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第二章
93.IFオメガバース編(番外編①)
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※3人とは恋人同士ではなく、親友という設定です。
=================
「な……マジか」
思わず検査結果を握りつぶしていたみたいで、気が付いたら手の中で手の汗と混じってしんなりぐしゃぐしゃになっていた。
最近、なんだか調子が悪くて体に熱がこもった感じでふらふらする。ほんの少し微熱があるけど風邪の諸症状とかはない。だけどやたらと怠い。
あまりにも続くから雅樹たちに心配されて、数日前に病院に連れていかれた。その時に念のためにって言われて採血されてたんだけど———まさか、こんな検査されてて、こんな結果が出るなんて夢にも思わなかった。
「樹?顔色悪いよ。隈も酷いし———具合悪い?」
「———いや、そんな事はないよ。あぁ、少しだけ怠いかなぁ」
「おいで」
翌日登校すると、先に着いていた雅樹がいて、手招きされて側に行くと何故か膝の上に座らされ、おでこをこつんとひっ付けられた。こんなんで熱って測れないと思うんだが、それを言うのも面倒で好きなようにやらせる。
「うーん……相変わらず微熱が続いてるね。そういや検査結果は出た?」
「え?いや、う、うーん」
「なに?どっち?何か悪い病気とか??」
「そ、そんなんじゃないよ」
「本当?」
「う、うん」
「何か、隠してるでしょ?ほら、言っちゃいな」
「なんでもないよ」
「なんでもないって顔じゃないんだけど?」
「うるさいな!何でもないって言ってるだろ!!!ほっとけよ!!!」
「樹………」
今、いちばん触れてほしくない事に触れられて、思わず怒鳴りながら体を激しくよじって雅樹の腕の中から抜け出した。
「———あ、ごめん。俺、やっぱちょっと調子悪いわ。保健室に行ってくる」
「樹ごめん。調子悪いのに俺がお節介しすぎた」
「いや、雅樹は悪くないよ。ごめんな」
「おはよーっす!!———おう?」
「樹ちゃんおはよ。ん?顔色悪いね」
「勝、志木、おはよ。俺、ちょっと保健室行ってくる」
「え!なに?具合悪い?」
「おいおい、大丈夫かよ。最近ずっと調子悪そうだったもんな。一緒に保健室行ってやるよ」
「いい。もうホームルーム始まるからお前らはいろよ。先生にだけ言っといてもらえるか?」
「本当に大丈夫?」
「うん、じゃ……」
雅樹にあたってしまった自己嫌悪と、精神的に余裕がないせいでこれ以上こいつらとは普通に話してられないと思ってそそくさと教室を出た。
はぁ、と思わず深いため息が出る。
「あとで雅樹に謝らないとな…」
鉛でもついてんじゃないかってくらい重い足を引きずるようにして保健室に向かった。
「あら?小鳥遊君いらっしゃい。珍しいわね」
「おじゃまします……?」
「なんでお邪魔なのよ。顔色悪いわね。ほら、これ咥えてベッドに腰かけてなさい。音が鳴ったら口から出しておいてね。お茶淹れてくるわ。あ、ハーブティーって飲める?」
「はーぶてぃー?そんなおされなもん飲んだことない。でもちょっと気になるです」
「おっけー。じゃ、アタシ特製のブレンドティー淹れてくるわね」
ベッドに腰かけて大人しく体温計で体温を測る。数秒でピピッとなって計測が終わった。
「———あ、美味い」
「でしょ?」
ふふ、っと可愛らしく笑う保険医のアキちゃんを見ていたら強張っていた気持ちがほっと解けた。
「これはねー、リラックス効果が高いカモミールが入ってるのよ。ほんのりフルーティーで甘い香りするでしょ。アタシ、好きなのよ」
「うん。ハーブティーって初めてだけどこれなら飲める。美味いです」
「良かったわ。———微熱だけど、どっか調子悪いとかあるかしら?見たところ怠そうだけど風邪ってわけじゃなさそうね」
「うわーー…アキちゃんってマジでエスパー?いっつもそうだよね」
「うふふ。どれだけ生徒ちゃんを見てきたと思ってるの。仮病だってすーぐ分かるわよ。だけど、小鳥遊君はそうじゃなさそうねぇ……もし良かったら、話してもらえないかしら?」
「———俺、おれ……」
柔らかい表情でアキちゃんが見つめてくるから、昨日から張っていた虚勢がボロッと剥がれて気が付いたら号泣して、嗚咽が止まらなくなった。
そんな俺の肩を優しくさすりながら俺が話し出すまで辛抱強く待っててくれた。
「おれ、ね。最近ずっと調子悪くて。熱っぽくて、数日前に病院に行ったの」
「うんうん」
「ほいでさ、念のために血液検査しましょうって言われて採血したの」
「うんうん」
「昨日、結果、きて———おで、おで……おめがになってたぁぁ~うえぇぇーん」
「そっか、そっか。それは不安だし怖いね。まだ誰にも言えてないのね?そっか。うん、よく1人で我慢したね」
「あ゛き゛し゛ゃ゛ぁ゛ーーーーん゛!!!!!」
「よしよし。ほら、おいで」
「うえぇぇーん」
「———可愛いな、オイ」
アキちゃんのふくよかな胸筋に顔をうずめてわんわん泣いた。ほどよい弾力と、ほんの少しの消毒液の匂い、そしてアキちゃんから香る柔らかい匂いを嗅ぎながら泣いていたら心が落ち着いてきた。泣きすぎてぐったりした俺をそのまま抱きしめてゆりかごみたいに優しく揺らしてくれるもんだから眠くなってくる。
「昨日あんまり寝れてないでしょ?そのままゆっくり寝ちゃいなさい」
「アキちゃん、ごめ……はなみじゅ、ついたかも」
「ぐっふぉ。眠くて舌足らずなDK、たまらんっ!!———い、いいわよ。拭きゃいいんだし」
アキちゃんがなんか言ってたけど、昨日一睡もしてない俺はそのまま眠りに落ちていった。
「アタシにはバース性の報告義務があるからどのみち聞く事にはなるけど…小鳥遊君はベータだったわよね。変異しちゃったかぁ…こりゃ落ち込むし怖いわよねぇ。うん、アタシがしっかりサポートしなくちゃね!」
チャイムが鳴って、1限終了———と思ったらバタバタと複数の足音がしてノックもそこそこに「樹!!」と男子生徒3人が入ってきた。
「しーーっ。さっきやっと眠ったところだから。静かにして?」
「すっ、すみません……え?」
「すみま……は?」
「すんませー……おい」
我ら鳳凰学院でも人気トップ5に入る(ほとんど上位を占めてるって事よ!)男子生徒3人———篠田 雅樹、暁 勝、志木 龍也の三者三様の垂涎もののキラキラしいイケメンを目の当たりにして思わずトキメイちゃった。まぁ、お子ちゃまは対象外なんだけど。
そんな3人がアタシを見て驚いた後に、段々と目が据わっていくのが分かってピンときたわ。この子たち、小鳥遊君が好きなのね。
分かるわぁ~。この無防備な寝顔!そこはかとなく漂う色気!危い魅力が満載だものねぇ。でも、この腕の中にいる子猫ちゃんを起こすわけにはいかないから、彼らに警戒を解いてもらうべく、にっこりと笑って「ソファーに座って?」と促すと渋々ながらも素直に腰を下ろす彼らが可愛くてキュンキュンしちゃう。
「樹の具合は大丈夫ですか?———泣いたみたい」
顔はアタシの胸にうずめてるから見えにくいはずのに、目ざとく気づいた篠田君が眉を寄せて聞いてきたから、隠しても仕方がないと「えぇ」と頷いた。
3人とも悲壮な表情になるのがおかしいわね。どんだけ好きなのかしら。
「最近、樹すげぇ調子悪そうで…こないだ病院に連れて行ったんすよ。で、当日は特段問題ないって事だったんだけど、精密結果は後日って言われてて」
「今朝から調子悪そうだったし、俺は具合悪い樹の神経を逆なでしたみたいで……あんな風に怒鳴る樹は初めて見たから動揺しちゃって」
「先生、樹ちゃん大丈夫ですか?」
きぃいやぁぁあ~~~~!!!アタシは内心興奮して黄色い悲鳴を上げまくってたけど顔に出さないように必死に抑え込む。
やだ、可愛い!可愛すぎるっ!!過保護かよ、彼氏かよ、え?恋人?3人??マジ??
心の中で吐血をしつつ必死に自分の心を宥める————心頭滅却すれば火もまた涼し———ん?なんか違うわね?
「微熱が続いてて、時々、かすかに甘い匂いが————先生、もしかして樹って…」
3人ともうんうんと頷いている。確か、彼らはアルファだったわね。第二の性が変化したオメガの匂いを敏感に嗅ぎ取ってるのね。アルファ、オソルベシ。元はベータだったアタシは匂いに少し鈍感なのよね。
「今、彼は不調でちょっとナーバスなのよ。だから、騒がずに見守ってあげて?」
「「「はい………」」」
神妙な表情で頷く3人にキュンとする。小鳥遊君が可愛くて大切で大好きなのが伝わるわ。いいわねぇ~、青春ねぇ~……。
「ん~……あれ?おれ、なんで…あきちゃん?わぁ!ごめんなさい!俺、あのまま寝ちゃってた!!え?どのくらい寝てた??」
「ほんの20分ほどよ。ベッドに横になる?」
「うーん……あれ?お前らどうしたんだ?」
「「「樹(ちゃぁん)ぃ……」」」
「な、なんだよ泣きそうな顔して。———あ、雅樹ごめんな?さっき俺、イライラして酷い態度取った」
「いいよ!樹の具合が悪いのに、俺がしつこかったから」
「樹ちゃん、2限も寝てた方がいいと思うよ。朝よりは顔色よくなったけどまだ少し青いし」
「あぁ、俺もそう思う。うーん…唇カッサカサじゃねぇか。ほら、これ付けろ」
「ありがと……」
やだ!暁君たら!ほとんど自分では使ってなさそうなリップをポケットに常備している辺り、これは小鳥遊君用っぽいわね。いやーん!たまんないっ!今後はこの4人は要チェックやで!!!
名残惜しそうに去って行く3人を小鳥遊君と見送って、彼をベッドへと誘導する。大人しく横たわった彼が、アタシの白衣の裾をきゅっと引っ張った。
ん゛ん゛ん゛ん゛……!そういうあざと小悪魔は素?素なの??———素だわね。恐ろしい子っっ!!!!
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「な……マジか」
思わず検査結果を握りつぶしていたみたいで、気が付いたら手の中で手の汗と混じってしんなりぐしゃぐしゃになっていた。
最近、なんだか調子が悪くて体に熱がこもった感じでふらふらする。ほんの少し微熱があるけど風邪の諸症状とかはない。だけどやたらと怠い。
あまりにも続くから雅樹たちに心配されて、数日前に病院に連れていかれた。その時に念のためにって言われて採血されてたんだけど———まさか、こんな検査されてて、こんな結果が出るなんて夢にも思わなかった。
「樹?顔色悪いよ。隈も酷いし———具合悪い?」
「———いや、そんな事はないよ。あぁ、少しだけ怠いかなぁ」
「おいで」
翌日登校すると、先に着いていた雅樹がいて、手招きされて側に行くと何故か膝の上に座らされ、おでこをこつんとひっ付けられた。こんなんで熱って測れないと思うんだが、それを言うのも面倒で好きなようにやらせる。
「うーん……相変わらず微熱が続いてるね。そういや検査結果は出た?」
「え?いや、う、うーん」
「なに?どっち?何か悪い病気とか??」
「そ、そんなんじゃないよ」
「本当?」
「う、うん」
「何か、隠してるでしょ?ほら、言っちゃいな」
「なんでもないよ」
「なんでもないって顔じゃないんだけど?」
「うるさいな!何でもないって言ってるだろ!!!ほっとけよ!!!」
「樹………」
今、いちばん触れてほしくない事に触れられて、思わず怒鳴りながら体を激しくよじって雅樹の腕の中から抜け出した。
「———あ、ごめん。俺、やっぱちょっと調子悪いわ。保健室に行ってくる」
「樹ごめん。調子悪いのに俺がお節介しすぎた」
「いや、雅樹は悪くないよ。ごめんな」
「おはよーっす!!———おう?」
「樹ちゃんおはよ。ん?顔色悪いね」
「勝、志木、おはよ。俺、ちょっと保健室行ってくる」
「え!なに?具合悪い?」
「おいおい、大丈夫かよ。最近ずっと調子悪そうだったもんな。一緒に保健室行ってやるよ」
「いい。もうホームルーム始まるからお前らはいろよ。先生にだけ言っといてもらえるか?」
「本当に大丈夫?」
「うん、じゃ……」
雅樹にあたってしまった自己嫌悪と、精神的に余裕がないせいでこれ以上こいつらとは普通に話してられないと思ってそそくさと教室を出た。
はぁ、と思わず深いため息が出る。
「あとで雅樹に謝らないとな…」
鉛でもついてんじゃないかってくらい重い足を引きずるようにして保健室に向かった。
「あら?小鳥遊君いらっしゃい。珍しいわね」
「おじゃまします……?」
「なんでお邪魔なのよ。顔色悪いわね。ほら、これ咥えてベッドに腰かけてなさい。音が鳴ったら口から出しておいてね。お茶淹れてくるわ。あ、ハーブティーって飲める?」
「はーぶてぃー?そんなおされなもん飲んだことない。でもちょっと気になるです」
「おっけー。じゃ、アタシ特製のブレンドティー淹れてくるわね」
ベッドに腰かけて大人しく体温計で体温を測る。数秒でピピッとなって計測が終わった。
「———あ、美味い」
「でしょ?」
ふふ、っと可愛らしく笑う保険医のアキちゃんを見ていたら強張っていた気持ちがほっと解けた。
「これはねー、リラックス効果が高いカモミールが入ってるのよ。ほんのりフルーティーで甘い香りするでしょ。アタシ、好きなのよ」
「うん。ハーブティーって初めてだけどこれなら飲める。美味いです」
「良かったわ。———微熱だけど、どっか調子悪いとかあるかしら?見たところ怠そうだけど風邪ってわけじゃなさそうね」
「うわーー…アキちゃんってマジでエスパー?いっつもそうだよね」
「うふふ。どれだけ生徒ちゃんを見てきたと思ってるの。仮病だってすーぐ分かるわよ。だけど、小鳥遊君はそうじゃなさそうねぇ……もし良かったら、話してもらえないかしら?」
「———俺、おれ……」
柔らかい表情でアキちゃんが見つめてくるから、昨日から張っていた虚勢がボロッと剥がれて気が付いたら号泣して、嗚咽が止まらなくなった。
そんな俺の肩を優しくさすりながら俺が話し出すまで辛抱強く待っててくれた。
「おれ、ね。最近ずっと調子悪くて。熱っぽくて、数日前に病院に行ったの」
「うんうん」
「ほいでさ、念のために血液検査しましょうって言われて採血したの」
「うんうん」
「昨日、結果、きて———おで、おで……おめがになってたぁぁ~うえぇぇーん」
「そっか、そっか。それは不安だし怖いね。まだ誰にも言えてないのね?そっか。うん、よく1人で我慢したね」
「あ゛き゛し゛ゃ゛ぁ゛ーーーーん゛!!!!!」
「よしよし。ほら、おいで」
「うえぇぇーん」
「———可愛いな、オイ」
アキちゃんのふくよかな胸筋に顔をうずめてわんわん泣いた。ほどよい弾力と、ほんの少しの消毒液の匂い、そしてアキちゃんから香る柔らかい匂いを嗅ぎながら泣いていたら心が落ち着いてきた。泣きすぎてぐったりした俺をそのまま抱きしめてゆりかごみたいに優しく揺らしてくれるもんだから眠くなってくる。
「昨日あんまり寝れてないでしょ?そのままゆっくり寝ちゃいなさい」
「アキちゃん、ごめ……はなみじゅ、ついたかも」
「ぐっふぉ。眠くて舌足らずなDK、たまらんっ!!———い、いいわよ。拭きゃいいんだし」
アキちゃんがなんか言ってたけど、昨日一睡もしてない俺はそのまま眠りに落ちていった。
「アタシにはバース性の報告義務があるからどのみち聞く事にはなるけど…小鳥遊君はベータだったわよね。変異しちゃったかぁ…こりゃ落ち込むし怖いわよねぇ。うん、アタシがしっかりサポートしなくちゃね!」
チャイムが鳴って、1限終了———と思ったらバタバタと複数の足音がしてノックもそこそこに「樹!!」と男子生徒3人が入ってきた。
「しーーっ。さっきやっと眠ったところだから。静かにして?」
「すっ、すみません……え?」
「すみま……は?」
「すんませー……おい」
我ら鳳凰学院でも人気トップ5に入る(ほとんど上位を占めてるって事よ!)男子生徒3人———篠田 雅樹、暁 勝、志木 龍也の三者三様の垂涎もののキラキラしいイケメンを目の当たりにして思わずトキメイちゃった。まぁ、お子ちゃまは対象外なんだけど。
そんな3人がアタシを見て驚いた後に、段々と目が据わっていくのが分かってピンときたわ。この子たち、小鳥遊君が好きなのね。
分かるわぁ~。この無防備な寝顔!そこはかとなく漂う色気!危い魅力が満載だものねぇ。でも、この腕の中にいる子猫ちゃんを起こすわけにはいかないから、彼らに警戒を解いてもらうべく、にっこりと笑って「ソファーに座って?」と促すと渋々ながらも素直に腰を下ろす彼らが可愛くてキュンキュンしちゃう。
「樹の具合は大丈夫ですか?———泣いたみたい」
顔はアタシの胸にうずめてるから見えにくいはずのに、目ざとく気づいた篠田君が眉を寄せて聞いてきたから、隠しても仕方がないと「えぇ」と頷いた。
3人とも悲壮な表情になるのがおかしいわね。どんだけ好きなのかしら。
「最近、樹すげぇ調子悪そうで…こないだ病院に連れて行ったんすよ。で、当日は特段問題ないって事だったんだけど、精密結果は後日って言われてて」
「今朝から調子悪そうだったし、俺は具合悪い樹の神経を逆なでしたみたいで……あんな風に怒鳴る樹は初めて見たから動揺しちゃって」
「先生、樹ちゃん大丈夫ですか?」
きぃいやぁぁあ~~~~!!!アタシは内心興奮して黄色い悲鳴を上げまくってたけど顔に出さないように必死に抑え込む。
やだ、可愛い!可愛すぎるっ!!過保護かよ、彼氏かよ、え?恋人?3人??マジ??
心の中で吐血をしつつ必死に自分の心を宥める————心頭滅却すれば火もまた涼し———ん?なんか違うわね?
「微熱が続いてて、時々、かすかに甘い匂いが————先生、もしかして樹って…」
3人ともうんうんと頷いている。確か、彼らはアルファだったわね。第二の性が変化したオメガの匂いを敏感に嗅ぎ取ってるのね。アルファ、オソルベシ。元はベータだったアタシは匂いに少し鈍感なのよね。
「今、彼は不調でちょっとナーバスなのよ。だから、騒がずに見守ってあげて?」
「「「はい………」」」
神妙な表情で頷く3人にキュンとする。小鳥遊君が可愛くて大切で大好きなのが伝わるわ。いいわねぇ~、青春ねぇ~……。
「ん~……あれ?おれ、なんで…あきちゃん?わぁ!ごめんなさい!俺、あのまま寝ちゃってた!!え?どのくらい寝てた??」
「ほんの20分ほどよ。ベッドに横になる?」
「うーん……あれ?お前らどうしたんだ?」
「「「樹(ちゃぁん)ぃ……」」」
「な、なんだよ泣きそうな顔して。———あ、雅樹ごめんな?さっき俺、イライラして酷い態度取った」
「いいよ!樹の具合が悪いのに、俺がしつこかったから」
「樹ちゃん、2限も寝てた方がいいと思うよ。朝よりは顔色よくなったけどまだ少し青いし」
「あぁ、俺もそう思う。うーん…唇カッサカサじゃねぇか。ほら、これ付けろ」
「ありがと……」
やだ!暁君たら!ほとんど自分では使ってなさそうなリップをポケットに常備している辺り、これは小鳥遊君用っぽいわね。いやーん!たまんないっ!今後はこの4人は要チェックやで!!!
名残惜しそうに去って行く3人を小鳥遊君と見送って、彼をベッドへと誘導する。大人しく横たわった彼が、アタシの白衣の裾をきゅっと引っ張った。
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