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しおりを挟む「セレスタ、どうかドアを開けてくれ……!」
どうして……――――どうしてこんな事に……!
余計な事ばかりする、あんなリナーリ放っておけば良かったのに。 ―――その結果がこの様だ……ッ!
何もなければ、私の娘達がこの国を掌握していた。 それなのに……その為の土台を築いた私の苦労も知らずにッ!
カーラが私に対抗心を持っていたのは知っていた。 それがリナーリを脱落させる事になったのは私の落ち度。 それでも、私はアントーニアを時期国王にする自信があったからそれほど気に留めなかった。
―――それが間違いだった。
「セレスタ、君が心配なんだ……!」
「……あなた、もう少し一人にさせて……」
うるさい男だ、お前に構っている暇は無い。
あの時、カーラが私に言った―――
『お母様は甘いわ! せめてリナーリの嫁ぎ先は私に決めさせて!』
そして、リナーリはリベルノ・ロムニカルの元へ嫁ぐ事になった。
私は少し嬉しかった。 何故なら、私もリナーリの嫁ぎ先をそこに決めていたからだ。
第一王子が駄目なら、次に欲しいのはこの国の矛、武の象徴であるロムニカル家。 カーラをアントーニアの妻にし、財力のローズバインド家と武力のロムニカル家をもって国王に据えれば、アントーニアは私の操り人形になる。
実質、この国の実権を握るも同義。
それをカーラも考えての事なら、娘も大した物だ、そう思ったからだ。
「――なのにッ……!」
リベルノ・ロムニカル? イカれた男なのか、あの何を考えているか解らないリナーリなのか、それとも……あの駄目王子か?
カーラを殺し、私の計画を台無しにした。
なにより……
「聞いてくれ、私はカーラを守れなかった不甲斐ない夫だが、共に悲しみを分け合う存在で在りたいのだ……!」
……黙れ、土台が。
お前に私の悲しみを分かち合う事など出来る筈がない。 私が悲しんでいるのは―――
「ダイナック……!」
決起集会などと怪しいと思い、初めてカーラの傍に置いたのが間違いだった。
……だが、ダイナックの遺体は出てきていない。 リナーリとジェレミ、どちらの犯行かは断定出来ないが、私との交渉材料にするつもりだろう。
「必ず取り戻す……ダイナックだけは……!」
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