572 / 746
第570話 アリスこそが宇宙!(ライラ談)
しおりを挟む
「キャロライン様、子どもたちからの情報です。ノエル達が理由は分かりませんがうちの倉庫に向かうそうです。ここが一段落したらそちらへ向かってもいいですか?」
ライラは耳に入れた小さな集音器から聞こえてきたジャスミンの声を聞くなり、その事をキャロライン達に告げた。
「それは構わないけれど、どうしてわざわざ地上に?」
「そうだぞ。あいつらは地上が今どんな事態になっているのか知らないのか?」
呼吸を整えながらキャロラインがと尋ねると、ライラはいつもの笑顔で首を振る。
「もちろん知っていると思います。何なら私達よりも今は子どもたちの方が情報通だと思います。それでもノエル達が倉庫に向かうそうです」
きっと何かの作戦を思いつき、彼らなりに自分たちを助けようとしてくれているに違いない。
ライラが得意げに言うと、上方からシャルの声が聞こえてきた。
「ここは私達が何とかしましょう。あなた達はノエル達の元へ向かってください。こちらに誰か一人回してもらえるよう手配しますので」
「それじゃあ……お願いするわね。それにしても、突然どうしたのかしら? ライラ、詳しい事は聞いていないの?」
レックスがディノを目覚めさせる役割をしなければならないようなので渋々ノエル達がここに残る事を受け入れたキャロラインだが、内心ではやはり地下でじっとしていてほしい。
「何も。でも、私はあの子達を信じていますよ! キャロライン様は違うんですか?」
「し、信じてはいるわ。もちろんよ! ただ……やっぱり危ないことは避けてほしいわ」
「そうですね。それは私もです。ですが自分たちがしてきた事を思い返すとあまり強くは言えませんし……。でもだからこそ今から向かうんです! あの子達が地上に出てきても安全でいられるように! アリスがね、言ったんです。私達な~んにもしてないのにねって。あの時は子供ながらに考えて正しいと思った事を好き勝手やっただけで、それを支えて守ってくれた人たちこそが英雄なのにねって。それを聞いて私は妙に納得してしまいました。だから今度は私達があの子達を支え、守る番です!」
学生の時、全部自分たちだけでやり遂げたような気になっていた事があった。
けれどそれは大きな間違いで、実際には色んな所で色んな人達が裏でライラ達を支え、守ってくれていたのだ。そのおかげで今はどこへ行っても英雄だと言われるが、本当の英雄は支え、守ってくれた人たちだと言うことをライラはアリスから学習した。
「……そうね。ライラの言う通りね。私達が正に歩んだ道をあの子達は歩もうとしている。私たちは当時私達を支えてくれた人たちのように振る舞わなくてはいけないわね」
「アリスはたまに本質を言い当てるな。それが彼女が驕らない一番の理由なのだろうな。誰が、何が欠けても生きてはいけない。ふむ……当たり前の事だが、それを認めるのは難しい。こういう時はアリスのお花畑は何かとても崇高なもののような気がするな……」
そう考えると途端にアリスは実は物凄いのではないかとさえ思えてくるが、そんな考えをライラが興奮したように続ける。
「私はアリスのお花畑はそれはもう広大なんだと思うの。だから私はアリスは大地の化身だと思っているのよ。アリスの中にはもう一つの星があるの。そう、アリスこそ宇宙!」
「あ、すまない。一瞬崇高に思えたが、今のを聞いて途端に違う気がしてきたな」
いつの時代もそうだが、信者がおかしな行動や言動をすると、その頂点までもが途端に変わり者に思えてくるものである。
「ティナ、ライラに聞いては駄目。アリスは確かにたまにとても真理ような事を言うけれど、100ある内の1つか2つよ。それ以外の言動や行動はとても同じ生物とは思えなくなる時がある。それはあなたもよく知っているでしょう?」
「う……そ、そうだったな」
今までのアリスの数々の言動や行動を思い出したティナが思わず視線を彷徨わせると、キャロラインが深く頷く。
ライラは耳に入れた小さな集音器から聞こえてきたジャスミンの声を聞くなり、その事をキャロライン達に告げた。
「それは構わないけれど、どうしてわざわざ地上に?」
「そうだぞ。あいつらは地上が今どんな事態になっているのか知らないのか?」
呼吸を整えながらキャロラインがと尋ねると、ライラはいつもの笑顔で首を振る。
「もちろん知っていると思います。何なら私達よりも今は子どもたちの方が情報通だと思います。それでもノエル達が倉庫に向かうそうです」
きっと何かの作戦を思いつき、彼らなりに自分たちを助けようとしてくれているに違いない。
ライラが得意げに言うと、上方からシャルの声が聞こえてきた。
「ここは私達が何とかしましょう。あなた達はノエル達の元へ向かってください。こちらに誰か一人回してもらえるよう手配しますので」
「それじゃあ……お願いするわね。それにしても、突然どうしたのかしら? ライラ、詳しい事は聞いていないの?」
レックスがディノを目覚めさせる役割をしなければならないようなので渋々ノエル達がここに残る事を受け入れたキャロラインだが、内心ではやはり地下でじっとしていてほしい。
「何も。でも、私はあの子達を信じていますよ! キャロライン様は違うんですか?」
「し、信じてはいるわ。もちろんよ! ただ……やっぱり危ないことは避けてほしいわ」
「そうですね。それは私もです。ですが自分たちがしてきた事を思い返すとあまり強くは言えませんし……。でもだからこそ今から向かうんです! あの子達が地上に出てきても安全でいられるように! アリスがね、言ったんです。私達な~んにもしてないのにねって。あの時は子供ながらに考えて正しいと思った事を好き勝手やっただけで、それを支えて守ってくれた人たちこそが英雄なのにねって。それを聞いて私は妙に納得してしまいました。だから今度は私達があの子達を支え、守る番です!」
学生の時、全部自分たちだけでやり遂げたような気になっていた事があった。
けれどそれは大きな間違いで、実際には色んな所で色んな人達が裏でライラ達を支え、守ってくれていたのだ。そのおかげで今はどこへ行っても英雄だと言われるが、本当の英雄は支え、守ってくれた人たちだと言うことをライラはアリスから学習した。
「……そうね。ライラの言う通りね。私達が正に歩んだ道をあの子達は歩もうとしている。私たちは当時私達を支えてくれた人たちのように振る舞わなくてはいけないわね」
「アリスはたまに本質を言い当てるな。それが彼女が驕らない一番の理由なのだろうな。誰が、何が欠けても生きてはいけない。ふむ……当たり前の事だが、それを認めるのは難しい。こういう時はアリスのお花畑は何かとても崇高なもののような気がするな……」
そう考えると途端にアリスは実は物凄いのではないかとさえ思えてくるが、そんな考えをライラが興奮したように続ける。
「私はアリスのお花畑はそれはもう広大なんだと思うの。だから私はアリスは大地の化身だと思っているのよ。アリスの中にはもう一つの星があるの。そう、アリスこそ宇宙!」
「あ、すまない。一瞬崇高に思えたが、今のを聞いて途端に違う気がしてきたな」
いつの時代もそうだが、信者がおかしな行動や言動をすると、その頂点までもが途端に変わり者に思えてくるものである。
「ティナ、ライラに聞いては駄目。アリスは確かにたまにとても真理ような事を言うけれど、100ある内の1つか2つよ。それ以外の言動や行動はとても同じ生物とは思えなくなる時がある。それはあなたもよく知っているでしょう?」
「う……そ、そうだったな」
今までのアリスの数々の言動や行動を思い出したティナが思わず視線を彷徨わせると、キャロラインが深く頷く。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
120
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる