【完結】傲慢王子エデンと内気男爵リオンの恋模様

えるろって

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第13話 背中合わせの孤独

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「今日は殿下にお会いできないんでしょうか」

 
リオンは王宮の廊下を歩きながら、小声で呟く。普段ならば、エデンが執務室や庭園に顔を出すタイミングを見計らえば、ちらりと会えることが多かった。だがこの日は、王宮の者たちの口から「殿下はお忙しい」「殿下はご予定が詰まっている」と繰り返し聞かされるだけだった。

 
「リオン様、今日は殿下は政務に追われておられるようです。お引き取りいただいたほうがよろしいかと」

 
控えめにそう伝える侍女の言葉に、リオンは寂しさを噛み締めながら頷く。自分はただの男爵家の次男。王族のスケジュールに口を挟める立場ではない。

 
「……分かりました。また出直します」

 
リオンはすごすごと王宮を後にしようとするが、途中の廊下で思わぬ人物と出会う。エデンの姉、セシリア王女だ。彼女は優雅な笑みを浮かべて声をかける。

 
「リオン、エデンのことでしょう? 今日は会えなかったのね」

 
「はい……殿下の邪魔をするわけにもいかないので」

 
リオンが申し訳なさそうに答えると、セシリアは小さく首を振って微笑む。

 
「ふふ、気にしなくていいわ。王族にも休みたい時はあるし、仕事で疲弊している日もあるもの。エデンは、周囲に心を許しにくい子だから」

 
リオンは意外に思う。エデンは常に強気で完璧に見えるが、実は人に頼ることが苦手なのだろうか。

 
「そう……なんですね。僕は殿下のことを何も知らないんだと思います」

 
「でも、あなたはあの子の心に少しずつ入り込んでいるように見えるわ」

 
セシリアの言葉に、リオンは思わず胸が熱くなる。自分がエデンの心に触れられているのだとしたら、これほど幸せなことはない。

 
「エデンは昔から孤独を抱えていた。王族としての重責があっても、誰にも弱みを見せられなかったのよ。そこを理解してあげて」

 
「僕に何ができるか分かりません。だけど、殿下が望むなら、ずっとそばにいてあげたい……そう思います」

 
リオンの言葉に、セシリアは柔らかく笑みを深める。王女としての気品と、姉としての優しさが混じった表情だ。

 
「ありがたいわ。あの子はプライドが高いから、素直に助けを求められない。でも、あなたなら何かできるかもしれない。……殿下が今日会えないのは残念だけど、また来てあげて」

 
リオンは深く頭を下げる。セシリアの温かな励ましに、胸が救われるような思いだった。

 
「ありがとうございます、王女殿下」

 
小さく微笑み返すと、リオンは再び王宮の出口へ向かう。どんなにエデンが強く見えても、その背中にはきっと人知れぬ不安や重荷があるのだろう。背中合わせに感じる孤独を、いつかリオンが支えられたら――そう願わずにいられない。
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