【完結】傲慢王子エデンと内気男爵リオンの恋模様

えるろって

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第25話 イーサンの迷い

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「リオン、最近はだいぶ殿下と打ち解けているようですね」

  
王宮の廊下で、近衛騎士イーサンがリオンに声をかける。その声音には、どこか複雑な感情がにじんでいた。

  
「はい。僕はまだまだ殿下にふさわしい存在ではないかもしれませんが、それでも一歩ずつ信頼を築いていければと思っています」

  
リオンが素直に答えると、イーサンは少し視線を落とす。騎士としてエデンを守ってきた彼にとって、リオンの急速な台頭は心穏やかでないものがあるのだろう。

  
「リオン様、あなたは本当に殿下をお慕いしているのですね。それは伝わってきます」

  
「イーサン様……」

  
リオンは、イーサンの声がわずかに揺れているのを感じ取る。エデンを崇敬し、その騎士として仕えてきたイーサンも、きっとエデンに特別な思いがあるのだろうか。

  
「私には、殿下が笑顔になれるならそれでいいと思う一方で……少しだけ、嫉妬しているのかもしれません」

  
イーサンは自嘲気味に笑う。リオンは胸が痛む。イーサンこそ、これまで最もエデンを近くで支えてきた存在だ。そんな彼を差し置いて、自分が急にエデンの心に踏み込もうとしているのだから、戸惑われても当然だ。

  
「イーサン様、僕は殿下を特別な意味で好きです。でも、イーサン様のように殿下を守る役目には到底及びません。むしろ僕も、イーサン様の力を借りたいと思っているんです」

  
リオンの言葉に、イーサンは戸惑ったように首をかしげる。

  
「私の力を、ですか」

  
「はい。僕は殿下の心を支えたいけれど、王族としての務めや周囲への対応まで手が回りません。イーサン様は騎士として、殿下の公務や安全を守る存在でしょう。僕はそこに干渉するつもりはありません」

  
リオンは低い声で続ける。相手はエデンが最も信頼する近衛騎士の一人。ここで嘘やごまかしは通用しない。

  
「殿下を守るという点では、僕もイーサン様も変わらないと思うんです。僕たち、協力できませんか」

  
イーサンは深く息を吐きながら、リオンを見つめる。その瞳には葛藤が渦巻いているようだったが、やがて視線を下げて小さく頷いた。

  
「……殿下のために協力、ですか。そうですね、今は殿下のお心が穏やかになるなら、私も一騎士として何でもやるべきかもしれません」

  
「ありがとうございます」

  
リオンは安堵の笑みを浮かべる。イーサンもぎこちなく微笑み返すが、その胸中にはまだ整理しきれない感情が残る。

  
(私は騎士として殿下を敬愛してきた。だが、リオン様は別の角度から殿下に近づいている。果たして、殿下にとってどちらが本当に必要な存在なのだろう)

  
そんな疑問がこみ上げるが、今はそれを口にできない。イーサンは自分の役目が騎士としてエデンを守ることだと再認識し、リオンと共闘の道を選ぶことにしたのだった。
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