【完結】傲慢王子エデンと内気男爵リオンの恋模様

えるろって

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第37話 強気王子の一喝

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「リオン様、少しよろしいですか」

  
王宮の廊下で、近衛騎士のイーサンがリオンを呼び止める。リオンは彼がいつになく緊張した面持ちをしていることに気づき、胸騒ぎを覚える。

  
「はい、イーサン様。どうかされましたか」

  
イーサンは周囲を一瞥し、人気のない一角へとリオンを誘う。そして低い声で打ち明ける。

  
「先ほど、殿下がお怒りになり、宰相を一喝されたそうです。リオン様とのことに関して宰相が何か否定的な言動をしたらしく、殿下はかなり憤っているとのこと」

  
「殿下が……そんなに怒るなんて」

  
リオンは驚き、同時に申し訳ない気持ちになる。自分が原因でエデンに余計な負担をかけているのではないかと思うからだ。

  
「殿下はリオン様を守るつもりなのでしょう。しかし、王族が表立って動くほど、かえって周囲からの反発を買う可能性が高い。殿下はそれを承知で立ち上がっておられます」

  
イーサンが神妙な声で続ける。リオンはエデンの気持ちに感激しつつ、危うさを感じずにはいられない。エデン自身が大きな圧力に晒されるのは目に見えているからだ。

  
「僕が……なにかできることはあるのでしょうか。殿下をこれ以上苦しめたくないんです」

  
リオンの瞳には切実な思いが宿る。イーサンは一瞬言葉に詰まった末、静かに告げる。

  
「リオン様が殿下に寄り添い続けること。それが何よりも殿下の励みになるはずです。……私は騎士としてお守りしますが、心を支えるのは、きっとリオン様の役目」

  
その言葉を聞き、リオンは深く頷く。イーサンが言う通り、エデンは王族として誇り高く生きているが、心の中は誰よりも傷つきやすい。だからこそ、リオンはそばで彼を支えたいのだ。

  
「分かりました。僕、殿下とちゃんと話します。……ありがとうございます、イーサン様」

  
リオンがお礼を言うと、イーサンはかすかな笑みを浮かべて頷く。

  
「こちらこそ。私も殿下がお怒りになるくらいには、本気で動いておられると聞けて安心しました。リオン様の思いが無駄ではないということですよ」

  
「はい」

  
リオンは胸を軽く叩き、心を落ち着かせる。強気なエデンが宰相を一喝してまで守ろうとするのは、自分との関係を否定されたくないからかもしれない。それが分かるだけでも、リオンの不安は少し和らぐ。

  
「殿下……僕は殿下を守りたい」

  
そう呟いて、リオンは駆け足でエデンのもとへ向かう。廊下を急ぎながら、エデンの怒りが収まるように何と声をかけるべきか考えるが、きっと言葉よりも行動で示すしかないのだろうと自分に言い聞かせる。

  
強気な王子が放った一喝は、王宮全体に波紋を広げている。それは同時に、周囲の警戒心をさらに高めることにもなるが、エデンはそんなことを恐れてはいない。リオンもまた、その覚悟を共有するためにエデンの手を取りたいと願っていた。
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