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第483話 それぞれの決断
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「おむつはこれぐらいあれば足りるかな?」
「あっちに赤ちゃん用品は結構送ったみたいなんで、大丈夫なんじゃないっすかね」
「ミルクもある?」
「あるっす。ヘンリー様が率先して赤ちゃん用品を色んな所からかき集めてるってリー君が言ってたっす」
「そっか! あっちについたら私、赤ちゃんを連れてる人達を出来るだけ集めようと思ってるの。もちろん家族が全員居るような所は安心だろうけど、私みたいに旦那さんがこの星に残る人も結構居るだろうし……」
騎士団のメンバーや今回の戦争に名乗りを上げた人達は比較的若い人が多かったそうだ。そうなると赤ん坊が生まれたばかりの家もきっと多いだろうと考えたドロシーは、あちらに到着したらまずはそういう人達を集めようと思っていた。
今回の戦争が何日ぐらいかかるのかは分からないが、きっと皆不安に思っているに違いない。
ドロシーの言葉を聞いてオリバーは笑顔で頷いてドロシーを撫でてくれる。
「すごくいいと思うっす。きっと最初は混乱してて皆、自分の事で必死だと思うんすよ。人間って、何ていうか混乱した時に一番本性が出るっていうか、本質みたいなのが出るんで、暴動とかも起こると思うんすよね。今回の鍵はレプリカに移動したあと、どれだけ皆が冷静でいられるかって事だと思うんす。そんな中赤ちゃんや小さな子どもを連れてる人達は本当に大変だと思うから、そういう場所があれば安心出来るんじゃないっすかね」
「オリバーもそう思う? それじゃあこのお話進めてもいい?」
「もちろんっす。ん? 進めるって誰とこの話してんすか?」
「え? えっとー……ステラ様とオリビア様と……ルカ様とヘンリー様……」
「はあ!?」
思いもよらない面子にオリバーが思わずドロシーを凝視すると、ドロシーはもじもじと指をこすり合わせる。これはドロシーがヤバい事をしてしまったと反省している時の癖だ。
「あ、あのね! 最初はティナにこの話をしたの。そうしたらティナが凄く感激して、その後キャロライン様に話が言ってね? そこから何ていうかその……芋づる式に……ご、ごめんなさい!」
オリビアとヘンリーはこの提案にすぐさま賛成するだろうなとは思っていたが、まさかステラとルカまで出てくるとは思ってもいなかったドロシーだ。
次の瞬間、申し訳なさそうに俯いて指を擦り合わせるドロシーの体が浮いた。
「はははははは! もう何やっても王族との縁は絶対に切れないんすね! さすがヒロインっすよ! ああ、もう。そろそろ俺も腹くくるっす。ドロシー、そうと決まったら王家の人達をうまく使って次の世代の子たち守ってやって」
「いいの?」
「もちろん。むしろ何でそんな申し訳無さそうな顔してるんすか?」
「だ、だってオリバー、ルカ様苦手じゃない?」
「まぁ得意か苦手かって言ったら苦手だけど、それは完全に俺の個人的な感想なんで。それに苦手なだけで決して嫌いではないんすよ。だからドロシーはドロシーの思うように動いたらいい。あのグランの時みたいに」
「うん! 私もちゃんと戦うよ! 皆と一緒に世界を守るからね」
「はは、頼もしくて泣きそうっすね。うん、頼りにしてる。でも無理はしないで」
「分かってる。でもそれはオリバーもだよ。無茶は……しないでね」
「っす」
それから二人はいつものように一緒に夕食の準備をして、いつもと何も変わらない日を過ごした。豪勢にするよりも何よりも、こういう毎日こそが本当の幸せだと知っていたからだ。
「あっちに赤ちゃん用品は結構送ったみたいなんで、大丈夫なんじゃないっすかね」
「ミルクもある?」
「あるっす。ヘンリー様が率先して赤ちゃん用品を色んな所からかき集めてるってリー君が言ってたっす」
「そっか! あっちについたら私、赤ちゃんを連れてる人達を出来るだけ集めようと思ってるの。もちろん家族が全員居るような所は安心だろうけど、私みたいに旦那さんがこの星に残る人も結構居るだろうし……」
騎士団のメンバーや今回の戦争に名乗りを上げた人達は比較的若い人が多かったそうだ。そうなると赤ん坊が生まれたばかりの家もきっと多いだろうと考えたドロシーは、あちらに到着したらまずはそういう人達を集めようと思っていた。
今回の戦争が何日ぐらいかかるのかは分からないが、きっと皆不安に思っているに違いない。
ドロシーの言葉を聞いてオリバーは笑顔で頷いてドロシーを撫でてくれる。
「すごくいいと思うっす。きっと最初は混乱してて皆、自分の事で必死だと思うんすよ。人間って、何ていうか混乱した時に一番本性が出るっていうか、本質みたいなのが出るんで、暴動とかも起こると思うんすよね。今回の鍵はレプリカに移動したあと、どれだけ皆が冷静でいられるかって事だと思うんす。そんな中赤ちゃんや小さな子どもを連れてる人達は本当に大変だと思うから、そういう場所があれば安心出来るんじゃないっすかね」
「オリバーもそう思う? それじゃあこのお話進めてもいい?」
「もちろんっす。ん? 進めるって誰とこの話してんすか?」
「え? えっとー……ステラ様とオリビア様と……ルカ様とヘンリー様……」
「はあ!?」
思いもよらない面子にオリバーが思わずドロシーを凝視すると、ドロシーはもじもじと指をこすり合わせる。これはドロシーがヤバい事をしてしまったと反省している時の癖だ。
「あ、あのね! 最初はティナにこの話をしたの。そうしたらティナが凄く感激して、その後キャロライン様に話が言ってね? そこから何ていうかその……芋づる式に……ご、ごめんなさい!」
オリビアとヘンリーはこの提案にすぐさま賛成するだろうなとは思っていたが、まさかステラとルカまで出てくるとは思ってもいなかったドロシーだ。
次の瞬間、申し訳なさそうに俯いて指を擦り合わせるドロシーの体が浮いた。
「はははははは! もう何やっても王族との縁は絶対に切れないんすね! さすがヒロインっすよ! ああ、もう。そろそろ俺も腹くくるっす。ドロシー、そうと決まったら王家の人達をうまく使って次の世代の子たち守ってやって」
「いいの?」
「もちろん。むしろ何でそんな申し訳無さそうな顔してるんすか?」
「だ、だってオリバー、ルカ様苦手じゃない?」
「まぁ得意か苦手かって言ったら苦手だけど、それは完全に俺の個人的な感想なんで。それに苦手なだけで決して嫌いではないんすよ。だからドロシーはドロシーの思うように動いたらいい。あのグランの時みたいに」
「うん! 私もちゃんと戦うよ! 皆と一緒に世界を守るからね」
「はは、頼もしくて泣きそうっすね。うん、頼りにしてる。でも無理はしないで」
「分かってる。でもそれはオリバーもだよ。無茶は……しないでね」
「っす」
それから二人はいつものように一緒に夕食の準備をして、いつもと何も変わらない日を過ごした。豪勢にするよりも何よりも、こういう毎日こそが本当の幸せだと知っていたからだ。
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