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第七章 神無月(十月)
148.十月十三日 早朝 ご神体の大岩
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綾乃の家に泊まった翌日、さすがに夜遅くまでおしゃべりをしていたのでいつもの時間に起きるのが大変だった八早月だったが、約束もあるのでなんとか目を覚まし顔を洗ってから庭へと出てきた。
昨晩のうちに早朝鍛錬をすることは綾乃の両親へ告げてあるから問題はない。とは言ってもやはり気は引けるので、家人を起こさないよう無言で素振りをする程度だ。
それでも六時になると綾乃と母親が起きて来て挨拶をする。どうやら二人はこの時間から散歩へ出かけるようだ。てっきり綾乃だけだと思っていたので少々驚きを見せた八早月は、せっかくだからと一緒に行くことにした。
『やっぱり八早月ちゃんは朝早かったね。
私はいつも通り起きるだけで精いっぱいだったよ。
と言ってもモコがガリガリとうるさくして寝かせてくれないんだけどね』
『なに言ってんだよ、俺が起こしてやらなかったら主が遅刻しちまうだろ。
そうやってすぐ文句言わないで感謝してもらいたいもんだよ、まったく』
『相変わらず素直じゃありませんね。
そんな悪態ばかりついていると綾乃さんに嫌われてしまいますよ?
まあ普段のお役目で役に立つところを見せているのなら別でしょうが』
『なな、なにいってんだよ、主にお役目がないことくらい知ってるんだぜ?
あえて言うなら近隣の祠回りがそうとも言えるだろうがな』
『もうモコはそうやって筆頭様の八早月ちゃんにまでそんな態度しちゃってさ。
あんまり無礼が過ぎると藻様に怒られちゃうよ?』
『いやいや無礼じゃないっての。
脅かされたから言い返しただけだってんだ、主ならわかってくれるだろ?』
『はいはい、モコはホント素直じゃないんだからさ。
八早月ちゃんにちゃんと謝りなさいね』
そんなことを念話で話しながらジョギングをする三人だが、時折小さな祠で立ち止まっては祈りをささげていく。どうやらそれぞれに小さな地域神の神使が宿っているようで、八早月はわずかながら呼士に似た気配を感じていた。
「綾乃? 私は先に帰って朝食の支度をするわね。
お父さんが休日出勤なのよ、帰りに筆頭様やお友達を送って行けないけど平気かしら?」
「綾乃さんのお母様、迎えを頼んでありますのでご心配いりません。
それに私のことは櫛田か八早月とお呼びください。
分家以外から筆頭呼びされるような偉人ではございませんから」
「でもこんなにお世話になっているのに……
それではおそれ多いですけど八早月さんとお呼びしますね」
まあ今の距離感であればこんなものだろうか、八早月は納得し微笑みながらうなずいた。それを見て綾乃は苦笑しながら母の肩を叩く。やや気まずそうにしながらも綾乃の母は八早月へ深々と頭を下げ去って行った。
「なんかへんな気を使わせちゃってごめんね。
お母さんは確かに感謝しているんだけど、今でもやっぱり戸惑っているみたい。
特に私が気絶した時に一緒に卒倒したことがちょっとしたトラウマって感じね」
「それは仕方ない面もあるわ、あまりにも非日常的なことだもの。
でもこうやって遊びに来られたし受け入れて下さって嬉しいのよ?
人によっては畏れからか二度と立ち寄らないなんてこともあるのだから」
「それはお祓いの後とかに? 自分で頼んでおいてそれはないよねぇ。
他人の好意を足蹴にするような人じゃまた祟られちゃうんじゃない?」
「ふふ、そんなこともあるかもしれないわね。
でもこちらとしては神社のお仕事なのだから玉串料がもらえればいいのよ。
それをがめついだなんて言われることもあるけれどね」
「まったく人って勝手だよねぇ。
神頼みするくらい困ってるはずなのにケチるなんてさ。
そういえば八早月ちゃんが気にしてる大岩も神頼みのご神体なのかな?」
「可能性はあるでしょうね、だからそれを確かめに行くのよ。
もし近いならこのまま行ってしまってもいいわね」
「まあまあ近いよ、ここからだともう七、八分くらいかな。
置いてきぼりにしたからハルちゃんたちが文句言うかもしれないね」
「さすがにあの時間では起こすのもはばかられるもの、仕方ないわ。
後でなにか埋め合わせできそうなこと考えてみようかしら、鍛錬とか」
「うへえ、それは多分カンベンって言うだろうね。
そうそう、新庄君はお昼食べてから来るって言ってたよ。
やめとけばいいのにわざわざやられに来るなんて物好きよねえ」
綾乃はそう言いながらも悪戯をする子供のように笑った。やめておけばいいと言うのは口先ばかりで、本心では八早月の活躍が間近で見られるのを楽しみにしていると言った様子だ。八早月もそれがわかっていて一緒に楽しもうと考えている。
こうしてご機嫌な二人は件の三角地までやって来た。そこは幹線道路ではないもののそれなりに広めの道路と、郊外へ向かうための道でY字路が形成されている場所である。
早朝にもかかわらず交通量はそこそこある。しかしY字路には信号がないためか速度を落とさず走って行く車が目立つ。自分では運転することがないので八早月たちには判断が難しいが、右へ行ったり左へ行ったり合流したりと忙しそうな様子を見ていると、この場所で事故が起きやすいと言うのもうなずける。
車の切れ目を待ってから大岩のところへ行ってみた二人は、早速その場所を探り始める。一見何の変哲もないただの岩ではあるが、そもそもこんな住宅街にあること自体が不自然で不釣り合いだ。
もちろん似たような岩というだけなら、八畑村に流れている渓流で良く見かけるので珍しくはない。だが八早月よりも十センチ以上は背の高い綾乃でさえ両手を回しても届かないくらいの大岩だ。この場所まで運んでくるだけで一苦労だろう。
「このお隣のおうちには誰も住んでいないのかしら。
シャッターがあるくらいだから商店なの?」
「違うよ、ここは町内会の防災用具置き場で普段は消防団が管理しているの。
中にはヘルメットとか毛布とか、そういうのが仕舞ってあるんだってさ。
小さい頃に防災訓練で見たような気もするんだけど忘れちゃったなぁ」
「でも特に気になるようなものではないと言うことなのね?
それならこの大岩も町内会で置いた物なのかしら。
町内会長さんにでも詳しい話を聞きに行く必要があるかもしれないわ」
「まあそれには及ばんさ、おいらが説明するよ。
その代わりと言ってはなんだけど、役に立ったと思ったら何か褒美をおくれよ。
おいら生き神様と会うのは初めてなんだ」
八早月は足元から聞こえてきた言葉に頭を抱えて目を閉じた。その様子を見た綾乃は肩をすくめながら同情の眼差しである。
「八早月ちゃんってば、あーあ、またこのパターンかって言いたそう。
お狐様、白蛇様と来て今度はどんな神様だろうね」
声が聞こえてきた大岩の裏を二人で覗いてみると、そこには小さな張り子の牛が鎮座していた。
昨晩のうちに早朝鍛錬をすることは綾乃の両親へ告げてあるから問題はない。とは言ってもやはり気は引けるので、家人を起こさないよう無言で素振りをする程度だ。
それでも六時になると綾乃と母親が起きて来て挨拶をする。どうやら二人はこの時間から散歩へ出かけるようだ。てっきり綾乃だけだと思っていたので少々驚きを見せた八早月は、せっかくだからと一緒に行くことにした。
『やっぱり八早月ちゃんは朝早かったね。
私はいつも通り起きるだけで精いっぱいだったよ。
と言ってもモコがガリガリとうるさくして寝かせてくれないんだけどね』
『なに言ってんだよ、俺が起こしてやらなかったら主が遅刻しちまうだろ。
そうやってすぐ文句言わないで感謝してもらいたいもんだよ、まったく』
『相変わらず素直じゃありませんね。
そんな悪態ばかりついていると綾乃さんに嫌われてしまいますよ?
まあ普段のお役目で役に立つところを見せているのなら別でしょうが』
『なな、なにいってんだよ、主にお役目がないことくらい知ってるんだぜ?
あえて言うなら近隣の祠回りがそうとも言えるだろうがな』
『もうモコはそうやって筆頭様の八早月ちゃんにまでそんな態度しちゃってさ。
あんまり無礼が過ぎると藻様に怒られちゃうよ?』
『いやいや無礼じゃないっての。
脅かされたから言い返しただけだってんだ、主ならわかってくれるだろ?』
『はいはい、モコはホント素直じゃないんだからさ。
八早月ちゃんにちゃんと謝りなさいね』
そんなことを念話で話しながらジョギングをする三人だが、時折小さな祠で立ち止まっては祈りをささげていく。どうやらそれぞれに小さな地域神の神使が宿っているようで、八早月はわずかながら呼士に似た気配を感じていた。
「綾乃? 私は先に帰って朝食の支度をするわね。
お父さんが休日出勤なのよ、帰りに筆頭様やお友達を送って行けないけど平気かしら?」
「綾乃さんのお母様、迎えを頼んでありますのでご心配いりません。
それに私のことは櫛田か八早月とお呼びください。
分家以外から筆頭呼びされるような偉人ではございませんから」
「でもこんなにお世話になっているのに……
それではおそれ多いですけど八早月さんとお呼びしますね」
まあ今の距離感であればこんなものだろうか、八早月は納得し微笑みながらうなずいた。それを見て綾乃は苦笑しながら母の肩を叩く。やや気まずそうにしながらも綾乃の母は八早月へ深々と頭を下げ去って行った。
「なんかへんな気を使わせちゃってごめんね。
お母さんは確かに感謝しているんだけど、今でもやっぱり戸惑っているみたい。
特に私が気絶した時に一緒に卒倒したことがちょっとしたトラウマって感じね」
「それは仕方ない面もあるわ、あまりにも非日常的なことだもの。
でもこうやって遊びに来られたし受け入れて下さって嬉しいのよ?
人によっては畏れからか二度と立ち寄らないなんてこともあるのだから」
「それはお祓いの後とかに? 自分で頼んでおいてそれはないよねぇ。
他人の好意を足蹴にするような人じゃまた祟られちゃうんじゃない?」
「ふふ、そんなこともあるかもしれないわね。
でもこちらとしては神社のお仕事なのだから玉串料がもらえればいいのよ。
それをがめついだなんて言われることもあるけれどね」
「まったく人って勝手だよねぇ。
神頼みするくらい困ってるはずなのにケチるなんてさ。
そういえば八早月ちゃんが気にしてる大岩も神頼みのご神体なのかな?」
「可能性はあるでしょうね、だからそれを確かめに行くのよ。
もし近いならこのまま行ってしまってもいいわね」
「まあまあ近いよ、ここからだともう七、八分くらいかな。
置いてきぼりにしたからハルちゃんたちが文句言うかもしれないね」
「さすがにあの時間では起こすのもはばかられるもの、仕方ないわ。
後でなにか埋め合わせできそうなこと考えてみようかしら、鍛錬とか」
「うへえ、それは多分カンベンって言うだろうね。
そうそう、新庄君はお昼食べてから来るって言ってたよ。
やめとけばいいのにわざわざやられに来るなんて物好きよねえ」
綾乃はそう言いながらも悪戯をする子供のように笑った。やめておけばいいと言うのは口先ばかりで、本心では八早月の活躍が間近で見られるのを楽しみにしていると言った様子だ。八早月もそれがわかっていて一緒に楽しもうと考えている。
こうしてご機嫌な二人は件の三角地までやって来た。そこは幹線道路ではないもののそれなりに広めの道路と、郊外へ向かうための道でY字路が形成されている場所である。
早朝にもかかわらず交通量はそこそこある。しかしY字路には信号がないためか速度を落とさず走って行く車が目立つ。自分では運転することがないので八早月たちには判断が難しいが、右へ行ったり左へ行ったり合流したりと忙しそうな様子を見ていると、この場所で事故が起きやすいと言うのもうなずける。
車の切れ目を待ってから大岩のところへ行ってみた二人は、早速その場所を探り始める。一見何の変哲もないただの岩ではあるが、そもそもこんな住宅街にあること自体が不自然で不釣り合いだ。
もちろん似たような岩というだけなら、八畑村に流れている渓流で良く見かけるので珍しくはない。だが八早月よりも十センチ以上は背の高い綾乃でさえ両手を回しても届かないくらいの大岩だ。この場所まで運んでくるだけで一苦労だろう。
「このお隣のおうちには誰も住んでいないのかしら。
シャッターがあるくらいだから商店なの?」
「違うよ、ここは町内会の防災用具置き場で普段は消防団が管理しているの。
中にはヘルメットとか毛布とか、そういうのが仕舞ってあるんだってさ。
小さい頃に防災訓練で見たような気もするんだけど忘れちゃったなぁ」
「でも特に気になるようなものではないと言うことなのね?
それならこの大岩も町内会で置いた物なのかしら。
町内会長さんにでも詳しい話を聞きに行く必要があるかもしれないわ」
「まあそれには及ばんさ、おいらが説明するよ。
その代わりと言ってはなんだけど、役に立ったと思ったら何か褒美をおくれよ。
おいら生き神様と会うのは初めてなんだ」
八早月は足元から聞こえてきた言葉に頭を抱えて目を閉じた。その様子を見た綾乃は肩をすくめながら同情の眼差しである。
「八早月ちゃんってば、あーあ、またこのパターンかって言いたそう。
お狐様、白蛇様と来て今度はどんな神様だろうね」
声が聞こえてきた大岩の裏を二人で覗いてみると、そこには小さな張り子の牛が鎮座していた。
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