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第8話 父の心配
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「リオン、お前……最近、やけに浮かれているようだな」
クレイド男爵家の居間。父アルベールは微笑みながらも少し心配そうに息子を見やる。リオンは紅茶を飲みながら、どこか上の空だ。
「あ、あはは……そうですか? そんなつもりはないんですけど」
実際、リオンの気持ちは大きく揺れている。エデン王子と話す機会が増え、彼の意外な一面を知るたびに胸が高鳴るのだ。
「噂では、第二王子に近づいているとか。男爵家とはいえ、相手は王族だ。変に巻き込まれないか、わしは心配だよ」
アルベールは穏やかな目で息子を見つめる。リオンは少しだけ視線を伏せて、正直に胸の内を打ち明けた。
「父上……僕、エデン殿下に……特別な感情を抱いているように思います」
「……特別な感情、か?」
一瞬、アルベールは戸惑いの色を見せる。リオン自身もはっきりと「恋」と認めているわけではない。だが、他に言い表す言葉が見つからないのだ。
「もし、僕が殿下を……好きになったとして。父上はどうお考えになりますか?」
リオンは勇気を振り絞って尋ねた。アルベールは息をのみ、しばらく黙っていたが、やがて静かに口を開く。
「わしはお前の父である前に、一人の人間だ。好きになる相手を自分で選ぶ権利は誰にでもある。ただ……それが王族となると、障害も多いだろう。お前が傷つくのではないかと、それが心配だ」
「……父上」
アルベールの言葉に、リオンは胸が熱くなる。親として息子を守りたい一心だと分かるからこそ、ありがたくもあり、少し申し訳ない気持ちにもなる。
「けれど、お前が本気で想うなら、わしも全力で助けてやりたい。それが親というものだろう?」
「ありがとうございます……!」
リオンはアルベールに向かって深く頭を下げる。まさかこんな風に理解を示してくれるとは思わなかった。
「ただし、無理はするな。……王家が相手だぞ。周りの目もあるし、お前が苦しい思いをすることになるかもしれん」
「はい……覚悟はしています。だけど、どうしても殿下のことが気になって……」
言いながら、リオンはエデンの姿を思い浮かべる。冷たい言葉の裏に見え隠れする優しさ、そして時々見せる寂しげな横顔――もっと知りたいと思わずにいられない。
「リオン、わしにできることがあれば何でも言うんだぞ」
アルベールの力強い言葉に、リオンは心から感謝した。もし自分が傷ついても、それを支えてくれる存在がここにある。ならば、もう少しだけ勇気を出そう。
「……はい。父上、ありがとうございます」
リオンはそう答えながら、何か大きな決意を固めるように拳を握り締めるのだった。
クレイド男爵家の居間。父アルベールは微笑みながらも少し心配そうに息子を見やる。リオンは紅茶を飲みながら、どこか上の空だ。
「あ、あはは……そうですか? そんなつもりはないんですけど」
実際、リオンの気持ちは大きく揺れている。エデン王子と話す機会が増え、彼の意外な一面を知るたびに胸が高鳴るのだ。
「噂では、第二王子に近づいているとか。男爵家とはいえ、相手は王族だ。変に巻き込まれないか、わしは心配だよ」
アルベールは穏やかな目で息子を見つめる。リオンは少しだけ視線を伏せて、正直に胸の内を打ち明けた。
「父上……僕、エデン殿下に……特別な感情を抱いているように思います」
「……特別な感情、か?」
一瞬、アルベールは戸惑いの色を見せる。リオン自身もはっきりと「恋」と認めているわけではない。だが、他に言い表す言葉が見つからないのだ。
「もし、僕が殿下を……好きになったとして。父上はどうお考えになりますか?」
リオンは勇気を振り絞って尋ねた。アルベールは息をのみ、しばらく黙っていたが、やがて静かに口を開く。
「わしはお前の父である前に、一人の人間だ。好きになる相手を自分で選ぶ権利は誰にでもある。ただ……それが王族となると、障害も多いだろう。お前が傷つくのではないかと、それが心配だ」
「……父上」
アルベールの言葉に、リオンは胸が熱くなる。親として息子を守りたい一心だと分かるからこそ、ありがたくもあり、少し申し訳ない気持ちにもなる。
「けれど、お前が本気で想うなら、わしも全力で助けてやりたい。それが親というものだろう?」
「ありがとうございます……!」
リオンはアルベールに向かって深く頭を下げる。まさかこんな風に理解を示してくれるとは思わなかった。
「ただし、無理はするな。……王家が相手だぞ。周りの目もあるし、お前が苦しい思いをすることになるかもしれん」
「はい……覚悟はしています。だけど、どうしても殿下のことが気になって……」
言いながら、リオンはエデンの姿を思い浮かべる。冷たい言葉の裏に見え隠れする優しさ、そして時々見せる寂しげな横顔――もっと知りたいと思わずにいられない。
「リオン、わしにできることがあれば何でも言うんだぞ」
アルベールの力強い言葉に、リオンは心から感謝した。もし自分が傷ついても、それを支えてくれる存在がここにある。ならば、もう少しだけ勇気を出そう。
「……はい。父上、ありがとうございます」
リオンはそう答えながら、何か大きな決意を固めるように拳を握り締めるのだった。
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