異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

文字の大きさ
289 / 526
第6章 王都近くのダンジョン編

今度こそ、スノービークに帰るぞ! 1

しおりを挟む

翌朝、目が覚めた俺は思わずガバっと起きて辺りを見渡す。

そこはテントの中で、自分はベッドの上で目が覚めたようだ。

ここはどこだろう?と思いつつ、周りのベッドを見るとリリーさんとリッキー、エミリーさんはまだ眠っていたようだ。

空のベッドが3個あるから、スコットさん達は起きてテントの外にいるんだろう。

ふと俺の横を見ると、そこには人型のユーリがスヤスヤと眠っていた。

どうやら俺が勢いよく起きても眠っているくらい、深い睡眠なのだろう。

俺はユーリを起こさないようそっとベッドから降りると、これまた静かにテントを出る。

すると外には案の定、スコットさん、セバス、リーシェさんの3人が焚き火を囲んで座っていた。

「……起きたのか、シエル?腹は減ってないか?」

テントから顔を出した俺に気がついたスコットさんは、手招きしながらそんな事を言う。……うん、お腹ペコペコだよ。


頷いた俺に、スコットさんは自分のマジックバッグからサンドウィッチを1つ取り出して手渡してきた。

俺は「ありがとう!」とお礼を言うとそのサンドウィッチに齧りつく。

それは照焼チキンとレタス、マヨネーズが挟んであるやつで、案外ガッツリ系だったのでお腹がものすごく空いていた俺にはぴったりだった。

「ねぇ、テントとかはどうやって鞄から出したの?」

俺はもっともな事をその場の3人に聞く。

あの鞄は登録者しか出し入れできないのだ。

「あぁ、それはユーリが出してくれたよ。あいつ、お前の鞄から出入り自由だろ?どうやらあいつもあの鞄の『登録者』らしいな。」

……なるほど、確かにユーリはあの鞄の『登録者』だったかな?

俺が納得して頷いていると、思わぬ事をセバスから聞かされた。

「シエル様、あの鞄にフォレストアントの卵がたくさん入っていますが、把握されていましたか?」

「ああ、それは知っている。でも孵化していなかっただろ?」

「……ええ、まだ孵化しておりません。ですが……あの者たちはもうすでに『フォレストアント』とは呼べない者に変質しているようですぞ?」

「……え?」

俺は目を点にしてセバスを見た。

……え?どういう事!?

「あの者たちはあの鞄の中でシエル様の神聖な魔力を吸って育っており、元の種族とはかけ離れた種族へと進化したようでございます。そしてその事実といたしましては、あの者たちはいつの間にかシエル様の従魔となっているということをあらわしております。」

……え?な、なんですとぉ~!?

その場に俺の叫び声がこだまする。


そりゃあ驚くよ!

だって俺、従魔契約してないじゃん!

なんで勝手にそうなるの!?

「シエルくん、その子たちをどうするつもりだい?」

驚いて固まっている俺に向かってリーシェさんはそんな事をのんびりした口調で聞いてくる。

「ど、どうするつもりも何も、従魔契約をした覚えは無いんですが?」

「そうだろうね?でも卵だから何が起きるのかわからないからね。そういうこともあるのかもね?」

「……。」

そんな事があっても困るんですけど!?

戸惑っている俺に、セバスは一つの提案をする。

「あの者たちはもうすでに凶悪なアントではなく、神聖な気を纏った穏やかな種族になっているようですので、一部をエルフの住まうあの森へと住まわせてはいかがでしょう?あそこならば立派に育ってくれれば、良い森の守護者の一角になってくれるやもしれません。流石にフェンリルの一家だけではなかなか危険な状況へとなっていましたからね。ちょうど良いと思われますが。」

……なるほど、それは一理あるかも。

アリ達を一部孵化させて森の守護者たるフェンリルへと預ければ、立派な守護者へと鍛えてくれるかもしれない。

それであの森がさらに平和になれば、その森に面しているスノービークも平和になっていくというものだ。

俺はうんうん頷くと、セバスの考えに賛成した。

「なるほど、そのアント達をあの森の中に、ねぇ。もしそんなに穏やかな種族へと変化したのなら、2、3匹ほどエルフの里にも常駐させてもらえないだろうか?あそこもんかものが少ないからねぇ。どうだろう?」

セバスの考えを聞いて考えていたリーシェさんは、そんな事を俺に提案する。

……なるほど、確かにあそこもなかなか人手不足になっていたようだもんね。考えてみるよ。



そんな事を話しているうちに、みんな起き出してきたようだ。

「……なぁ、さっきシエルの叫び声が聞こえた気がするんだけど?」

リッキーがあくびをしながらこちらへと歩いてくる。

俺が「おはよう!」と声をかけると、3人とも挨拶を返してくれた。……あれ、3人?

「ああ、ユーリはまだ寝てるよ。あいつ、相当疲れているのかなかなか起きないんだな。」

リッキーがチラッとテントを見てそんな事を言う。

昨日はユーリも走ったり、沸き出した魔物の討伐をしたりと活躍したからなぁ。やっぱり疲れたんだろうね。

ユーリはもう少し寝せておくことにし、とりあえず大人組は朝食を簡単に取ることにした。

俺はいつの間にか肩からかけていた鞄の中から菓子パンを取り出してみんなに配る。

久々のクリームパン、楽しみだね!

俺は元日本人チームにはコーヒーを、セバスとリーシェさんには紅茶を入れて出す。

もちろん俺は菓子パンにはコーヒー派だ。

「……ねぇ、シエルくん。その真っ黒い飲み物は何だい?」

リーシェさんは俺以外が飲んでいる物を見て、少しだけ口の端を引き攣らせながらそんなことを聞いてきた。

そうだよね、この世界には無い飲み物だ、気になるよね。

「これはコーヒーと言って、苦いけどとても良い匂いがする飲み物なんですよ。飲み慣れると癖になるんです。」

「でもあれだろ?お前、無糖、飲めないじゃん?それも加糖して牛乳入れてカフェオレにしてるしな。」

俺がリーシェさんにそう説明すると、俺のコーヒーを見てリッキーがからかってきた。

……良いじゃん、カフェオレ、美味しいよ?

するとリーシェさんも少し興味が出てきたらしく、俺と同じ飲み物を頼んできた。

俺は別なコップにカフェオレを作って渡してやると、早速カップに口をつけて飲み始める。

「これ、美味しいねぇ!甘くて苦くないし。これなら私も飲めるよ。」

リーシェさんはそんなことを言ってニコニコと笑顔になった。良かった、気に入ってもらえたんだね!



そうやってみんなで食べていると、やっとユーリが起き出してきた。おはよう、ユーリ!

ユーリは俺たちがパンを食べているのを見て「僕の分は!?」と俺に詰め寄る。

俺はユーリを押し留めると俺の横のテーブルに着席させ、菓子パンと紅茶を出してやる。

それを美味しそうに食べ始めるユーリを見て、俺はほっこりした。うんうん、たんとお食べ。
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化! 転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。 どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。 - カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました! - アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました! - この話はフィクションです。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

処理中です...