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第23話 秘めた過去
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「殿下は、幼い頃から期待を背負ってこられたんでしょうか」
リオンは医務室のベッドに腰掛けながら、意を決してそう尋ねる。手の火傷を冷やし終え、包帯を巻いた状態で、エデンと二人きりになっていた。
「……どうしてそんなことを聞く」
エデンはわずかに表情を曇らせる。リオンは躊躇いながらも、どうしても知りたい気持ちを抑えられない。
「王女殿下から、殿下のことを少しうかがいました。王家としての重責を一人で抱えていたって……でも、殿下のお気持ちは誰も知らないんじゃないかって」
エデンは短く息を吐き、ドアの方に目を向ける。誰もいないことを確認してから、意を決したように言葉を紡いだ。
「俺は第一王子ではない。けれど、才能があるとか、カリスマ性があるとか、勝手に周りが騒いで持ち上げてきた。小さい頃から何でもできて当然と思われ、失敗は許されなかった」
リオンはじっと耳を傾ける。エデンが自分の過去を語るなんて、珍しいことなのだろう。表情は硬く、どこか痛々しい。
「父上や王宮の者に褒められても、それが本当の評価なのか分からなかった。失敗すれば、一気に失望の目を向けられるかもしれない。……そんな不安を、誰にも言えずにいた」
「殿下……」
リオンは胸が締め付けられる思いだ。傲慢で強気に見えるエデンにも、幼い頃から孤独が寄り添っていたのだと知り、痛みが走る。
「だから、誰も信用できなくなった。いくら寄ってきても、どうせ俺が王族だからだろうと。何かを求めるからすり寄るだけだと、思ってしまう」
エデンの瞳が、わずかに潤んでいるようにも見える。それを見て、リオンは言葉が出ない。彼が抱えてきた孤独や疑念は、一朝一夕で消せるものではないだろう。
「でも……僕は、殿下に何も求めていないです。ただ、殿下が笑顔でいられるように……少しでもお力になりたいと思っただけで」
リオンの言葉に、エデンは自嘲気味に笑う。
「そんなことを言う奴は何人もいた。だが、結局は皆、俺の地位や権力を利用しようとするだけだった。……お前がどうかはまだ分からない」
冷たい言葉が返ってくる。けれど、リオンは逃げ出さない。強い意志を込めてエデンを見つめる。
「僕が本気だっていう証拠を、いつか殿下に見せられたら……それでいいですか」
エデンは目を伏せ、沈黙が流れる。しばらくして、重い唇を開いた。
「お前が偽物なら、とっくに俺は排除している。……今こうして話しているのは、俺がまだお前を見限っていない証拠なんだろう」
その言葉に、リオンの胸は熱くなる。エデンの頑なな心に、少しだけ隙間が生まれている気がした。秘めた過去を語ってくれたのも、決して小さな一歩ではない。
「殿下……ありがとうございます。もっと僕は殿下のことを知りたいし、殿下の不安を共有したい。そういうのを、信じてもらえるようになりたいです」
微かに微笑むリオンを、エデンは静かに見つめる。信じたい気持ちと、傷つきたくない思い。二つの感情がせめぎ合う中、エデンは何も言わずにそっとリオンの肩に手を置いたのだった。
リオンは医務室のベッドに腰掛けながら、意を決してそう尋ねる。手の火傷を冷やし終え、包帯を巻いた状態で、エデンと二人きりになっていた。
「……どうしてそんなことを聞く」
エデンはわずかに表情を曇らせる。リオンは躊躇いながらも、どうしても知りたい気持ちを抑えられない。
「王女殿下から、殿下のことを少しうかがいました。王家としての重責を一人で抱えていたって……でも、殿下のお気持ちは誰も知らないんじゃないかって」
エデンは短く息を吐き、ドアの方に目を向ける。誰もいないことを確認してから、意を決したように言葉を紡いだ。
「俺は第一王子ではない。けれど、才能があるとか、カリスマ性があるとか、勝手に周りが騒いで持ち上げてきた。小さい頃から何でもできて当然と思われ、失敗は許されなかった」
リオンはじっと耳を傾ける。エデンが自分の過去を語るなんて、珍しいことなのだろう。表情は硬く、どこか痛々しい。
「父上や王宮の者に褒められても、それが本当の評価なのか分からなかった。失敗すれば、一気に失望の目を向けられるかもしれない。……そんな不安を、誰にも言えずにいた」
「殿下……」
リオンは胸が締め付けられる思いだ。傲慢で強気に見えるエデンにも、幼い頃から孤独が寄り添っていたのだと知り、痛みが走る。
「だから、誰も信用できなくなった。いくら寄ってきても、どうせ俺が王族だからだろうと。何かを求めるからすり寄るだけだと、思ってしまう」
エデンの瞳が、わずかに潤んでいるようにも見える。それを見て、リオンは言葉が出ない。彼が抱えてきた孤独や疑念は、一朝一夕で消せるものではないだろう。
「でも……僕は、殿下に何も求めていないです。ただ、殿下が笑顔でいられるように……少しでもお力になりたいと思っただけで」
リオンの言葉に、エデンは自嘲気味に笑う。
「そんなことを言う奴は何人もいた。だが、結局は皆、俺の地位や権力を利用しようとするだけだった。……お前がどうかはまだ分からない」
冷たい言葉が返ってくる。けれど、リオンは逃げ出さない。強い意志を込めてエデンを見つめる。
「僕が本気だっていう証拠を、いつか殿下に見せられたら……それでいいですか」
エデンは目を伏せ、沈黙が流れる。しばらくして、重い唇を開いた。
「お前が偽物なら、とっくに俺は排除している。……今こうして話しているのは、俺がまだお前を見限っていない証拠なんだろう」
その言葉に、リオンの胸は熱くなる。エデンの頑なな心に、少しだけ隙間が生まれている気がした。秘めた過去を語ってくれたのも、決して小さな一歩ではない。
「殿下……ありがとうございます。もっと僕は殿下のことを知りたいし、殿下の不安を共有したい。そういうのを、信じてもらえるようになりたいです」
微かに微笑むリオンを、エデンは静かに見つめる。信じたい気持ちと、傷つきたくない思い。二つの感情がせめぎ合う中、エデンは何も言わずにそっとリオンの肩に手を置いたのだった。
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