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第二章
79.な、なんでおしおき?!
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ちゅぷっと音を立てて唇を離す。もっともっとキスをしていたい……けど、それをしたらお互いに止められなくなるし、止められないともっと先にいってしまう。
ここは他校だし…と言い聞かせて気持ちを無理矢理押さえ込んだ。
「あ~~~~~…」
雅樹が押し殺したような唸り声をだした。きっと、俺と同じ。その証拠にもう一度強く抱きしめられた。お互いに名残惜しいけどなんとか体を離す。
「———っし、行こっか」
「うん」
扉の前でもう一度軽くキスをして、今度こそ部屋を出ると、
「あれ?早かったね。1時間くらいは出てこないと思ってた」
驚いた朱雀の声に出迎えられて、暗に「そういう事をする」と思われてのかと赤面した。
「樹へのおしおきはまた後でじっくり」
「は?」
今「おしおき」って言ったか?なんで?何で俺がおしきおきされないといけなの?しかも“じっくり”ってどういう事?!
動揺している俺を放置して雅樹と朱雀は会話を続けている。雅樹は後ろから俺の腰をガッツリホールドして離そうとしてくれないんだけど、今はその窮屈さで甘い束縛を感じて嬉しくてニマニマしてしまう。
ホールドする雅樹の腕に手を重ねてニギニギしたり、頭の後ろに触れる雅樹の胸の感触を堪能する。時おり、雅樹が俺の頭に頬ずりしたり軽くキスしてくれるのも嬉しい。顔がにやけて元に戻らない。
「———ていうか、お2人さんデレデレしすぎ!甘い!激甘だよ!!砂吐きそうってこの事を言うんだね。身をもって実感してるっっ!!」
「いいでしょ。最近ずっとこんな風に樹に触れる事が出来なかったから無意識だと思う。気にしないで」
「気にしないとか無理だよぉ!でも…」
「でも?」
「樹くんが可愛すぎるぅぅうう!もうね、大好きって気持ちが駄々洩れ!顔がへにょへにょで可愛いっっ!!!」
「ひょ!」
指摘されて慌てて顔を引き締める。
「ふっ…くっ!」
「朱雀?」
「ど、どうしよう。大我…樹くん可愛すぎない?萌えってこういう感情なんだね!」
朱雀が身悶えながら大我の腕に縋りついている。
な、なんかすっげぇ芝居がかってんな?
「そうでしょ?可愛いでしょ。俺のお嫁さん」
2人の前でそう言われてボボボボッと顔が真っ赤になるのが分かった。
「かっわいい♡真っ赤だよぉ!大我!可愛いね!」
「美鈴……樹が気の毒だ。これ以上はあんまり言ってやるな」
「なんだよ大我!お前だって樹くんがかわ……もがが」
大我が慌てたように朱雀の口を押さえ込んでいる。お前らだってイチャコラしてんじゃねぇか。気持ちに大変余裕が出来た俺は、仲良しだなぁとじゃれつく2人を聖母かってくらいの慈愛に満ちた微笑みで見てやった。
「樹……こんな時、お前がニブちんで良かったと思うよ」
雅樹が俺の頭を撫でながら憐れむような、なんともいえない微妙な表情で言われた。一体なんだよ。
「樹に使われた薬って大丈夫なの?病院に行った方が良い?」
「それは実行犯に薬の成分について確認とってあるから多分大丈夫だけど、心配ならうちの医務室で診察受けられるから案内するよ。付属大学の医師が派遣されてるから安心して。もちろん、費用はうちもちだからね!」
「樹、念のために診察受けよっか?」
「いい。いらない。今はちょっと怠いくらいだし、大丈夫そうならあんまり大ごとにしたくないし……」
「うーん…じゃあ、ちょっとでも異変を感じたらすぐ病院に行かせるからね?絶対に無理しちゃだめ。これぐらいなら、とか過信も絶対にダメ!分かった?」
「分かったよ。そこまで言わなくてもちゃーんと理解してますっ!」
未だ疑いの眼で見ている雅樹に心配性だなぁと呆れた目を送る。
「あははは!こんなマサ君が見れる日が来るなんて!樹くんの事本当に大切なんだねぇ」
朱雀に楽しそうに笑って言われて、嬉しいような恥ずかしいようなくすぐったい気持ちになる。調書の為に色々と質問をされて、牧たちの調書については後日報告という事になった。
雅樹と朱雀が話しているのを離れたところで見ていたら、大我が近づいてきた。
「樹、大丈夫か?」
「おう!もう大丈夫だぜ!」
「体の事はもちろんだが……それ以上にお前自身が心配だ」
「あぁ…うん。。なんか、今は大丈夫だと思ってるけど、自分で気づいてないだけでまだ異常事態に興奮しているからなのかな。あとはまだ皆と一緒にいるから実感がわいてないのかもしれない」
「お前の側には支えてくれる人がいるから不要かもしれないが、何かあったらいつでも頼ってくれて構わないから。遠慮だけはしないでくれ」
「大我ありがとう!お前には甘えてばかりでごめんな…大丈夫、って言いたいところだけど、何かあったら遠慮なく頼らせてもらうわ」
風紀委員長として責任を感じているであろう大我の申し出を大丈夫だと断ったら、こいつの責任感の強さから納得しないだろうなと思うから、そう返す。
実際に頼るつもりはないけど…今の所は…これまですっげぇ頼りまくってるから今さら感があるけど。また迷惑をかける事がありそうな気がひしひしとしているが。。
うぅ。俺、情けないな。
大我を見ると、疑わしいものを見るよう目を眇めて俺を見ていた。
「本当に、遠慮するなよ?…今さらだ」
「ぐふっ!」
当の本人に言われてしまった……。
「樹!!!」
「樹ちゃん!!!」
ノックすらせずに、部屋に飛び込んできた勝と志木が俺を見て飛びついてきた。デカイ2人にタックルされるように飛び疲れてそのまま倒れそうになったところを、大我が抱き留めてくれる。……3人分の体重をもろに受け止めて傾いだものの、ぐっと支え切った。
大我、恐るべし。
「す、すまん。獅子尾」
「いや、俺は大丈夫だ。気持ちは分かるが体格差と人数を考えてやってくれ」
慌てた志木に謝られた大我が苦笑しながら返答した。そうだなと思ったけど2人も気持ちが分かる。気持ちが嬉しいし、自分も言おうとしていた事を大我が言ってくれたから、言わないでおいた。
ここは他校だし…と言い聞かせて気持ちを無理矢理押さえ込んだ。
「あ~~~~~…」
雅樹が押し殺したような唸り声をだした。きっと、俺と同じ。その証拠にもう一度強く抱きしめられた。お互いに名残惜しいけどなんとか体を離す。
「———っし、行こっか」
「うん」
扉の前でもう一度軽くキスをして、今度こそ部屋を出ると、
「あれ?早かったね。1時間くらいは出てこないと思ってた」
驚いた朱雀の声に出迎えられて、暗に「そういう事をする」と思われてのかと赤面した。
「樹へのおしおきはまた後でじっくり」
「は?」
今「おしおき」って言ったか?なんで?何で俺がおしきおきされないといけなの?しかも“じっくり”ってどういう事?!
動揺している俺を放置して雅樹と朱雀は会話を続けている。雅樹は後ろから俺の腰をガッツリホールドして離そうとしてくれないんだけど、今はその窮屈さで甘い束縛を感じて嬉しくてニマニマしてしまう。
ホールドする雅樹の腕に手を重ねてニギニギしたり、頭の後ろに触れる雅樹の胸の感触を堪能する。時おり、雅樹が俺の頭に頬ずりしたり軽くキスしてくれるのも嬉しい。顔がにやけて元に戻らない。
「———ていうか、お2人さんデレデレしすぎ!甘い!激甘だよ!!砂吐きそうってこの事を言うんだね。身をもって実感してるっっ!!」
「いいでしょ。最近ずっとこんな風に樹に触れる事が出来なかったから無意識だと思う。気にしないで」
「気にしないとか無理だよぉ!でも…」
「でも?」
「樹くんが可愛すぎるぅぅうう!もうね、大好きって気持ちが駄々洩れ!顔がへにょへにょで可愛いっっ!!!」
「ひょ!」
指摘されて慌てて顔を引き締める。
「ふっ…くっ!」
「朱雀?」
「ど、どうしよう。大我…樹くん可愛すぎない?萌えってこういう感情なんだね!」
朱雀が身悶えながら大我の腕に縋りついている。
な、なんかすっげぇ芝居がかってんな?
「そうでしょ?可愛いでしょ。俺のお嫁さん」
2人の前でそう言われてボボボボッと顔が真っ赤になるのが分かった。
「かっわいい♡真っ赤だよぉ!大我!可愛いね!」
「美鈴……樹が気の毒だ。これ以上はあんまり言ってやるな」
「なんだよ大我!お前だって樹くんがかわ……もがが」
大我が慌てたように朱雀の口を押さえ込んでいる。お前らだってイチャコラしてんじゃねぇか。気持ちに大変余裕が出来た俺は、仲良しだなぁとじゃれつく2人を聖母かってくらいの慈愛に満ちた微笑みで見てやった。
「樹……こんな時、お前がニブちんで良かったと思うよ」
雅樹が俺の頭を撫でながら憐れむような、なんともいえない微妙な表情で言われた。一体なんだよ。
「樹に使われた薬って大丈夫なの?病院に行った方が良い?」
「それは実行犯に薬の成分について確認とってあるから多分大丈夫だけど、心配ならうちの医務室で診察受けられるから案内するよ。付属大学の医師が派遣されてるから安心して。もちろん、費用はうちもちだからね!」
「樹、念のために診察受けよっか?」
「いい。いらない。今はちょっと怠いくらいだし、大丈夫そうならあんまり大ごとにしたくないし……」
「うーん…じゃあ、ちょっとでも異変を感じたらすぐ病院に行かせるからね?絶対に無理しちゃだめ。これぐらいなら、とか過信も絶対にダメ!分かった?」
「分かったよ。そこまで言わなくてもちゃーんと理解してますっ!」
未だ疑いの眼で見ている雅樹に心配性だなぁと呆れた目を送る。
「あははは!こんなマサ君が見れる日が来るなんて!樹くんの事本当に大切なんだねぇ」
朱雀に楽しそうに笑って言われて、嬉しいような恥ずかしいようなくすぐったい気持ちになる。調書の為に色々と質問をされて、牧たちの調書については後日報告という事になった。
雅樹と朱雀が話しているのを離れたところで見ていたら、大我が近づいてきた。
「樹、大丈夫か?」
「おう!もう大丈夫だぜ!」
「体の事はもちろんだが……それ以上にお前自身が心配だ」
「あぁ…うん。。なんか、今は大丈夫だと思ってるけど、自分で気づいてないだけでまだ異常事態に興奮しているからなのかな。あとはまだ皆と一緒にいるから実感がわいてないのかもしれない」
「お前の側には支えてくれる人がいるから不要かもしれないが、何かあったらいつでも頼ってくれて構わないから。遠慮だけはしないでくれ」
「大我ありがとう!お前には甘えてばかりでごめんな…大丈夫、って言いたいところだけど、何かあったら遠慮なく頼らせてもらうわ」
風紀委員長として責任を感じているであろう大我の申し出を大丈夫だと断ったら、こいつの責任感の強さから納得しないだろうなと思うから、そう返す。
実際に頼るつもりはないけど…今の所は…これまですっげぇ頼りまくってるから今さら感があるけど。また迷惑をかける事がありそうな気がひしひしとしているが。。
うぅ。俺、情けないな。
大我を見ると、疑わしいものを見るよう目を眇めて俺を見ていた。
「本当に、遠慮するなよ?…今さらだ」
「ぐふっ!」
当の本人に言われてしまった……。
「樹!!!」
「樹ちゃん!!!」
ノックすらせずに、部屋に飛び込んできた勝と志木が俺を見て飛びついてきた。デカイ2人にタックルされるように飛び疲れてそのまま倒れそうになったところを、大我が抱き留めてくれる。……3人分の体重をもろに受け止めて傾いだものの、ぐっと支え切った。
大我、恐るべし。
「す、すまん。獅子尾」
「いや、俺は大丈夫だ。気持ちは分かるが体格差と人数を考えてやってくれ」
慌てた志木に謝られた大我が苦笑しながら返答した。そうだなと思ったけど2人も気持ちが分かる。気持ちが嬉しいし、自分も言おうとしていた事を大我が言ってくれたから、言わないでおいた。
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