聖女は良い子と呼ばれたくない! ~社会からはみ出した夜遊び少女のゆるり異世界生活~

釈 余白(しやく)

文字の大きさ
30 / 53
第三章:聖女は一般人になる

30.聖女の提言

しおりを挟む
 ルカ統括の説明によると、この首都アケツには学校が八つあるとのことだ。その中でも私が通っている学校は街の中央に近く規模きぼが大きいらしい。

 そのためやはり全学年を別々にすると、学校によっては参加者が一人も出てこないなんてことになりかねない。それに八つの学校から八人の代表が出てきても代表選をするときに大変だ。

「ですが確かにアキナさまの言うことも一理あります。いくらなんでも五歳と十二歳では体力、体格差がありすぎますからね。かしこまりました。教育組合と再度調整しまして再検討いたしましょう」

「マジで! ルカ統括ありがとー やっぱさ、けが防止って意味でもせめて二つに分けるくらいはしてもいいと思うんだぁ。八歳までとそれ以上って感じなら代表選も十六人で済むしね」

「ええ、わたくしもそれがよろしいかと存じます。アキナさまの案で調整してみましょう。それにしてもさすがですね。すぐにそのようなことにお気づきになるとは恐れ入ります」

「あのさ、必ずしも悪いことじゃないんだけど、この国の人って平等主義すぎるんだよね。ある程度は区別していかないと弱い側にしわ寄せがいっちゃうじゃない?」

「さようでございますね。階級を撤廃てっぱいしての改革でしたから、その影響が大きいのでしょう。それから二百年ほど経っていますから急な意識改革は難しいかと。ですが聖女さまの影響で今後は緩やかに変化しているかもしれません」

「それはウチのこと言ってる? それとも代理のほう?」

「いいえ、概念がいねんとして、と言うことにございます。二十年ほど前から始まった神力の低下は社会的な不安だったのです。それが解消されたことによって、テンカーは再び活気を取り戻しつつあります」

「なるほど、そういうこと? ま、みんなが元気になったのならウチが呼び出されたかいもあったってもんね。ちなみに自分では全く分からないけど、本当に役に立ってんの? 神力を地面へ流すってやつ?」

「はい、もちろんでございます。わたくしの髪はすっかり黒くなりそのままですし、離宮内で働くほかの神官たちも元気を取り戻してきました。離宮内を歩いていて白髪の神官が目立たなくなっていると感じませんか?」

「そう言われても来たばかりのころはずっと閉じ込められてたし? 最近はずっと学校で忙しくて離宮内をうろちょろしてないからね」

「これは失礼いたしました…… ですが閉じ込めていたと言うのは語弊ごへいが……」

「はいはい、安全のためね。それくらいわかってるって。だから軟禁なんきんされてたとまでは言わなかったじゃん。結局あれってウチのことを秘密にしておくために隔離かくりしてたくせにさ」

 いくら否定しようが言い訳しようが私には筒抜けだ。なんといっても光属性の神力によって、嘘をついている場合は相手の動揺どうようが黒いもやとなって視認しにんできる。なんならそのまま真実をしゃべらせることもできるのだ

 こんなウソ発見器みたいな能力のどこに光要素があるのかわからないが、便利なことはいいことだ。きっと光は善良で、黒い靄は悪意みたいなものを表しているのだろうと勝手に決めてつけいた。

 ほかにも光を屈折くっせつさせて色や形を誤認ごにんさせる力もあるし、光の膜を作り出して防御ぼうぎょするとか、目の前に光球を作り出して目くらましをすることもできる。

 だが本当にやばいのは精神操作とともに危険度の高い、目からビームを出す能力だろう。我ながらいらないと感じる能力ナンバーワンである。

 試しに一回撃ってみただけなのだが、見つめた先へ発射することを念じただけで、瞬時しゅんじげ目がついてビックリした。これだけはうかつに暴発ぼうはつしないよう注意が必要だ。

 ほかにもなにか工夫すればできそうな気はするが、それはいざと言う時が来たら考えればいい。普通の神力と違って創意工夫で能力を増やせることが最大の違いであり優位性ともいえる。

「これってある意味反則級チートだよねぇ。しかも普通の人たちはみんな何年かかけて修行したりしてるわけなのにさ。ウチだけ努力もしないで力を得ているのはなんか納得しがたい気がする……」

「どうかしたのですか、突然そのようなことをおっしゃって。なんと言っても正真正銘聖女なのですから我々一般人と異なっていて当然、特別でよろしいではございませんか。何の問題がありましょう」

「そうかもしれないけどさぁ。ウチだって頑張ってるってとこ見せたいときもあるし、もしなにかすごいことしたって聖女だから当たり前って思われるのもイヤなの」

「わたくしには知りえない苦悩があると言うことでしょうか。アキナさまが正しいと思われることに神力を用いる限り、それが非難ひなんされることはございません。もちろん貢献こうけんして当然とも考えません。ですので思う存分、ご自身の思うままに御力みちからを振るっていただきたく存じます」

 結局よくわからない言い回しで丸め込まれたような気もするが、ようはおかしな真似をするなよ、ってことだと受け取った。確かに悪用しようと思えばいくらでもなんとでもできるだろう。

「ですがアキナさま? こうして色々な案やご意見をいただくことは、決して神力に頼ったモノではございません。当然そのようなこと、わたくしは理解しているつもりでございます。ですのでもっと我々を信じてご安心してお過ごしくださいませ」

「うん、ありがと。だったらもう閉じ込めたりしない? 今はいいけどまたいつかやらかしちゃうかもしれないじゃん?」

「アキナさま? もしかして相当根に持っていらっしゃいます?」

 私はひきつった笑みを浮かべたルカ統括へ向かって、ペロッと舌を出しながらニヤリと意地悪いじわるそうに笑い返した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』

放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。 「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」 身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。 冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。 「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」 得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。 これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。

異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日
ファンタジー
交通事故に巻き込まれて、異世界に転移した拓(タク)と浩司(コウジ) そこは、剣と魔法の世界だった。 2千年以上昔の勇者の物語、そこに出てくる勇者の遺産。 新しい世界で遺跡探検と異世界料理を楽しもうと思っていたのだが・・・ 気に入らない異世界の常識に小さな喧嘩を売ることにした。

辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~

香木陽灯
恋愛
 「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」  実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。  「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」  「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」  二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。 ※ふんわり設定です。 ※他サイトにも掲載中です。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!

ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!? 夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。 しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。 うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。 次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。 そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。 遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。 別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。 Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって! すごいよね。 ――――――――― 以前公開していた小説のセルフリメイクです。 アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。 基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。 1話2000~3000文字で毎日更新してます。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

処理中です...