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第四章:聖女はどこへ向かうのか
35.聖女の因縁
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教室は朝からどうにも騒がしい。それもそのはず、今日は午後から運動の時間があり、そこで私とケイラムの勝負が予定されているのだ。
以前に挑まれたときには、女子横綱の私に挑む権利があるのは男子横綱だけとはねのけた。
それから校内大会が三度開かれ、ケイラムは前回大会で本当に横綱まで上り詰めていた。そんな執念というか熱意を見せられたら燃えてくると言うものだ。
アイツはどうやら私の使う技を常に記録していて、対策を練るとともに自分でも使えるよう練習を重ねているとか。ちゃんと努力していることは評価したい。
だけどそれとこれとは話が別だ。それは先週行われた校内大会が終わった後の出来事だった。
◇◇◇
「おいアキナ! 僕が勝つところをちゃんと見てただろうな。これでようやく低学年男子の横綱になったんだ。約束通り勝負してもらうぞ! えいっ!」
『べちゃっ』
「ちょっ! ちょっとなにすんのよ! 服が汚れちゃったじゃないの!」
「うるさい! これは真剣勝負の申し込み、つまり果たし状の代わりだ! 次の運動の時間、絶対に勝負してもらうからな!」
「まったくしつこいんだから…… でも約束だから仕方ないなぁ。相手してあげるからそんなに大声で騒がないでよ。だからってこんな泥だん――」
えっ? ちょっとまって!? うっかり嫌がらせだと決めつけちゃったけど、この泥団子ぶつけるのって、まさか!? ちょっと、あのケイラムが私を!? え、ええっ!? マジでそうなの? もしかして前からずっと!?
「ふざけないでよ! ウチのことが好きなら言葉でいえばいいでしょ! こんなのぶつけられたって汚いだけで迷惑だっての!」
「バッ、バカいうな! 僕はあくまで対戦を申し込んだだけで特別な気持ちでどうこうしたんじゃないんだからな! 勘違いするんじゃないぞ!」
「だったらこんなことしなくたっていいじゃないの、このバカケイラム! こんな汚いままじゃ恥ずかしくて帰り道歩けないでしょうが!」
「そんなの…… 先生が洗ってくれるだろ……」
「これから帰るのに今から洗濯して乾くわけないじゃん! バーカバーカ、考えなしのバカケイラム! 大っ嫌い!」
◇◇◇
いつ、どこの誰が始めたのか知らないが、気になる女の子へ泥団子をぶつけるなんてバカげてる。おかげで私は学校から予備の服を借りて帰るはめになったのだ。
ちなみに離宮では洗濯なんてしないわけで、着替えをまとめて部屋へぶちまけてから浄化術で殺菌洗浄をしているようだ。
だが泥汚れのように何かが付着していれば水洗いするしかない。と言うことはリヤンなり誰かなりの手を余計にわずらわせることになる。
自分で汚してしまったならまだしも、他人にやられたものを申し訳ない気持ちで差し出す身にもなってほしい。
だが迎えに来たリヤンは大喜び、いや大笑いか? とにかくご機嫌で飛び跳ねるように帰り道を歩いた。
服を汚されたことをめでたいだの良かっただの言われると、私の頭の中には改めてこの国の風習にたいしての疑問点が積み重なっていく。
そんな経緯もあって、私はいつもよりさらに気合いを入れていた。絶対に完膚なきまでに叩きのめして、二度と逆らえないくらいの屈辱を味あわせてやると鼻息を荒くしていた。
おかげで午前の授業が全く頭に入ってこない。まあ計算の授業だからなにも教わらずにすらすら解けるし問題ないのだが、たまに指されるので注意していないとまた罰を喰らってしまう。
学校ではなにかと罰があり、そのほとんどは掃除だ。さすがに一人で教室の掃除をしているとむなしいし悲しくなってくる。
ケンカの場合は相手がいるからまだマシ、そんなことを考えるくらいには罰と言うのは屈辱的なものだ。
だが今日の私はしっかりと目を見開いて、ノート代わりの算術板に向かう。もちろんその上では右手と左手を戦わせ、仮想取組を繰り返して策を練っていた。
以前に挑まれたときには、女子横綱の私に挑む権利があるのは男子横綱だけとはねのけた。
それから校内大会が三度開かれ、ケイラムは前回大会で本当に横綱まで上り詰めていた。そんな執念というか熱意を見せられたら燃えてくると言うものだ。
アイツはどうやら私の使う技を常に記録していて、対策を練るとともに自分でも使えるよう練習を重ねているとか。ちゃんと努力していることは評価したい。
だけどそれとこれとは話が別だ。それは先週行われた校内大会が終わった後の出来事だった。
◇◇◇
「おいアキナ! 僕が勝つところをちゃんと見てただろうな。これでようやく低学年男子の横綱になったんだ。約束通り勝負してもらうぞ! えいっ!」
『べちゃっ』
「ちょっ! ちょっとなにすんのよ! 服が汚れちゃったじゃないの!」
「うるさい! これは真剣勝負の申し込み、つまり果たし状の代わりだ! 次の運動の時間、絶対に勝負してもらうからな!」
「まったくしつこいんだから…… でも約束だから仕方ないなぁ。相手してあげるからそんなに大声で騒がないでよ。だからってこんな泥だん――」
えっ? ちょっとまって!? うっかり嫌がらせだと決めつけちゃったけど、この泥団子ぶつけるのって、まさか!? ちょっと、あのケイラムが私を!? え、ええっ!? マジでそうなの? もしかして前からずっと!?
「ふざけないでよ! ウチのことが好きなら言葉でいえばいいでしょ! こんなのぶつけられたって汚いだけで迷惑だっての!」
「バッ、バカいうな! 僕はあくまで対戦を申し込んだだけで特別な気持ちでどうこうしたんじゃないんだからな! 勘違いするんじゃないぞ!」
「だったらこんなことしなくたっていいじゃないの、このバカケイラム! こんな汚いままじゃ恥ずかしくて帰り道歩けないでしょうが!」
「そんなの…… 先生が洗ってくれるだろ……」
「これから帰るのに今から洗濯して乾くわけないじゃん! バーカバーカ、考えなしのバカケイラム! 大っ嫌い!」
◇◇◇
いつ、どこの誰が始めたのか知らないが、気になる女の子へ泥団子をぶつけるなんてバカげてる。おかげで私は学校から予備の服を借りて帰るはめになったのだ。
ちなみに離宮では洗濯なんてしないわけで、着替えをまとめて部屋へぶちまけてから浄化術で殺菌洗浄をしているようだ。
だが泥汚れのように何かが付着していれば水洗いするしかない。と言うことはリヤンなり誰かなりの手を余計にわずらわせることになる。
自分で汚してしまったならまだしも、他人にやられたものを申し訳ない気持ちで差し出す身にもなってほしい。
だが迎えに来たリヤンは大喜び、いや大笑いか? とにかくご機嫌で飛び跳ねるように帰り道を歩いた。
服を汚されたことをめでたいだの良かっただの言われると、私の頭の中には改めてこの国の風習にたいしての疑問点が積み重なっていく。
そんな経緯もあって、私はいつもよりさらに気合いを入れていた。絶対に完膚なきまでに叩きのめして、二度と逆らえないくらいの屈辱を味あわせてやると鼻息を荒くしていた。
おかげで午前の授業が全く頭に入ってこない。まあ計算の授業だからなにも教わらずにすらすら解けるし問題ないのだが、たまに指されるので注意していないとまた罰を喰らってしまう。
学校ではなにかと罰があり、そのほとんどは掃除だ。さすがに一人で教室の掃除をしているとむなしいし悲しくなってくる。
ケンカの場合は相手がいるからまだマシ、そんなことを考えるくらいには罰と言うのは屈辱的なものだ。
だが今日の私はしっかりと目を見開いて、ノート代わりの算術板に向かう。もちろんその上では右手と左手を戦わせ、仮想取組を繰り返して策を練っていた。
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