【完結】傲慢王子エデンと内気男爵リオンの恋模様

えるろって

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第26話 王の期待

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「エデン、お前にもいずれは……正式な縁談が来るだろう。王家としての責務を忘れてはならん」

  
玉座の間にほど近い執務室で、国王がエデンに淡々と話す。白髪が混じり始めた威厳ある王の言葉は重く、エデンの心に圧力をかける。

  
「姉上のところには既に複数の縁談話が来ている。だが、俺はまだ考えるつもりはない」

  
エデンがきっぱりと答えると、国王は少し渋い顔をする。第二王子とはいえ、国の将来を担う大事な駒であることに変わりはない。

  
「お前がすぐに結婚する必要はないが、それでも将来的には考えておかねばならない。お前の能力を買っている貴族や他国の使節もいるのだぞ」

  
「分かっています」

  
表面上は冷静に応じるエデンだったが、その内心は穏やかでない。リオンへの思いが芽生えるほど、こうした王族としての義務に嫌気が差してくるのだ。

  
「(本当に、俺は王族という立場を捨てられないのか。いや、そんなことは許されない。ならば……)」

  
エデンの思考が堂々巡りを始めたとき、国王はさらに声を落として言い放つ。

  
「最近、お前が男爵家の次男と親しくしているという噂を聞く。……もしそれが真実ならば、王家として見過ごすわけにはいかない」

  
エデンの表情が一瞬こわばる。国王は厳しい眼差しを息子に向けるが、その奥にはわずかな哀愁も漂っていた。

  
「ただでさえ、第一王子ではないお前に注目が集まっている。お前が周囲に振り回されるのは見たくない」

  
「振り回されてはいません。……俺の意思で関わっているだけです」

  
エデンの答えに、国王は目を見開く。言葉こそ少ないが、そこには確かな決意が感じられた。息子の胸中に何があるのかを悟ったのだろうか。国王は重いため息をついて、椅子に深く腰を下ろす。

  
「エデン、お前は自分の道を切り開くべきなのかもしれないな。ただ、王家の血を引く限りは、周囲に与える影響をよく考えろ」

  
「……はい」

  
エデンは簡単には折れない姿勢を示しつつも、父の言葉を無視することはできない。リオンを思う気持ちと、王家の義務。その間で揺れる自分がいることは、自覚していた。

  
「お前が理想とする未来を、どうか見つけ出せ。王族の責務と自分の幸せは、必ずしも相反するものではない。……そう願いたいものだ」

  
国王は最後にそう呟くと、執務室の扉へ視線を向ける。エデンは一礼して部屋を出た後、長い廊下を歩きながら歯を食いしばった。

  
「(俺が選ぶのは俺だ……リオンは、どう思っている? あいつとなら、王族としての責務を背負いながらも、俺は……)」

  
答えはまだ見えない。ただ一つ確かなのは、リオンがいることでエデン自身が揺れ動き始めたということ。それが王である父の目にも明らかになりつつあった。
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