あのとき僕は心が壊れた

はり

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2.五月病

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『こんばんは、藤山 智美です。』

 LIMEが来ていたことに気づいたのは、自宅に着いた頃だった。

「ただいま~」
「おかえりなさい。風呂入っちゃえば?」
「あー、そうしようかな。」

家に入り、母に向かって
『ただいま』
と言う、今日もいつもと変わらない毎日のはずだった。

風呂から上がり、部屋でくつろいでいた。

(そういや、LIME来てたな…。お、早速あの人からか。)

「『こんばんは、追加ありがとうございます。』と、これでいいかな。」

ピロンッ

(ん?うわっ、返信はやっ!!)

『いえいえ、こちらこそありがとうございます!同い年だし、タメでいいですよ?私もタメでいいですかね?』
『あ、わかった。全然いいよ!』
『ありがとうございます!』

(なんか、この子グイグイ来るなぁ…別に暇だし全然いいんだけど。)

 まだ夕飯まで時間がある。俺はとりあえず、昔から大好きな「機動魔道士ロボダム」というロボットアニメの戦闘ゲームをやり始めた。

(さてと、今日もいっちょやりますか!)

ピロンッ

(なんだ?あれ、また藤山さんからだ)

『今度、優里と3人で遊びませんか?』

 先ほどから名前が出ているはやし 優里ゆりは去年、俺が高校1年生だったときに告白してくれた同級生の女の子だ。彼女はすごく優しく、みんなのお母さんのような存在だった。そんな彼女を俺は
「恋愛的に好きにはなれない」
という理由で断ってしまった。

(いやいや、俺は全然平気だけど…林が絶対無理だろ~…。)

「林は…大丈夫なんですか?」
「はい、大丈夫ですよ!」
「あー…そうなんですね。分かりました。じゃあ遊びますか。」
「ほんとですか!?ありがとうございます!では、そうですね…。5月に遊びましょう!」
「分かりました。」

(グイグイ来る子に対しては断ること出来ないんだよなぁ…)


──5月に入り、当日のお昼すぎ。

自転車を走らせ、着いた先はとある公園だった。

「初めまして、藤山智美です。よろしくお願いします!」
「あ、初めまして、橋本蓮です。こちらこそよろしく…。」

想像した通り、なんというかグイグイ来る子だった。ふと、藤山さんの隣を見る。

「林、久しぶりだね。」
「あ、久しぶり…。」

(なんだこれは…気まず過ぎる…。何故3人で遊ぼうとか言い出したんだ、この人は。)

「さて、おふたりさん!とりあえず何して遊ぼうか!」
「俺は何でもいいよ。」
「うん、私も。智美がしたいことしよ?」
「んー…そうだなぁ…。あ、ちょっと待ってて!」

そう言って、藤山さんは少し離れた自転車の元へ走っていった。

(やべぇ、2人きりになっちまったよ…。)

「蓮くん!」
「は、はい!何でしょうか…?」
「ごめんね、こんな面倒なことになっちゃって。」
「いや、全然大丈夫だよ。むしろこっちこそごめんな。まさか3人で遊ぶことになるとは思ってなかったわ…。」
「そうだよね、いつの間にか蓮くんに文句言ってやるって、蓮くんのアカウントを探し始めちゃって…。ほんとに迷惑かけちゃったよね。」
「いやいや、本当に大丈夫だって!そんな謝ることじゃないよ。それに俺は暇人だし?全然気にすんなって!w」

(やっぱり林は良い奴だな…。ほんと、誰にでも優しいなんて神かよ。)

「ごめんごめん!お待たせ!」

そう言って、藤山さんは手にラケットと羽根を持っていた。

「2人とも!バドミントンは好き?」
「俺は結構好きだけど…。」
「私もバドミントン、好きだよ」
「よし、じゃあ一緒にこれで遊ぼう!」


──こんな風にしばらく俺たちは3人で遊ぶことが増えていった。

「今日も楽しかった!ありがとう!」
「まぁ、俺はいつでも暇だし、全然連絡してくれ~」
「私も楽しかった、また遊ぼうね」

これがいつもの会話だった。俺はひとり家へと帰る。そんな日々が続いていた。
家でも藤山さんとはLIMEで毎日会話することが続いていた。たぶん、既に結構仲良くはなってたんだろうな。

だが、そんないつも通りの毎日に変化が訪れる。


(さてと、今日も楽しかったなぁ。何しようかな…)

ピロンッ

(お、藤山さんからだ)

『いま暇かな?あのさ、今度2人きりで会えないかな?』

2人きりで遊ばないかというLIMEだった。俺は別に2人きりでも構わないし、なんというか、藤山さんの少しグイグイ来る性格を悪くないと感じていた。

『全然いいよ!会おっか!』
『良かった!じゃあ次のお休みの日でいい?』
『いいよ、次の休みに会うことにしよう!』

俺はこのとき、誘いを断れば良かったのかもしれない。

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