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第36話 帰還後の波乱
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「エデン殿下、昨夜はどちらへお出かけでした」
王宮に戻った翌朝、宰相の厳しい声がエデンを迎え撃つ。執務室の一角には、複数の重臣たちが集まり、まるでエデンを取り調べるように視線を注いでいた。
「特に報告すべきことではない。少し外の空気を吸っただけだ」
エデンはそっけなく返すが、宰相は怒気を帯びた口調で続ける。
「殿下が護衛を最小限にして城外へ出られたと聞いております。王族としてあまりに無謀ではありませんか。万が一のことがあれば、国の安全も揺らぐというのに」
「そこまで大袈裟な話ではない。騎士を一人は帯同したし、危険はなかった」
事実、遠くから数名の騎士が見守っていた。ただ、エデンとリオンが二人だけで行動していた時間が長いことは、重臣たちにとって衝撃的だったのだろう。
「さらに申し上げますと、殿下には縁談のお話も進行しているのです。王家の立場をわきまえていただきたい。……それなのに、男爵家の次男を連れ歩いていたという噂も」
宰相はリオンの名前こそ出さないが、言外に彼の存在を指摘している。エデンは内心で苛立ちを覚えながらも、あくまで冷静を装った。
「俺の行動をすべて縛るつもりか。……国王は俺の私生活にまで干渉するなと、お前に言っていなかったか」
エデンが低い声で応じると、宰相は顔を強張らせる。国王からも、エデンをあまり追い込みすぎるなという通達があったのだろう。
「しかし、殿下の振る舞いはあまりにも自由すぎます。国民にも不安を与えかねない」
「ならば、お前たちが安心できるように俺は何をすればいい。王宮に閉じこもって、決められた相手と婚約を結び、決められた通りに行動するのが望みか」
エデンの声には怒気がこもる。そこにセシリアがすっと割って入るように姿を現した。
「宰相、エデンに責任ばかり負わせないで。あの子だってまだ若いし、自由に息をつく時間くらい必要ですわ」
セシリアが優雅に言い放つと、重臣たちは言葉を飲み込む。王女の言葉は軽視できるものではない。エデンは姉に軽く目で感謝を送りながら、話を続ける。
「……それに、俺は何も全てを捨てているわけじゃない。必要な公務はちゃんとこなしているはずだ」
「そうではありますが、殿下の一挙一動が国中の目を引くことをお忘れなきよう」
宰相は渋々と言葉を濁し、深く頭を下げる。重臣たちもそれに倣って退室していくが、彼らの不満は解消されていない様子がありありと伝わる。
「やれやれ、面倒な連中だ」
扉が閉まるや否や、エデンは忌々しそうにため息をつく。セシリアはそんな弟の肩にそっと手を置き、微笑む。
「エデン、今は上手にかわして時間を稼ぎなさい。リオンのことを守るにも、正面対決だけが手段ではないわ」
「分かってる。……けど、苛立つな」
エデンの胸には、リオンを巻き込むことへの申し訳なさも同時に芽生えていた。城下町での甘いひとときとは打って変わり、王宮に戻った途端に押し寄せる波乱。それでも二人は、この嵐を乗り越える覚悟を決めなければならないのだ。
王宮に戻った翌朝、宰相の厳しい声がエデンを迎え撃つ。執務室の一角には、複数の重臣たちが集まり、まるでエデンを取り調べるように視線を注いでいた。
「特に報告すべきことではない。少し外の空気を吸っただけだ」
エデンはそっけなく返すが、宰相は怒気を帯びた口調で続ける。
「殿下が護衛を最小限にして城外へ出られたと聞いております。王族としてあまりに無謀ではありませんか。万が一のことがあれば、国の安全も揺らぐというのに」
「そこまで大袈裟な話ではない。騎士を一人は帯同したし、危険はなかった」
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「俺の行動をすべて縛るつもりか。……国王は俺の私生活にまで干渉するなと、お前に言っていなかったか」
エデンが低い声で応じると、宰相は顔を強張らせる。国王からも、エデンをあまり追い込みすぎるなという通達があったのだろう。
「しかし、殿下の振る舞いはあまりにも自由すぎます。国民にも不安を与えかねない」
「ならば、お前たちが安心できるように俺は何をすればいい。王宮に閉じこもって、決められた相手と婚約を結び、決められた通りに行動するのが望みか」
エデンの声には怒気がこもる。そこにセシリアがすっと割って入るように姿を現した。
「宰相、エデンに責任ばかり負わせないで。あの子だってまだ若いし、自由に息をつく時間くらい必要ですわ」
セシリアが優雅に言い放つと、重臣たちは言葉を飲み込む。王女の言葉は軽視できるものではない。エデンは姉に軽く目で感謝を送りながら、話を続ける。
「……それに、俺は何も全てを捨てているわけじゃない。必要な公務はちゃんとこなしているはずだ」
「そうではありますが、殿下の一挙一動が国中の目を引くことをお忘れなきよう」
宰相は渋々と言葉を濁し、深く頭を下げる。重臣たちもそれに倣って退室していくが、彼らの不満は解消されていない様子がありありと伝わる。
「やれやれ、面倒な連中だ」
扉が閉まるや否や、エデンは忌々しそうにため息をつく。セシリアはそんな弟の肩にそっと手を置き、微笑む。
「エデン、今は上手にかわして時間を稼ぎなさい。リオンのことを守るにも、正面対決だけが手段ではないわ」
「分かってる。……けど、苛立つな」
エデンの胸には、リオンを巻き込むことへの申し訳なさも同時に芽生えていた。城下町での甘いひとときとは打って変わり、王宮に戻った途端に押し寄せる波乱。それでも二人は、この嵐を乗り越える覚悟を決めなければならないのだ。
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