【完結】傲慢王子エデンと内気男爵リオンの恋模様

えるろって

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第14話 姉弟のすれ違い

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「セシリア姉上、またリオンに余計なことを吹き込んだのか」

 
数日後、エデンは姉の部屋を訪れるなり、不機嫌そうに切り出す。セシリアは窓辺の椅子に腰掛け、つとめて穏やかな微笑みを浮かべる。

 
「余計なこと、とは失礼ね。少しアドバイスしただけよ。リオンがあなたのことを心配していたから」

 
「俺は心配などされたくない。……姉上だって、俺が王族としてどうあるべきか知っているはずだ」

 
エデンは苛立ちを隠せずにいる。リオンに対する自分の気持ちは明確にならないまま、周囲がどんどん関与してくるように思えて落ち着かないのだ。

 
セシリアはそんな弟にため息をつき、静かに言葉を紡ぐ。

 
「エデン、あなたはいつもそう。自分一人で何とかしようとして、周りを遠ざける。でもリオンは、あなたを助けたいと思っているわ。それは悪いこと?」

 
「……悪くはない」

 
エデンは言い返そうとするが、どうにも言葉が続かない。リオンの存在を完全に否定できないし、その好意を拒絶しきれない自分がいるからだ。

 
「何が不満なのかしら。リオンがあなたを慕ってくれることが?」

 
「そうじゃない。……俺は、あいつを巻き込みたくない。王族に近づけば、あいつが余計な噂や嫌がらせを受けるかもしれない」

 
そう吐き出すと、セシリアはわずかに瞳を潤ませて頷く。

 
「あなたらしいわね。優しさのつもりかもしれないけど、その実、リオンの選択肢を奪っているかもしれないわよ。あの子はきっと、それでもいいからあなたのそばにいたいって思っている」

 
エデンは言葉を失う。確かに、リオンは周囲の目をものともせず、自分に近づいてきた。それがどれほどの勇気と決意を要するか、エデンも想像がつかないわけではない。

 
「……俺には、分からないんだ。どうしてあいつはそこまで」

 
エデンが小さく呟くと、セシリアは優しく目を細める。

 
「それを知るために、あなたが動くしかないんじゃない? 何もせずに逃げ回っているだけでは、いつまで経っても分からない」

 
そう諭すように言い終えると、セシリアは席を立つ。エデンは胸に重くのしかかる感情を抱えたまま、その背を見送った。

 
「(俺は何を怖がっているんだ。リオンが傷つくことか。あるいは、俺自身が傷つくことを恐れているのか)」

 
そう思いながらも、答えはまだ見つからない。姉弟の言い合いは、さらにエデンの心を揺さぶり、リオンとのすれ違いを予感させていた。
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