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第1章
第23話、二日目朝
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朝陽の暖かな光により目が覚める。
カーテンを全開にして寝ていたから、顔を出したばかりの太陽により室内は光に満ちていた。
そして俺のすぐ隣には真琴の顔がある。
今もなお、気持ちよさそうにスヤスヤと寝息を立てて。
結局昨日はショートパンツは見せて貰えなかったけど、それ以上にエッチな事をしてしまった。
夜に自分がした事を思い出すと、顔から火が出そうになってくる。
そこでちょうど真琴が寝返りをうったため、下着に包まれている艶やかな胸元が視界に。
いかんいかん!
はだけた胸元を隠すために布団を掛けなおす。
そして一人布団から出て学生服を着ていると、真琴が掛け布団を被ったまま上体を起こした。
目を覚ましたようだ。
「やあユウト、おはよー」
「おっ、おはよ」
まだ寝ぼけているようで目をコシコシしている。
そして突然、忙しなくあたりをキョロキョロと見回し始めたかと思うと、何かに気づいたようでバッと自身が被る布団をめくり視線を落とす。
すると真琴の顔が一瞬にして真っ赤に染まる。
そしてギギギッと音がしそうなくらい、ぎこちない動きでこちらを見た。
「ヤアユウト、オハヨウ」
それはさっき聞いたよー。
「真琴、顔を洗ってくるから鍵は持っていくね」
そう言い捨てると、俺は逃げるようにして扉を閉め井戸に向かうため階段を早足で下りた。
そして少ししてから部屋に戻ると、真琴はいつもの調子に戻っていた。
でも瞳が合えばすぐに逸らされるので、完全には戻っていないのかもしれない。
でも今はこの距離感の方が俺も助かるかも。
身支度を済ませた俺たちは、言葉少なめに会話をしながら一階ロビーへ向かい、ルルカが大きなリュックを背負い時間通りに現れたところで宿を後にした。
しかし人が多い。
俺たちはギルドを目指して街を歩いているのだけど、すでに道行くお店の半分は開店しており、行き交う人々も結構な数で溢れていた。
「みんな早起きなんだなぁ」
俺のそんな他愛のない独り言に、ルルカが反応してくれる。
「この街には冒険者ギルドがあるからですね。
冒険者に合わせて商売をしてる人が多いのです」
「へぇー、そうなんだね」
そしてもう少しでギルドといったところで、すぐ隣から声がかかる。
「考えたんだけどさ、少し焦らそうかと思ってるんだ」
真琴だ。
しかし唐突になにの宣言?
「なんの話? 」
「そんなの決まっているじゃないか」
脚を止めると大きな瞳で見つめくる。
「ある格言に『空腹は最高のスパイスだ』と言うのがあって、何事もすぐ手に入るモノより手に入らないモノのほうが、手にした時に価値が高く感じられると言う事なのだ」
「つまり? 」
「人前ではベタベタしないし、手すら繋がない」
真琴はどうだ、と言った風のドヤ顔である。
と言うか完全復活したんですね。
まあ俺もどちらかと言えば照れがあるので、その方が良いと思う。
なので普通に相槌を入れる。
「それ、いいかもしれないね」
しかし真琴はその答えに若干の不満があったらしく、ぷーと頬を膨らませた。
「それはちょっと、あっさりしすぎてるんじゃないのかな? 」
「そっ、そんな事ないよ? 」
「ボクの唇を、あんなに情熱的に奪っておいて! 」
「ななっ、声が大きいよ! シー! シー! 」
先を歩くルルカがハテナ顏で振り返る。
「いいや黙らないね、あの時のキミは確かに情熱的だった。
しかも、なんかその、……テクニックもあったし」
そう言うと、真琴は怪訝そうな目でこちらを見始める。
「そっそれは、俺もネットとかで調べたりしていたわけで……」
俺、なんで恥ずかしい内情を話してしまっているんだろ。
「とにかく主導権を握ろうとしていたボクは返り討ちにあい、キミに蹂躙される事を受け入れたんだ。
それにあの後のキミは——」
「わーわー、悪かったよ!
だからこれ以上その話はしないでよ! 」
真琴の口元を無理矢理抑えると、一応大人しくはなってくれた。
しかし顔をほんのり朱に染めている真琴は、口の端を釣りあげている。
絶対にこの状況を楽しんでいる感じだ。
ううっ、それとフードを被ってるとはいえ、周りの視線が痛いです。
「どうかしたのですか? 」
「いや、なんでもないよ! 」
少女にはこの話題は早すぎますからね!
そうして俺たちは冒険者ギルドへと着いた。
ロビーのはずれに並ぶ長机まで行くと、俺と真琴が悪鬼要塞に初めて探索に行く事と、帰還予定日を今日の午後と記入し、その紙を設置されているボックスの中へと入れる。
そしてすぐさま冒険者メシの列に並んだ。
こうして無事冒険者メシ二人前を購入した俺たちは、街の外へ。
ちなみにルルカはダンジョンに行くと言う名目で街の外には出られないため、隣町に配達をすると言う名目で門を出ており、俺たちは街の外で合流を果たした。
それから彼女の案内のもと街道を進んでいく。
ちなみに残金は、銀棒3本銅貨5枚銅棒22本で770ルガとなった。
仮に今日収穫がゼロだったとしても、掲示板にあった掃除とかの依頼をこなせばお金は稼げるだろう。
でもここは俺の回復水があるため、最悪ギルド前のスペースを借りて洗濯屋を営業するために必要な、一日の場所代、3000ルガは稼ぎたいところである。
本当だったらダンジョンに潜るだけで、日々の生活でかかるお金を稼げればいいのだけれど。
でも今までの人生、お金を稼いだ事なんて一度もないので、実際上手くいくか不安でしかない。
そこでため息をつく。
まぁここまで来たら、なるようにしかならないか。
「ルルカ、ダンジョンはどれくらいで着きそうなのかな? 」
「二時間くらいで着くと思います」
「そしたらさ、ダンジョンについての説明、して貰ってもいいかな? 」
「わかりました! 」
こうして教えて貰った情報は以下の通りである。
ダンジョン内にはそのダンジョン固有のモンスターが徘徊しており、それらは擬似生命体だと考えられている。
それはダンジョン内のモンスターを倒すと、その場で霧散し時には鉱物を残すから。
また繁殖行動をしているところは確認されていない代わりに、突然光が集まり出したかと思うと、次の瞬間には成体のモンスターがそこに現れる目撃証言が多数寄せられているからだ。
これは迷宮核の近くや特定の場所に現れるボスモンスターと呼ばれる大物達も同じで、倒しても約二ヶ月ほどで復活していたと報告も上がっているそうだ。
またダンジョンのモンスターは、ダンジョン以外の野に暮らすモンスターとは違い、どれも好戦的で人と判断すると問答無用で襲いかかってくるらしい。
そして自然発生するのはなにもモンスターだけではない。
探索を行う場所、ダンジョンもまた同じく、今までなかった部屋や建造物、罠や宝箱などが、突然次の日に増える事があるそうだ。
また人がダンジョン内で死ぬと、遺体は数時間でダンジョン内に吸収されるらしい。
そのため余裕がないときは、祈りだけを行い仲間の亡骸を置いて行くこともあるそうな。
最後になるが、ダンジョンの崩壊に繋がる迷宮核の破壊、もしくは取り外しは現在禁止されている。
それは突然、五十年ほど前から新たなダンジョンが生まれる事がなくなった事に起因し、このままダンジョンを崩壊させていくと、宝箱などの旨味がある報酬が手に入らなくなってしまうと、S級冒険者であり『放浪の賢者』と言われるライト=サーディスが中心となりこの決まり事を作り浸透させた。
まぁこれは恐らく、女神が権限を奪われてしまったからダンジョンが生まれなくなったのだろう。
しかし五十年と言う年月、それはあの女神が地球人を異世界転移させていた年月とイコールになるのかもしれない。
ちなみに真琴曰く、女神にとっての五十年というのはあっという間の時の流れらしく、それこそちょっとお使いにいって帰ってきたぐらいの時間の経過ぐらいにしか感じてないと思うと言った。
それとダンジョンマスターと言う存在について質問をすると、ルルカが『なにそれ? 』ってな顔でキョトンとなってしまった。
これも真琴曰く、ダンジョンマスターとは裏設定みたいなもので、現地の人たちが知らないと言うのはラノベではよくある事らしい。
しかしラノベの情報と同じ世界観ってのは確率的にもなくはないのだろうけど、それが当たるのはなんなのかなーと、素直には受け入れられない自分がいる。
ちなみに今から潜るダンジョンについても話を聞いてみると、罠の類はないみたいですと教えてくれた。
「そういえばさ、宿に置いてあるスタンドランプとかって、どうやって明かりをつけるか知ってる? 」
「それは魔力を消費して、『明かりよ灯れ』って言うだけですよ? 」
「あっ、ああ、そうなんだね」
そんなの事前に教えて貰ってないと絶対わからないよー。
でもこれから夜は大丈夫そうである。
それと夜と言えば——
「そうそう昨日の夜、奇抜なファッションをした綺麗な女の子にあったんだけど、その子の事、なにか知ってたりする? 」
「奇抜なファッション、ですか」
少し考えていたルルカであったが、なにかを思い出したようで顔を上げる。
「黒の魔女、の事ですよね?
あの人は時々姿を見せるらしいのですが、最初に確認されたのは今から五十年も前と噂されています。
あと冒険者登録をしていないと言うのに、危険なダンジョン内での目撃情報も多いそうです。
それと最近で言えば、街中で魔女のソウルリストを確認した人がいたらしいのですが、それが逆鱗に触れてしまったようで、その冒険者の方はその場でボコボコにされたらしいです」
冷や汗が出る。
あの時、ソウルリストを確認しなくて本当によかったと。
とにかく様々な出会いで今の俺がいるわけだから、こうして今を生きてることに対し、運命の神様がいるのなら本当に感謝しなくちゃいけないなと思うのであった。
カーテンを全開にして寝ていたから、顔を出したばかりの太陽により室内は光に満ちていた。
そして俺のすぐ隣には真琴の顔がある。
今もなお、気持ちよさそうにスヤスヤと寝息を立てて。
結局昨日はショートパンツは見せて貰えなかったけど、それ以上にエッチな事をしてしまった。
夜に自分がした事を思い出すと、顔から火が出そうになってくる。
そこでちょうど真琴が寝返りをうったため、下着に包まれている艶やかな胸元が視界に。
いかんいかん!
はだけた胸元を隠すために布団を掛けなおす。
そして一人布団から出て学生服を着ていると、真琴が掛け布団を被ったまま上体を起こした。
目を覚ましたようだ。
「やあユウト、おはよー」
「おっ、おはよ」
まだ寝ぼけているようで目をコシコシしている。
そして突然、忙しなくあたりをキョロキョロと見回し始めたかと思うと、何かに気づいたようでバッと自身が被る布団をめくり視線を落とす。
すると真琴の顔が一瞬にして真っ赤に染まる。
そしてギギギッと音がしそうなくらい、ぎこちない動きでこちらを見た。
「ヤアユウト、オハヨウ」
それはさっき聞いたよー。
「真琴、顔を洗ってくるから鍵は持っていくね」
そう言い捨てると、俺は逃げるようにして扉を閉め井戸に向かうため階段を早足で下りた。
そして少ししてから部屋に戻ると、真琴はいつもの調子に戻っていた。
でも瞳が合えばすぐに逸らされるので、完全には戻っていないのかもしれない。
でも今はこの距離感の方が俺も助かるかも。
身支度を済ませた俺たちは、言葉少なめに会話をしながら一階ロビーへ向かい、ルルカが大きなリュックを背負い時間通りに現れたところで宿を後にした。
しかし人が多い。
俺たちはギルドを目指して街を歩いているのだけど、すでに道行くお店の半分は開店しており、行き交う人々も結構な数で溢れていた。
「みんな早起きなんだなぁ」
俺のそんな他愛のない独り言に、ルルカが反応してくれる。
「この街には冒険者ギルドがあるからですね。
冒険者に合わせて商売をしてる人が多いのです」
「へぇー、そうなんだね」
そしてもう少しでギルドといったところで、すぐ隣から声がかかる。
「考えたんだけどさ、少し焦らそうかと思ってるんだ」
真琴だ。
しかし唐突になにの宣言?
「なんの話? 」
「そんなの決まっているじゃないか」
脚を止めると大きな瞳で見つめくる。
「ある格言に『空腹は最高のスパイスだ』と言うのがあって、何事もすぐ手に入るモノより手に入らないモノのほうが、手にした時に価値が高く感じられると言う事なのだ」
「つまり? 」
「人前ではベタベタしないし、手すら繋がない」
真琴はどうだ、と言った風のドヤ顔である。
と言うか完全復活したんですね。
まあ俺もどちらかと言えば照れがあるので、その方が良いと思う。
なので普通に相槌を入れる。
「それ、いいかもしれないね」
しかし真琴はその答えに若干の不満があったらしく、ぷーと頬を膨らませた。
「それはちょっと、あっさりしすぎてるんじゃないのかな? 」
「そっ、そんな事ないよ? 」
「ボクの唇を、あんなに情熱的に奪っておいて! 」
「ななっ、声が大きいよ! シー! シー! 」
先を歩くルルカがハテナ顏で振り返る。
「いいや黙らないね、あの時のキミは確かに情熱的だった。
しかも、なんかその、……テクニックもあったし」
そう言うと、真琴は怪訝そうな目でこちらを見始める。
「そっそれは、俺もネットとかで調べたりしていたわけで……」
俺、なんで恥ずかしい内情を話してしまっているんだろ。
「とにかく主導権を握ろうとしていたボクは返り討ちにあい、キミに蹂躙される事を受け入れたんだ。
それにあの後のキミは——」
「わーわー、悪かったよ!
だからこれ以上その話はしないでよ! 」
真琴の口元を無理矢理抑えると、一応大人しくはなってくれた。
しかし顔をほんのり朱に染めている真琴は、口の端を釣りあげている。
絶対にこの状況を楽しんでいる感じだ。
ううっ、それとフードを被ってるとはいえ、周りの視線が痛いです。
「どうかしたのですか? 」
「いや、なんでもないよ! 」
少女にはこの話題は早すぎますからね!
そうして俺たちは冒険者ギルドへと着いた。
ロビーのはずれに並ぶ長机まで行くと、俺と真琴が悪鬼要塞に初めて探索に行く事と、帰還予定日を今日の午後と記入し、その紙を設置されているボックスの中へと入れる。
そしてすぐさま冒険者メシの列に並んだ。
こうして無事冒険者メシ二人前を購入した俺たちは、街の外へ。
ちなみにルルカはダンジョンに行くと言う名目で街の外には出られないため、隣町に配達をすると言う名目で門を出ており、俺たちは街の外で合流を果たした。
それから彼女の案内のもと街道を進んでいく。
ちなみに残金は、銀棒3本銅貨5枚銅棒22本で770ルガとなった。
仮に今日収穫がゼロだったとしても、掲示板にあった掃除とかの依頼をこなせばお金は稼げるだろう。
でもここは俺の回復水があるため、最悪ギルド前のスペースを借りて洗濯屋を営業するために必要な、一日の場所代、3000ルガは稼ぎたいところである。
本当だったらダンジョンに潜るだけで、日々の生活でかかるお金を稼げればいいのだけれど。
でも今までの人生、お金を稼いだ事なんて一度もないので、実際上手くいくか不安でしかない。
そこでため息をつく。
まぁここまで来たら、なるようにしかならないか。
「ルルカ、ダンジョンはどれくらいで着きそうなのかな? 」
「二時間くらいで着くと思います」
「そしたらさ、ダンジョンについての説明、して貰ってもいいかな? 」
「わかりました! 」
こうして教えて貰った情報は以下の通りである。
ダンジョン内にはそのダンジョン固有のモンスターが徘徊しており、それらは擬似生命体だと考えられている。
それはダンジョン内のモンスターを倒すと、その場で霧散し時には鉱物を残すから。
また繁殖行動をしているところは確認されていない代わりに、突然光が集まり出したかと思うと、次の瞬間には成体のモンスターがそこに現れる目撃証言が多数寄せられているからだ。
これは迷宮核の近くや特定の場所に現れるボスモンスターと呼ばれる大物達も同じで、倒しても約二ヶ月ほどで復活していたと報告も上がっているそうだ。
またダンジョンのモンスターは、ダンジョン以外の野に暮らすモンスターとは違い、どれも好戦的で人と判断すると問答無用で襲いかかってくるらしい。
そして自然発生するのはなにもモンスターだけではない。
探索を行う場所、ダンジョンもまた同じく、今までなかった部屋や建造物、罠や宝箱などが、突然次の日に増える事があるそうだ。
また人がダンジョン内で死ぬと、遺体は数時間でダンジョン内に吸収されるらしい。
そのため余裕がないときは、祈りだけを行い仲間の亡骸を置いて行くこともあるそうな。
最後になるが、ダンジョンの崩壊に繋がる迷宮核の破壊、もしくは取り外しは現在禁止されている。
それは突然、五十年ほど前から新たなダンジョンが生まれる事がなくなった事に起因し、このままダンジョンを崩壊させていくと、宝箱などの旨味がある報酬が手に入らなくなってしまうと、S級冒険者であり『放浪の賢者』と言われるライト=サーディスが中心となりこの決まり事を作り浸透させた。
まぁこれは恐らく、女神が権限を奪われてしまったからダンジョンが生まれなくなったのだろう。
しかし五十年と言う年月、それはあの女神が地球人を異世界転移させていた年月とイコールになるのかもしれない。
ちなみに真琴曰く、女神にとっての五十年というのはあっという間の時の流れらしく、それこそちょっとお使いにいって帰ってきたぐらいの時間の経過ぐらいにしか感じてないと思うと言った。
それとダンジョンマスターと言う存在について質問をすると、ルルカが『なにそれ? 』ってな顔でキョトンとなってしまった。
これも真琴曰く、ダンジョンマスターとは裏設定みたいなもので、現地の人たちが知らないと言うのはラノベではよくある事らしい。
しかしラノベの情報と同じ世界観ってのは確率的にもなくはないのだろうけど、それが当たるのはなんなのかなーと、素直には受け入れられない自分がいる。
ちなみに今から潜るダンジョンについても話を聞いてみると、罠の類はないみたいですと教えてくれた。
「そういえばさ、宿に置いてあるスタンドランプとかって、どうやって明かりをつけるか知ってる? 」
「それは魔力を消費して、『明かりよ灯れ』って言うだけですよ? 」
「あっ、ああ、そうなんだね」
そんなの事前に教えて貰ってないと絶対わからないよー。
でもこれから夜は大丈夫そうである。
それと夜と言えば——
「そうそう昨日の夜、奇抜なファッションをした綺麗な女の子にあったんだけど、その子の事、なにか知ってたりする? 」
「奇抜なファッション、ですか」
少し考えていたルルカであったが、なにかを思い出したようで顔を上げる。
「黒の魔女、の事ですよね?
あの人は時々姿を見せるらしいのですが、最初に確認されたのは今から五十年も前と噂されています。
あと冒険者登録をしていないと言うのに、危険なダンジョン内での目撃情報も多いそうです。
それと最近で言えば、街中で魔女のソウルリストを確認した人がいたらしいのですが、それが逆鱗に触れてしまったようで、その冒険者の方はその場でボコボコにされたらしいです」
冷や汗が出る。
あの時、ソウルリストを確認しなくて本当によかったと。
とにかく様々な出会いで今の俺がいるわけだから、こうして今を生きてることに対し、運命の神様がいるのなら本当に感謝しなくちゃいけないなと思うのであった。
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