11 / 58
十一話
しおりを挟む
お願いした日のうちとは言わなくても、翌日には許可が下りるだろうと思っていたのに、まさかの二日が経過してしまった。
忙しいからと後回しにされたのかと邪推しかけたけど、頭を振って気を取り直す。
なんにしても許可は降りた。
即日昼食会を開くということはできないので、一週間後に開くことにしよう。それぐらいあれば招待する人たちも予定を調整できるだろう。
侍女とオーギュスト、どちらが用意してくれたのかはわからないけど、招待客リストも一緒に持ってきてもらえたのは助かった。
「招待状もこちらで手配できますが、どうされますか?」
「便箋だけ用意してもらえれば、あとは私が書くわ」
何事も初めてが肝心。仲良くしたいのだと伝わるように、私自ら作成したほうが誠意も伝わりやすいだろう。
ずらりと並んだ全員の招待状を作るのは大変かもしれないけど、どうせ花嫁衣裳を決めたりする以外は暇な身だ。
城外に出かけたいとも思うけど、それには専任の護衛騎士が必要となる。誰かしら騎士を借りることもできるかもしれないけど、彼らには彼らの職務があるので、私に付き合わせている間は仕事を中断せざるをえない。
だから心置きなく――時間を気にすることなく遊ぶためには、私の護衛が職務である騎士がいる。
「それでは昼食後、便箋を持ってまいります」
「ええ、お願いね」
それから、今日の予定をこなす。昨日は仕立て屋が来たので、花嫁衣裳に使う色を選んだ。
そして今日は宝石商。昨日選んだ色に合わせて宝石を選ぶ。
「……本当にこちらでよろしいのですか?」
訝しげな顔は、昨日の仕立て屋と同じ。
私が選んでいるのは、私に合う色ではない。彼の愛する伯爵令嬢に合う色だ。
さっさと結婚したいオーギュストのことだ。愛する伯爵令嬢との結婚式を挙げることになっても、さらに時間がかかるとなれば億劫になってしまうかもしれない。
愛する人のために時間を割いてもいいと判断するのなら、それでも構わない。だけどもしも、面倒だから私でいいやとなられたらたまらない。
伯爵令嬢は私が選んだものはいやだと言うかもしれないけど、その説得はオーギュストに任せることにしよう。というか、そうするしかない。
私にできるのは、つつがなくオーギュストが愛する人と結婚できるように準備することだけだ。
「私はそれがいいの」
だから、もっと他にいいものがあるのに――そう言わんばかりの宝石商に頷いて返した。
忙しいからと後回しにされたのかと邪推しかけたけど、頭を振って気を取り直す。
なんにしても許可は降りた。
即日昼食会を開くということはできないので、一週間後に開くことにしよう。それぐらいあれば招待する人たちも予定を調整できるだろう。
侍女とオーギュスト、どちらが用意してくれたのかはわからないけど、招待客リストも一緒に持ってきてもらえたのは助かった。
「招待状もこちらで手配できますが、どうされますか?」
「便箋だけ用意してもらえれば、あとは私が書くわ」
何事も初めてが肝心。仲良くしたいのだと伝わるように、私自ら作成したほうが誠意も伝わりやすいだろう。
ずらりと並んだ全員の招待状を作るのは大変かもしれないけど、どうせ花嫁衣裳を決めたりする以外は暇な身だ。
城外に出かけたいとも思うけど、それには専任の護衛騎士が必要となる。誰かしら騎士を借りることもできるかもしれないけど、彼らには彼らの職務があるので、私に付き合わせている間は仕事を中断せざるをえない。
だから心置きなく――時間を気にすることなく遊ぶためには、私の護衛が職務である騎士がいる。
「それでは昼食後、便箋を持ってまいります」
「ええ、お願いね」
それから、今日の予定をこなす。昨日は仕立て屋が来たので、花嫁衣裳に使う色を選んだ。
そして今日は宝石商。昨日選んだ色に合わせて宝石を選ぶ。
「……本当にこちらでよろしいのですか?」
訝しげな顔は、昨日の仕立て屋と同じ。
私が選んでいるのは、私に合う色ではない。彼の愛する伯爵令嬢に合う色だ。
さっさと結婚したいオーギュストのことだ。愛する伯爵令嬢との結婚式を挙げることになっても、さらに時間がかかるとなれば億劫になってしまうかもしれない。
愛する人のために時間を割いてもいいと判断するのなら、それでも構わない。だけどもしも、面倒だから私でいいやとなられたらたまらない。
伯爵令嬢は私が選んだものはいやだと言うかもしれないけど、その説得はオーギュストに任せることにしよう。というか、そうするしかない。
私にできるのは、つつがなくオーギュストが愛する人と結婚できるように準備することだけだ。
「私はそれがいいの」
だから、もっと他にいいものがあるのに――そう言わんばかりの宝石商に頷いて返した。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
6,182
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる