虚無 - vanitas -

Riberion Vanitas

文字の大きさ
3 / 14

ヨーロッパ某国の教会 -白川 華ヰ子-

しおりを挟む
「お兄ちゃん…怖いよ。ママとパパは何処に行ったの?」
「わからないけど、俺らは売られたんだよ。」
とても怯えて泣き出しそうな私を、お兄ちゃんは抱きしめてくれたけど、その手がとても震えていたのを覚えてる。
この時はまだ、お兄ちゃんも私の家族だった。
大きな車の中には、私達以外にも沢山の子供達がいた。皆んな怯えてたし、泣いてる子もいてたっけ。
どれぐらいの時間が経ったか分からないけど、とっても綺麗なお城みたいな教会に私とお兄ちゃんだけ、車から降ろされた。
他の子は確か、怖いおじさん達が『中身を売る』って言ってた。幼過ぎる当時の私には理解が出来なかったけど、今は予想が付く。
「ようこそ!いらっしゃい!私の可愛い子供達。これから私のこの教会で、楽しく過ごそうね!」
最初やけに、元気で綺麗なお姉さんだと思ったのを覚えてる。ずっと、私を抱きしめてくれてたお兄ちゃんが、顔を赤くして見てたのも。
それから、そのお姉さんは、真っ白な地下にある部屋に、私達を案内して着替えて来る様に言って、終わり次第声を掛けてと優しく言った。
だけど、私はあのお姉さんが笑う度に、真っ黒な靄が掛かってて、気味悪かった。背筋が凍る気分だった。
「着替えが終わりました!」
お兄ちゃんは、嬉しそうにお姉さんに着替えた事を報告してた。お兄ちゃんにはきっと見えてないんだろう。
お姉さんは私たちを大きな食堂に案内した。そこには沢山の黒髪黒目の私達と同じ大勢の子供達が食事をしていた。
久々の温かい食事と大人の優しさに、今思うと浮かれていたのかも知れない。
「さぁ、皆んな今日から家族になる2人よ。仲良くしてあげてね。」
お姉さんはとても慈悲深く優しい笑顔で、他の子供達に話す。ただ、他の子供達は声色や口元はとても笑っているのに、皆んな目は虚で光がない様に思えた。子供ながらに何かがおかしいと思ったが、お姉さんが怖かったから何も言えなかった。
「これからは毎日、お腹一杯に温かいご飯が食べられるから安心してね。」
今思えば、お姉さんは全く嘘は言っていなかった。毎日温かい食事をお腹一杯に食べる事は出来たから。
お兄ちゃんと私は、用意されていた席に座り、生まれて初めてとても豪華で美味しい料理をお腹一杯食べた。
食事後は、お兄ちゃんと私は別々の部屋に案内された。正確に言えば、男子女子で部屋が違う為だった。
私は不安のまま、寝床に案内されて他の子達と一緒にベットに着き眠った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。 それが約50年前。 聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。 英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。 俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。 でも…英雄は5人もいらないな。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

処理中です...