樹くんの甘い受難の日々

琉海

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第一章

5.雅樹と勝はイケメン野郎

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「やられた…」

「ん?どうした樹?」

「また好き勝手放題された!!喉もいてぇ!」

「うん。樹の声可愛いからさぁ。いーっぱい啼かせちゃうんだよね~」

「うるせぇぇぇえええ!!」



俺は身の置き所がなくてカレーを一気にかき込んだ。



「うまい!」

「母さんのカレー本当に好きだねぇ。うちに嫁に来る?」

「誰が嫁だ!俺は男だ!バカ!」

「気持ち良かった?」

「ぐほぉ!」

「おい!きったねぇな!口の中の物を吐き出すんじゃありません!」



勝に口を拭われた。



「すまん」

「いいって事よ。今、俺らは樹くん甘々月間だから!」

「どんな月間だよ…そしてなんか見返りが怖いと思うのは疑いすぎだろうか」

「「…」」

「2人して黙んなよ…」



その後、俺の警戒心がマックスになっているのが分かったのか、

いつも通りゲームして馬鹿笑いした。

雅樹、勝の順にお風呂に入って最後に俺になった。

(ゲームに夢中になりすぎたんだ)



「はぁ…」



ゆっくりと湯舟に浸かりながらここ最近の奴らの所業について考えた。

奴らのあの急な行動はなんなのか。

そして、何が楽しくて俺を弄りたおすのか。

当然ながら考えても答えは出なかった。

ただ、考え付いたのは…



「暇つぶし、かな」



入れ食い状態と言うと少々語弊があるが(いや、雅樹にいたってはそうかも)

奴らはマジでモテるのだ。腹立たしい事に、他校の女子にも人気があって、

バレンタインシーズンだとかクリスマスシーズンになると

プレゼントや連絡先を書いた紙を渡したい女子で校門の前に人だかりができる。

その中で雅樹に食われちゃった子は数知れず。

それでも良いと思う子が雅樹にアタックしまくるのだ。

前に、何でトラブルにならないのか?と雅樹に聞いた事がある。



「やべぇ子って、勘で分かるんだよな。そういう子は受け取っても絶対に返信しない」



勘かよ?!と思ったけど、実際にトラブルは起きないから、当たってるんだろう。

たまに関係を持った後に「やっぱり好き!付き合って欲しい!」という子も出てくるけど、

最終的には仕方ないと納得してくれるらしい。

女子は全方位で可愛い。愛を注ぐがモットーで、絶対に無下には扱わないからだろうか。



やべぇ子には愛を注がないのかよ!って茶々入れたら、

そういう子にとって俺は最悪すぎる相手で、

関係を持つとその子が壊れちゃうから、愛をもってお断りをするんだと。

(返信する事すら期待を抱かせるからNGだとか)



なんか、分かるような分からんような回答だったけど、

雅樹は「俺は自分を曲げられない(1人に絞れない)相手がどうあってもそこは1ミリも覆らないからな。ならば、最初から相手にしないのが誠実じゃないか?」

と言っていた。雅樹らしい信念だ。



ただし、女子と接する時は愛をもって接するのが鉄則だ。

ただの性欲処理機なんて以ての外だと言っていた。

俺にはよく分からん。



勝はバカだけど、勉強は出来るしスポーツも出来る。身長も180超えだ。

(雅樹は180くらいか。2人も高身長イケメンとか…ぐぬぅ)

爽やかイケメンで、天真爛漫なキャラと言えばいいか。憎めないキャラだ。バカだけど。

以前、女子が「母性本能がくすぐられる~!」とか言っていた。

俺からみたらバカなだけだ。

勝は男らしいタイプのイケメンで、雅樹はちょっと中性的よりかな?

ただ、男らしい色気が駄々洩れなんだよな。



勝も雅樹ほどじゃないけど女子には困らない。

彼女が出来てもモテまくる。げせぬ。



「そういや、智花ちゃんだっけ。勝の今の彼女。

自分の彼氏がこんな痴態を繰り広げてるなんて知ったら…」



俺は智花ちゃんを思い出してぶるりと震えた。

彼女は気が強くて怖いんだ。

一度なんか、俺らと遊ぶ時間が増えて自分との時間が減った事で怒りまくって教室に怒鳴り込んできた事がある。

シュッとした美人に睨まれるとめちゃくちゃ怖いと知った出来事だった…。



だけど、解せないのはだ。

雅樹への当たりが弱かった事だ。

「智花ちゃん、ごめんね。俺らが拘束しすぎたね。気を付けるよ」

って眉をへにゃっとさせて謝る雅樹にはモゴモゴとしたくせに俺が謝ると「ちゃんと考えてよね!そういう気がきかないから彼女が出来なくて、勝とばっかり遊ぶせいでこっちが迷惑を被るのよ!」って怒られた。



っていうか、そもそもそれって俺らのせいか?

俺らは智花ちゃんほっといて平気なのか?って聞いてたんだけどな。

彼女といるより俺らといる方が楽しいからだとしたら、

それって彼女自身のせいじゃないのかね?

しかも勝が部活の遠征でいない時を狙って来たんだよな。



俺らは特に勝にその事は報告はしなかったし、俺らとつるむ頻度はそう変わらなかった。

さすがに最初は彼女と遊べよと言ってたけど、そのうち勝がしたいようにすればいいかと思い直して考えるのをやめた。

あと、智花ちゃんにちょっとだけムカついてたってのもある。彼女が出来ないは余計なお世話だ!

…気が利かないのが原因なんだろうか?



まぁ、そんな感じで女子には供給過多で困る事はあっても

不足では困らない奴らなのである。

普通のエロには飽食気味で、ちょいと味変くらいな気持ちなんだろう。

性別が同じなのも刺激的だ。充分に好奇心は満たせる。



「ぐぬぬ…それが俺じゃなくてもいいじゃないか!

俺は普通に、好きな女子と経験したいんだ!」





「なに吠えてんだよ?」



ガラッと扉が開いて、全裸の雅樹と勝が立っていた。

俺の頭の中で緊急アラートが鳴り響いた。
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