【完結】傲慢王子エデンと内気男爵リオンの恋模様

えるろって

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第5話 姉・セシリアの助言

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「ねえ、エデン。何か悩んでいることがあるんじゃない?」

 
王宮の一室で、第一王女セシリアは弟の表情をじっと見つめる。エデンは普段通りのそっけない態度を崩さないが、姉の前では少しだけ気を緩めている様子だった。

 
「悩みなんてない。……姉上こそ、何の用だ?」

 
エデンは投げやりに言い放つ。セシリアはふふっと微笑みながら、窓際の席に腰掛けた。繊細なレースのドレスに包まれた姿は、まさに王女そのものだ。

 
「あなたの顔を見れば分かるの。エデン、いつもより落ち着きがない。……もしかして恋?」

 
「……は?」

 
あまりに直球な問いかけに、エデンは思わず言葉を詰まらせる。セシリアは真顔で続ける。

 
「第二王子であるあなたが、恋をする相手は限られているわ。噂にならないように気をつけなくちゃね」

 
「……俺はそんなつもりじゃない」

 
強がるエデンに、セシリアは小さく笑う。

 
「そう? でも、何か心に引っかかる存在がいるなら、それを無理に否定することはないわ」

 
エデンは言葉に詰まり、窓の外へと視線を逸らす。セシリアは弟のそんな姿を微笑ましく思いながらも、真剣な声で言葉を紡ぐ。

 
「エデンはプライドが高いし、王族としての振る舞いを常に求められる。それに慣れすぎて、本当の気持ちを見失うのはもったいないわ」

 
「……姉上、俺は……」

 
何かを言いかけるが、エデンは言葉を飲み込む。セシリアは優しく微笑んでそっとエデンの手に触れる。

 
「もし、あなたが心を寄せる相手がいるなら、周りに何を言われても、まずはあなた自身がそれを認めてあげなさい。……いいわね?」

 
「……分からない。まだ、はっきりしない」

 
正直なところ、エデン自身もリオンに対して抱く感情が何なのか理解できていない。ただ一緒にいると心がざわつく。それだけが確かだった。

 
「焦らなくてもいいの。エデンが本当に大切に思うなら、きっと相手も応えてくれる。……それがどんな形であれ、ね」

 
セシリアはエデンの顔をのぞき込み、軽く微笑む。まるで弟の初恋を心配する姉のように見えるその表情に、エデンは少しだけ安心感を覚えた。

 
「姉上、ありがとう。……少し気が楽になった」

 
エデンが素直に礼を言うと、セシリアは「どういたしまして」と優雅にお辞儀をする。そしてスカートを揺らしながら立ち上がり、部屋を出る前に振り返る。

 
「恋は時に、プライドを壊すけれど、それ以上の幸福をもたらしてくれるかもしれないわよ」

 
意味深な言葉を残し、セシリアは去っていった。エデンはしばらくその背を見つめた後、一人になった部屋でそっと息を吐く。

 
(恋、か……まさか、俺が……)

 
その相手が、男爵家のリオンだと断言できるほど、エデンはまだ自分を理解していなかった。でも、頭に浮かぶのはやはりあの柔和な瞳をした青年の姿。自分とは全く違う、静かで内向的に見えるのに、なぜか妙な力強さを感じる男。

 
(あいつは……一体、何者なんだ)
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