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第532話 スチュアート家とバレンシア家
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「リセット前の世界の産物よ。当時この世界は量子で成り立っていた。だから全ての生物は自分のしたい事、好きな事に時間を使うことが出来たの。でもね、そうなると今度は全てを支配したがる生物が現れるのよね。その支配したい層からしたら、この技術はとても邪魔だった。だからこの装置は全て回収されたのよ。その後、大規模な戦争が起きて星はリセットされてしまった。きっと一部の人たちがこれを隠し持っていたんでしょうね……くそ、回収しこねてたか……あいつらだな」
ボソリと観測者が小声で呟いたのをノエルは聞き逃さなかった。
「観測者さん、今のどういう意味? 観測者さんが回収して回ってたの?」
「え!? ち、違うわ! 今の話の流れでいくと私が支配者層だったと思ってない!?」
「……違うの?」
「違うわよ! 観測者や妖精王がそんな物持ってても仕方ないでしょ! 私たちはリセットの後に回収してたのよ! ディノにも聞いてちょうだい! この子も回収してた側なんだから!」
子どもたちに不審な顔を向けられて慌てて観測者が言うと、子どもたちは一斉にレックスを見た。
「そうだって言ってる。太古の妖精たちと観測者、それから……アンソニー王のお父さんがそれをしていたって」
「アンソニー王のお父さんって、父さまと同じところから来た人だよね? それじゃあ大分長い間これはリセット後もあったって事?」
不思議そうにノエルが首を傾げると、観測者が気まずそうに頷いた。
「そういう事になるわね。でも大方目星はついてるわ。リセット後にしばらくして現れた賢者と名乗った奴らよ。今はスチュアート家とバレンシア家と言われているわね」
「! アーロとおじいちゃんの!?」
「そう。元々はその家柄は一つだったの。でもいつしか2つは全く違う思想を抱いて枝分かれをして今に至る。後はあなた達も知っての通りよ。バレンシア家とスチュアート家はもう何百年も敵対しているわ」
「アーロとユアンの家柄の話は今はどうでもいいです。問題は、この装置がまだ残っていて、それをアメリアが持っているということでは?」
ノエルと観測者の話しを遮ったレオが静かに言うと、二人は口をつぐんで頷いた。
「レオの言う通りだ。観測者、この装置には他に何が出来るのだ?」
「そうね……本来この装置には強力なストッパーがかけられているはずなの。だから大層な事は出来ないはずよ。けれど、そのストッパーが経年劣化で壊れていたり、もしくは故意に壊したりしたら……次元を開く事ぐらいは出来るわね」
「次元を開く? ふむ……アメリアが今更姉妹星に行きたがるとは考えにくい。という事は、過去に戻り何かを変えるのが目的だと考えるのが妥当だろうか」
「何を変えるの? 僕はアメリアが人生をやり直したいとは思ってないと思うけど」
「ああ、アメリア自身の人生を変える事は望んでいないだろうが、それこそ目的を邪魔する奴らを消してしまおうなどと愚かな事は考えるかもしれない」
「……」
妖精王の言葉にノエルは黙り込んだ。そうなると一番危ないのはまず間違いなくアリスとノアだ。アメリアにとって、あの二人ほど邪魔な人物は居ないだろう。
青ざめたノエルの肩を、観測者が慰めるように叩いた。
「安心してちょうだい。それは多分ないわ」
「何故です?」
「この装置だけではそれは出来ないからよ。この装置はあくまでも原子を複製するだけの物なの。無理やり壊して例えば次元を開く事は出来ても、その先がこれでは出来ない。次元を正しく超える為のゲートを探して繋げないと。そしてそのゲートを守るのは、私の親友達よ」
「古代妖精!」
アミナスが大声で叫ぶと、観測者は満足そうに頷いた。
ボソリと観測者が小声で呟いたのをノエルは聞き逃さなかった。
「観測者さん、今のどういう意味? 観測者さんが回収して回ってたの?」
「え!? ち、違うわ! 今の話の流れでいくと私が支配者層だったと思ってない!?」
「……違うの?」
「違うわよ! 観測者や妖精王がそんな物持ってても仕方ないでしょ! 私たちはリセットの後に回収してたのよ! ディノにも聞いてちょうだい! この子も回収してた側なんだから!」
子どもたちに不審な顔を向けられて慌てて観測者が言うと、子どもたちは一斉にレックスを見た。
「そうだって言ってる。太古の妖精たちと観測者、それから……アンソニー王のお父さんがそれをしていたって」
「アンソニー王のお父さんって、父さまと同じところから来た人だよね? それじゃあ大分長い間これはリセット後もあったって事?」
不思議そうにノエルが首を傾げると、観測者が気まずそうに頷いた。
「そういう事になるわね。でも大方目星はついてるわ。リセット後にしばらくして現れた賢者と名乗った奴らよ。今はスチュアート家とバレンシア家と言われているわね」
「! アーロとおじいちゃんの!?」
「そう。元々はその家柄は一つだったの。でもいつしか2つは全く違う思想を抱いて枝分かれをして今に至る。後はあなた達も知っての通りよ。バレンシア家とスチュアート家はもう何百年も敵対しているわ」
「アーロとユアンの家柄の話は今はどうでもいいです。問題は、この装置がまだ残っていて、それをアメリアが持っているということでは?」
ノエルと観測者の話しを遮ったレオが静かに言うと、二人は口をつぐんで頷いた。
「レオの言う通りだ。観測者、この装置には他に何が出来るのだ?」
「そうね……本来この装置には強力なストッパーがかけられているはずなの。だから大層な事は出来ないはずよ。けれど、そのストッパーが経年劣化で壊れていたり、もしくは故意に壊したりしたら……次元を開く事ぐらいは出来るわね」
「次元を開く? ふむ……アメリアが今更姉妹星に行きたがるとは考えにくい。という事は、過去に戻り何かを変えるのが目的だと考えるのが妥当だろうか」
「何を変えるの? 僕はアメリアが人生をやり直したいとは思ってないと思うけど」
「ああ、アメリア自身の人生を変える事は望んでいないだろうが、それこそ目的を邪魔する奴らを消してしまおうなどと愚かな事は考えるかもしれない」
「……」
妖精王の言葉にノエルは黙り込んだ。そうなると一番危ないのはまず間違いなくアリスとノアだ。アメリアにとって、あの二人ほど邪魔な人物は居ないだろう。
青ざめたノエルの肩を、観測者が慰めるように叩いた。
「安心してちょうだい。それは多分ないわ」
「何故です?」
「この装置だけではそれは出来ないからよ。この装置はあくまでも原子を複製するだけの物なの。無理やり壊して例えば次元を開く事は出来ても、その先がこれでは出来ない。次元を正しく超える為のゲートを探して繋げないと。そしてそのゲートを守るのは、私の親友達よ」
「古代妖精!」
アミナスが大声で叫ぶと、観測者は満足そうに頷いた。
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