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第2章
第6話、◆宿でヌリヌリ、アズバージョン①◆
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◆
宿屋の一室、アズが寝泊まりする部屋の扉を開く。
すると中は真っ暗であった。
あれ? 出かけたのかな?
でも鍵はかかってないし。
とにかく勝手に入るわけにはいかないから、部屋の外で待つか。
そして扉をそっと閉めようとしていると、突然声がかかる。
部屋の中、暗闇から。
「あんた、なんで入ってこないのよ? 」
え?
たしかに目をこらすと、暗闇の中にサラサラの銀髪を腰まで伸ばす美少女アズがいた。
「明かりを点けてないから、いないかと思ったんだよ」
「明かり? あぁ、私は暗闇のほうが落ち着くの。で、どうやったら明かりが点くわけ? 」
それって、本当は灯りの点け方を知らないだけなんじゃないのかな?
まっ、俺も昨日は点けられなかったわけだから、人様の事をとやかく言えないんだけどね。
俺は目を細めランプを探す。
ここは俺たちと同じ宿で同タイプの部屋の作りである部屋。そのため昨日俺たちの部屋に置いてあった場所にランプがあるはず。
そうして俺は視線を落としながら歩いていく。
えーと、あれかな?
いとも容易く見つけたランプを拾おうとした時、ランプのすぐそばに誰かが立っている事に気が付く。
「だっ、誰!? 」
ギョッとして思わず声に出してしまったんだけど、その人はよくよく見ればアズの専属メイドさんになったクロさんであった。
しかしクロさんは、布で目元を塞がれており、また縄で後ろ手に縛られているため身動きすら出来ないようだ。
「アズ、クロさんのこの状態っていったい!? 」
「あぁ、失礼な態度をとられたから躾をしている最中なの。気にしなくていいわよ」
いや、気にするなと言われても、気になるものは気になるんですけど。
でもたしかに、今は優先してやらなければならない事がある。
メイドさんが縛られてるだなんてとても気になるけど、今はこっちに集中するんだ。
俺はランプをテーブルの上に置くと手を翳す。
よし、あとはたぶんこれで大丈夫なはず——
「明かりよ灯れ! 」
するとランプに明かりが灯り、アズの部屋に光と影が生まれた。
やった!
呪文を唱えたら本当に明かりが点いた!
少し感動である。
自室は先に帰っていた真琴が、すでに明かりを点けていたしね。
しかし余韻に浸る暇はなかった。
「……なっ! 」
何故なら今まで暗闇だったため分からなかったけど、アズは一糸纏わぬ姿でその場に立っていたから。
そう、すっぽんぽんである。
初めて見る女の子の裸姿。
しかもなぜか腰に手を当て仁王立ちのため、何も隠されていない。
「アズッ、なんで!? せめて前を隠してよ! 」
「なんで? 今からあんたのべとべとを、私の身体に塗り込むんでしょ? 」
「みっ、見えていると、そう見えていると俺の集中力が切れて魔法が発動しないかもしれないんだよ! 」
「そんなことで? 変な奴、しょうがないわね」
しぶしぶアズが納得してくれたようだ。
そこで再度アズに視線を向けると——
首を少し前へ傾け自身の身体を見下ろしているアズは、左右の手で両の胸を隠していた。
そのため下がまだ隠れていない。
「なによ? まだ文句があるの!? 」
「いや、もういいです」
陰影のためそこは暗く、凝視しなければまだなんとかなりそうだし!
そう自分に言い聞かせ、無理やり納得する事に。
よし、そうと決まれば、アズの後ろに回り込んでさっさと終わらせよう!
アズの背中を目指し回り込もうとするけど、アズは身体ごとこちらを向くため、いつまで経ってもアズの真正面である。
「その、背中見せて貰えないかな? 」
「私の背中を取ろうだなんて、百億年早いわ! 」
「えっ、いや、そういうことじゃなくて……」
「なによ? 第一、私の背後に回り込んだら無意識のうちに攻撃しちゃうから、よしたほうがいいわよ」
アズさん、あなたはどこぞのスナイパーさんですか。
しかしアズは言い出したら聞かなさそうである。
つまりこの状態でやらないといけないって事になるんだけど、……見えないと思い込んでやるしかないのか?
これは難度がかなり高い。
宿屋の一室、アズが寝泊まりする部屋の扉を開く。
すると中は真っ暗であった。
あれ? 出かけたのかな?
でも鍵はかかってないし。
とにかく勝手に入るわけにはいかないから、部屋の外で待つか。
そして扉をそっと閉めようとしていると、突然声がかかる。
部屋の中、暗闇から。
「あんた、なんで入ってこないのよ? 」
え?
たしかに目をこらすと、暗闇の中にサラサラの銀髪を腰まで伸ばす美少女アズがいた。
「明かりを点けてないから、いないかと思ったんだよ」
「明かり? あぁ、私は暗闇のほうが落ち着くの。で、どうやったら明かりが点くわけ? 」
それって、本当は灯りの点け方を知らないだけなんじゃないのかな?
まっ、俺も昨日は点けられなかったわけだから、人様の事をとやかく言えないんだけどね。
俺は目を細めランプを探す。
ここは俺たちと同じ宿で同タイプの部屋の作りである部屋。そのため昨日俺たちの部屋に置いてあった場所にランプがあるはず。
そうして俺は視線を落としながら歩いていく。
えーと、あれかな?
いとも容易く見つけたランプを拾おうとした時、ランプのすぐそばに誰かが立っている事に気が付く。
「だっ、誰!? 」
ギョッとして思わず声に出してしまったんだけど、その人はよくよく見ればアズの専属メイドさんになったクロさんであった。
しかしクロさんは、布で目元を塞がれており、また縄で後ろ手に縛られているため身動きすら出来ないようだ。
「アズ、クロさんのこの状態っていったい!? 」
「あぁ、失礼な態度をとられたから躾をしている最中なの。気にしなくていいわよ」
いや、気にするなと言われても、気になるものは気になるんですけど。
でもたしかに、今は優先してやらなければならない事がある。
メイドさんが縛られてるだなんてとても気になるけど、今はこっちに集中するんだ。
俺はランプをテーブルの上に置くと手を翳す。
よし、あとはたぶんこれで大丈夫なはず——
「明かりよ灯れ! 」
するとランプに明かりが灯り、アズの部屋に光と影が生まれた。
やった!
呪文を唱えたら本当に明かりが点いた!
少し感動である。
自室は先に帰っていた真琴が、すでに明かりを点けていたしね。
しかし余韻に浸る暇はなかった。
「……なっ! 」
何故なら今まで暗闇だったため分からなかったけど、アズは一糸纏わぬ姿でその場に立っていたから。
そう、すっぽんぽんである。
初めて見る女の子の裸姿。
しかもなぜか腰に手を当て仁王立ちのため、何も隠されていない。
「アズッ、なんで!? せめて前を隠してよ! 」
「なんで? 今からあんたのべとべとを、私の身体に塗り込むんでしょ? 」
「みっ、見えていると、そう見えていると俺の集中力が切れて魔法が発動しないかもしれないんだよ! 」
「そんなことで? 変な奴、しょうがないわね」
しぶしぶアズが納得してくれたようだ。
そこで再度アズに視線を向けると——
首を少し前へ傾け自身の身体を見下ろしているアズは、左右の手で両の胸を隠していた。
そのため下がまだ隠れていない。
「なによ? まだ文句があるの!? 」
「いや、もういいです」
陰影のためそこは暗く、凝視しなければまだなんとかなりそうだし!
そう自分に言い聞かせ、無理やり納得する事に。
よし、そうと決まれば、アズの後ろに回り込んでさっさと終わらせよう!
アズの背中を目指し回り込もうとするけど、アズは身体ごとこちらを向くため、いつまで経ってもアズの真正面である。
「その、背中見せて貰えないかな? 」
「私の背中を取ろうだなんて、百億年早いわ! 」
「えっ、いや、そういうことじゃなくて……」
「なによ? 第一、私の背後に回り込んだら無意識のうちに攻撃しちゃうから、よしたほうがいいわよ」
アズさん、あなたはどこぞのスナイパーさんですか。
しかしアズは言い出したら聞かなさそうである。
つまりこの状態でやらないといけないって事になるんだけど、……見えないと思い込んでやるしかないのか?
これは難度がかなり高い。
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