自動チョコレート製造魔法、魔法の無駄遣い? ――快適な生活のために、全部必要ですわ

鷹 綾
恋愛
「魔法の無駄遣いだ」 そう言われて婚約を破棄され、南方の辺境へ追放された元・聖女エオリア。 けれど本人は、まったく気にしていなかった。 暑いならエアコン魔法を使えばいい。 甘いものが食べたいなら、全自動チョコレート製造魔法を組めばいい。 一つをゆっくり味わっている間に、なぜか大量にできてしまうけれど―― 余った分は、捨てずに売ればいいだけの話。 働く気はない。 評価されても困る。 世界を変えるつもりもない。 彼女が望むのは、ただひとつ。 自分が快適に、美味しいものを食べて暮らすこと。 その結果―― 勝手に広まるスイーツブーム。 静かに進む元婚約者の没落。 評価だけが上がっていく謎の現象。 それでもエオリアは今日も通常運転。 「魔法の無駄遣い? ――快適な生活のために、全部必要ですわ」 頑張らない。 反省しない。 成長もしない。 それでも最後まで勝ち続ける、 アルファポリス女子読者向け“怠惰ざまぁ”スイーツファンタジー。

捨てられた悪役はきっと幸せになる

ariya
恋愛
ヴィヴィア・ゴーヴァン公爵夫人は少女小説に登場する悪役だった。 強欲で傲慢で嫌われ者、夫に捨てられて惨めな最期を迎えた悪役。 その悪役に転生していたことに気づいたヴィヴィアは、夫がヒロインと結ばれたら潔く退場することを考えていた。 それまでお世話になった為、貴族夫人としての仕事の一部だけでもがんばろう。 「ヴィヴィア、あなたを愛してます」 ヒロインに惹かれつつあるはずの夫・クリスは愛をヴィヴィアに捧げると言ってきて。 そもそもクリスがヴィヴィアを娶ったのは、王位継承を狙っている疑惑から逃れる為の契約結婚だったはずでは? 愛などなかったと思っていた夫婦生活に変化が訪れる。 ※この作品は、人によっては元鞘話にみえて地雷の方がいるかもしれません。また、ヒーローがヤンデレ寄りですので苦手な方はご注意ください。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

処理中です...