【完結】傲慢王子エデンと内気男爵リオンの恋模様

えるろって

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第43話 王国を揺るがす事件

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「陛下、隣国が国境付近で不穏な動きを見せております」

  
王宮の重臣会議。宰相や有力貴族たち、そして国王が一堂に会し、先ほど届いた急報に耳を傾けていた。隣国が武装兵を配置し始めたという情報に、室内がどよめく。

  
「どうやら条約更新交渉を有利に進めようと、圧力をかけるつもりのようです。正式に軍を動かしたわけではありませんが、不測の事態もあり得るかと」

  
報告する将軍が緊張した口調で続ける。国王は眉を寄せつつ、テーブルに視線を落とした。

  
「想定していたより早いな。エデン、お前には近々、隣国との交渉を任せる予定だったが、さらに難易度が増した。大丈夫か」

  
そこに名指しされたエデンは、堂々と姿勢を正し、力強い声で応じる。

  
「問題ありません、父上。むしろ好機かもしれません。強硬策に出る前に話し合いの場を設け、条約をこちらの思う形にまとめ上げたい」

  
宰相が驚きまじりに口を開く。

  
「しかし殿下、このような状況で外交に失敗すれば、国益に大きな損失を与えます。そのリスクは計り知れません。まだ殿下は若い。ここは慎重に……」

  
「歳は関係ありません。必要な準備と情報収集は既に進めています。ここでおじけづけば、相手の思う壺でしょう」

  
エデンの強い意志が感じられる返答に、会議室は静まり返る。宰相も易々と反論できず、国王もエデンの成長を確かめるようにじっと見つめる。

  
「よろしい。エデン、お前がそこまで言うなら任せよう。……くれぐれも軍事衝突など招かないように頼むぞ」

  
「承知しました、父上」

  
こうしてエデンが事実上の全権を委ねられ、隣国との外交問題に乗り出すことが決まる。これはエデンにとって大きな挑戦であり、同時にリオンとの関係を守るための“成果”を示す好機でもある。

  
会議が解散し、廊下を歩くエデンにリオンが駆け寄る。二人は周囲の目を気にしつつ、少し離れて並んで歩く。

  
「殿下、何やら大変なことになったみたいですね」

  
小声で話しかけるリオンに、エデンは表情を緩めることなく短く頷く。

  
「隣国がこちらを脅しにかかってきた。俺が交渉を引き受けることになったから、忙しくなるだろうな」

  
「大丈夫でしょうか……殿下が危険な目に遭うんじゃないかと心配です」

  
リオンの声には切実な思いが込められている。エデンはチラリとリオンの横顔を見て、安心させるように軽く微笑む。

  
「心配いらない。万が一、俺に何かあっても騎士たちが護ってくれる。俺は王族としての務めを果たすだけだ。……それが、お前を守ることにも繋がるんだ」

  
「殿下……」

  
エデンの言葉に、リオンは小さく息を呑む。自分を守るために王として力を示す――そんなエデンを、さらに愛おしく感じた。

  
国境の緊張が高まり、国全体が揺れ始める中、エデンはリオンへの想いを胸に秘めて交渉の準備を進める。もしこの難局を乗り越えられれば、エデンの評価は不動のものになるだろう。逆に失敗すれば、王家全体の信用は失墜しかねない――それほどの賭けに、エデンは自ら飛び込む覚悟を決めていた。
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