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第4章
第3話、センジュの戦闘能力
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最初に訪れたフロアから数えて、4つ目の階段を上がっていく。
階段が終わり次の階である真っ直ぐ伸びた道を進むと、道がT字型で左右に分かれていた。そこを俺たちは、右側の通路を選び歩いていく。
しかし暗い。
フロア全体の明るさが、この階に来て明らかに暗くなっている。ただこの暗さの原因はすぐに気がつく。
それは蜘蛛の巣だ。
照明である魔法の松明のところに蜘蛛の巣が張っているために、朧げな光となってしまっているのだ。ダンジョン内に羽虫とかいるのか不明だけど、恐らくダンジョン前の名残でこの小さな蜘蛛たちが巣を作っているのだろう。
ん? つまりこの目の前にいる蜘蛛たちは、食事をしていない可能性がある。そうなるとこの蜘蛛たちも、モンスターって事なのかな?
「ユウト様、このフロアにはボスがいます」
唐突にリアさんが呟いた。
緊張が走ると共に、安堵もする。
それは嫌がっていても遅かれ早かれ、脱出するからには必ずボスを倒さないといけないからだ。
俺たちは闇雲に上への階段を上っていたわけではない。リアさんが『ダンジョンボス並びにフロアボスの位置ならわかります』という事で、このダンジョンに住まうボスを討伐するため歩みを進めていたのだ。
実は迷宮王国内のダンジョン、風に乗ってやってくるわけだけど、その風に吹かれて移動してくる早さは千差万別らしい。
そして今回のようにその移動速度が早いダンジョンは、ジッとしていればタイムリミットを迎えて強制的にダンジョンを出る事が出来るそうな。
と言ってもクロさん曰く、風がグルグル渦巻いている所は運が悪ければいくら待っても半永久的に出れず、また仮に通り抜ける流れであっても半日くらいかかるかもしれないらしい。
そのためそれを聞いたクロさん以外の三人は、さっさとダンジョンを脱出する事を選んだのであった。
因みにダンジョンボスが居座る最上層はまだまだ遠く感じるらしいので、つまりここにいるボスとはーー
「フロアボスってことですか? 」
その問いにリアさんはコクリと頷く。
よし、倒さないといけないのがダンジョンボスじゃないだけマシである。
「ユッ、ユウト! 」
そこで真琴が悲鳴のような声を上げた。
そして頼りない光に照らされるY字型の分岐点の先、真琴が指差す左側の洞窟の曲がり角に、そいつは居た。
なんなんだ!?
あまりの違和感に一瞬思考が一時停止。そして気持ち悪さに身震いしてしまう。
あれは、巨大な女性の横顔、なのか?
そう洞窟の先の曲がり角で幽けき光によって浮かび上がるようにして居るそれは、長い黒髪を垂らし瞳が閉ざされた、通路の広さ一杯の大きさもある女性の横顔であった。
魔術師の洋館にいた大きな仮面を最初は顔と間違ったけど、今回のアレは、どっからどう見ても人の顔である。しかもかなりデカイ。
そこでそいつは動き始める。何事も無かったかのようにして、瞳を閉ざしたままズズズヌッとゆっくり通路の曲がり角へ、後退しながら引っ込んでいったのだ。
なんかこのフロア、かなりヤバイ奴がいる!?
というかあいつがフロアボス!?
そして一同暫しの沈黙の後に、真琴が口を開く。
「ユウト、安心して、ボクが守ってあげるからね! 」
そんな勇気を振り絞って話す真琴は、涙目である。
こう言うのって恐怖耐性っていうのかな? この中でそれが特にないのは真琴のようである。
真琴を休ませてあげたい。
でも攻守に優れた真琴がいないとなると、他のみんなが危険に晒される可能性が上がってしまう。
この緑色の籠手を持つ俺が、真琴の代役を勤めればベストなんだろうけど。
俺はホラー映画とかかなり観ているから、恐怖耐性だけはそこそこ自信があったりする。つまりここが俺の出番なのかもしれな……、いやこここそが俺の出番なのだ。
それに出来れば使いたくはないけど、いざとなれば俺は俺にしか出来ない戦い方をすればどうにかなる気がしてたりもする。
そうと決まればーー
俺は真琴の頭をポンポン叩くと、キョトンとしている真琴に笑いかける。
「いつもありがと、でもここは俺が真琴を守る番だ」
よし、現状把握だ!
「リアさん、もしかして今の奴がフロアボスですか? 」
「はい、どのようなモンスターなのかわからないですが、フロアボスで間違いありません」
どんな敵か、か。
……そうか、ソウルリストを確認していれば良かった。
そこでクロさんと目が合う。
「ソウルリストを確認しました! 」
さっ、流石クロさん。俺らが虚を突かれたり恐れおののいている間にも、しっかり敵のソウルリストを確認していてくれていたようです。
「あの敵のソウルリストは、『紡ぎし鬼姫』でしたーー」
毎回思うけどこのソウルリスト、あてになるのかならないのか分からない所があります。
ただそれでも無下には出来ない。考えておく、もしくは考えて分からなかったとしても頭に留めておくだけで、のちにそれが閃きに繋がり対処出来るかもしれないのだから。
とそう言えば、さっきからアズの元気がないような。
「アズ、どうかした? 」
「あははっ、そんなの決まってるじゃない。疲れたから休んでいるだけよ」
アズさん、つまりまたガス欠になっちゃったんですよね? まぁー、俺が強ければアズが闇ツララを連発しなくて済むわけだし、そうなるとアズのガス欠は俺の責任でもあるわけだ。
でもそうなると、俺のデビュー戦は援護なしの状態であの不気味な顔になるわけ?
なんか正面から挑むのは一口で食べられそうだし危険だと思うから、出来たらあの鬼姫の背後から攻撃したいな。
あの大きさが災いして方向転換とか出来なさそうだったならば、うまく背後に回り込めれば俺でもなんとか出来るかもしれないし。
ただ逆に挟み撃ちをされるのは危険だから、このフロアで出会った敵は出来るだけ排除していきたいな。
と言うわけで、まずは右側の洞窟を進むのがベターかな?
「御主人様、後ろから敵が迫って来てる」
え!?
センジュの突然の報告に心臓が飛び出そうになる。
そして後方、俺たちが進んできた方向である通路の先、暗がりに目を凝らす。
……確かに、なにかそこそこ大きい、中型犬くらいの大きさの何かがいる!
それらは床だけでなく壁や天井に張り付いた状態で、かなりのスピードに乗ってこちらに迫って来ていた。
と言うかなんだあれ!? なんか沢山足があるし、もしかして大きな蜘蛛?
そうだ、ソウルリストだ!
『働き鎧蜘蛛プラス2』
やっぱり蜘蛛か! しかしあのプラスってどう言う意味?
他の奴らはプラス3やプラス1だし、やっぱり意味不明である。
いや、それより俺が迎え討たないと!
「まかせろ」
そこでセンジュの声が聞こえた。
センジュは真琴と同等ぐらいありそうな突進スピードで通路を駆けると、迫り来る鎧蜘蛛たちの直前でフワッと飛び上がる!
それに合わせて鎧蜘蛛たちも、天井や壁から離れてセンジュに飛びかかった!
両者が陰と陰になりて空中で衝突!
そしてセンジュの髪の毛の複数の束の内二本が、二体の敵の土手っ腹を貫いていた。そのまま着地したセンジュは髪の毛の束の先を一旦下から上に跳ねるようにしたため、裏返った状態で串刺しにされているモンスターたち。
というかあの鎧蜘蛛たち、よくよく見れば硬い甲羅に長いくねくね曲がりそうな尻尾を持っているため、蜘蛛と言うよりカブトガニに近い外見をしている。そこでセンジュから少し離れた壁際の地面を、残りの一体がさっと通り抜けようとしていたのだけどーー
『バヂィンッ! 』
センジュが新たに纏めた髪の毛の束が即座に振り落とされ、真上から叩かれる形になった鎧蜘蛛は叩き潰される形で飛散した。
……他にはいないよね?
それから目を凝らすけど、襲って来た敵は今ので全部のようである。そんなわけで少し気が緩んでいた時、それが起こる。
センジュが串刺しにしている働き鎧蜘蛛を口元まで持ってくると、あろうことかセンジュ自身が大口を開いてバグゥンっと噛み付いた。そして鎧蜘蛛の体液を零しながらボリボリいわせて食べ始める。
「センジュ、なにしちゃってんの!?
どうして食べちゃってるの!? 」
「興味があったから。これお腹は膨れる、でもゲロまず」
そこでセンジュが珍しく、いつもの無表情からハッとした顔つきに変わり頭を下げる。
「浮気してゴメンなさい」
「そこじゃない! 」
と言うかセンジュって、なんかそんな気がしていたんだけど、かなり強い部類に入るんじゃないのかな?
だって元はアイテムだよね?
それが気を利かせてダンジョン内のモンスターを一撃で倒したくれてるわけだし。
いや、流石と言うべきなのか? レアアイテムより上である危険な装備品なわけだから。
「と言うかセンジュ、敵の位置が分かるの? 」
「わかる、さっきみたいにある程度近付いてきたらだけど」
そう言ってセンジュの頭の毛が一本が、真上を指すようにして立った。
「いやセンジュ、取り敢えず落ち着こう。その表現なんだけど、何故かやばい気がするから今回だけにするよ? いい? たまたま静電気で立ったって言い張れる気がするから、だからもう二度と敵を察知したタイミングとかで髪の毛を立てたらダメだからね」
「分かったけど、変な御主人様」
しかし真琴とアズが休んでいても、同等の力を持っていそうな仲間がいるのは心強い。
俺は俺で回復魔法があるから、最悪即死しなければいいわけだし。いや、さっきの巨大な顔面は、パクッと齧られたら即死コースになりそう。
急接近とか許さないよう、注意しないとだ。
あとは——
「センジュ、挟み撃ちされたら怖いから、一番後ろで見張っていて貰えないかな? 」
「任せろ。センジュは御主人様が良いと言うなら全力でサポートする」
「ありがとう」
階段が終わり次の階である真っ直ぐ伸びた道を進むと、道がT字型で左右に分かれていた。そこを俺たちは、右側の通路を選び歩いていく。
しかし暗い。
フロア全体の明るさが、この階に来て明らかに暗くなっている。ただこの暗さの原因はすぐに気がつく。
それは蜘蛛の巣だ。
照明である魔法の松明のところに蜘蛛の巣が張っているために、朧げな光となってしまっているのだ。ダンジョン内に羽虫とかいるのか不明だけど、恐らくダンジョン前の名残でこの小さな蜘蛛たちが巣を作っているのだろう。
ん? つまりこの目の前にいる蜘蛛たちは、食事をしていない可能性がある。そうなるとこの蜘蛛たちも、モンスターって事なのかな?
「ユウト様、このフロアにはボスがいます」
唐突にリアさんが呟いた。
緊張が走ると共に、安堵もする。
それは嫌がっていても遅かれ早かれ、脱出するからには必ずボスを倒さないといけないからだ。
俺たちは闇雲に上への階段を上っていたわけではない。リアさんが『ダンジョンボス並びにフロアボスの位置ならわかります』という事で、このダンジョンに住まうボスを討伐するため歩みを進めていたのだ。
実は迷宮王国内のダンジョン、風に乗ってやってくるわけだけど、その風に吹かれて移動してくる早さは千差万別らしい。
そして今回のようにその移動速度が早いダンジョンは、ジッとしていればタイムリミットを迎えて強制的にダンジョンを出る事が出来るそうな。
と言ってもクロさん曰く、風がグルグル渦巻いている所は運が悪ければいくら待っても半永久的に出れず、また仮に通り抜ける流れであっても半日くらいかかるかもしれないらしい。
そのためそれを聞いたクロさん以外の三人は、さっさとダンジョンを脱出する事を選んだのであった。
因みにダンジョンボスが居座る最上層はまだまだ遠く感じるらしいので、つまりここにいるボスとはーー
「フロアボスってことですか? 」
その問いにリアさんはコクリと頷く。
よし、倒さないといけないのがダンジョンボスじゃないだけマシである。
「ユッ、ユウト! 」
そこで真琴が悲鳴のような声を上げた。
そして頼りない光に照らされるY字型の分岐点の先、真琴が指差す左側の洞窟の曲がり角に、そいつは居た。
なんなんだ!?
あまりの違和感に一瞬思考が一時停止。そして気持ち悪さに身震いしてしまう。
あれは、巨大な女性の横顔、なのか?
そう洞窟の先の曲がり角で幽けき光によって浮かび上がるようにして居るそれは、長い黒髪を垂らし瞳が閉ざされた、通路の広さ一杯の大きさもある女性の横顔であった。
魔術師の洋館にいた大きな仮面を最初は顔と間違ったけど、今回のアレは、どっからどう見ても人の顔である。しかもかなりデカイ。
そこでそいつは動き始める。何事も無かったかのようにして、瞳を閉ざしたままズズズヌッとゆっくり通路の曲がり角へ、後退しながら引っ込んでいったのだ。
なんかこのフロア、かなりヤバイ奴がいる!?
というかあいつがフロアボス!?
そして一同暫しの沈黙の後に、真琴が口を開く。
「ユウト、安心して、ボクが守ってあげるからね! 」
そんな勇気を振り絞って話す真琴は、涙目である。
こう言うのって恐怖耐性っていうのかな? この中でそれが特にないのは真琴のようである。
真琴を休ませてあげたい。
でも攻守に優れた真琴がいないとなると、他のみんなが危険に晒される可能性が上がってしまう。
この緑色の籠手を持つ俺が、真琴の代役を勤めればベストなんだろうけど。
俺はホラー映画とかかなり観ているから、恐怖耐性だけはそこそこ自信があったりする。つまりここが俺の出番なのかもしれな……、いやこここそが俺の出番なのだ。
それに出来れば使いたくはないけど、いざとなれば俺は俺にしか出来ない戦い方をすればどうにかなる気がしてたりもする。
そうと決まればーー
俺は真琴の頭をポンポン叩くと、キョトンとしている真琴に笑いかける。
「いつもありがと、でもここは俺が真琴を守る番だ」
よし、現状把握だ!
「リアさん、もしかして今の奴がフロアボスですか? 」
「はい、どのようなモンスターなのかわからないですが、フロアボスで間違いありません」
どんな敵か、か。
……そうか、ソウルリストを確認していれば良かった。
そこでクロさんと目が合う。
「ソウルリストを確認しました! 」
さっ、流石クロさん。俺らが虚を突かれたり恐れおののいている間にも、しっかり敵のソウルリストを確認していてくれていたようです。
「あの敵のソウルリストは、『紡ぎし鬼姫』でしたーー」
毎回思うけどこのソウルリスト、あてになるのかならないのか分からない所があります。
ただそれでも無下には出来ない。考えておく、もしくは考えて分からなかったとしても頭に留めておくだけで、のちにそれが閃きに繋がり対処出来るかもしれないのだから。
とそう言えば、さっきからアズの元気がないような。
「アズ、どうかした? 」
「あははっ、そんなの決まってるじゃない。疲れたから休んでいるだけよ」
アズさん、つまりまたガス欠になっちゃったんですよね? まぁー、俺が強ければアズが闇ツララを連発しなくて済むわけだし、そうなるとアズのガス欠は俺の責任でもあるわけだ。
でもそうなると、俺のデビュー戦は援護なしの状態であの不気味な顔になるわけ?
なんか正面から挑むのは一口で食べられそうだし危険だと思うから、出来たらあの鬼姫の背後から攻撃したいな。
あの大きさが災いして方向転換とか出来なさそうだったならば、うまく背後に回り込めれば俺でもなんとか出来るかもしれないし。
ただ逆に挟み撃ちをされるのは危険だから、このフロアで出会った敵は出来るだけ排除していきたいな。
と言うわけで、まずは右側の洞窟を進むのがベターかな?
「御主人様、後ろから敵が迫って来てる」
え!?
センジュの突然の報告に心臓が飛び出そうになる。
そして後方、俺たちが進んできた方向である通路の先、暗がりに目を凝らす。
……確かに、なにかそこそこ大きい、中型犬くらいの大きさの何かがいる!
それらは床だけでなく壁や天井に張り付いた状態で、かなりのスピードに乗ってこちらに迫って来ていた。
と言うかなんだあれ!? なんか沢山足があるし、もしかして大きな蜘蛛?
そうだ、ソウルリストだ!
『働き鎧蜘蛛プラス2』
やっぱり蜘蛛か! しかしあのプラスってどう言う意味?
他の奴らはプラス3やプラス1だし、やっぱり意味不明である。
いや、それより俺が迎え討たないと!
「まかせろ」
そこでセンジュの声が聞こえた。
センジュは真琴と同等ぐらいありそうな突進スピードで通路を駆けると、迫り来る鎧蜘蛛たちの直前でフワッと飛び上がる!
それに合わせて鎧蜘蛛たちも、天井や壁から離れてセンジュに飛びかかった!
両者が陰と陰になりて空中で衝突!
そしてセンジュの髪の毛の複数の束の内二本が、二体の敵の土手っ腹を貫いていた。そのまま着地したセンジュは髪の毛の束の先を一旦下から上に跳ねるようにしたため、裏返った状態で串刺しにされているモンスターたち。
というかあの鎧蜘蛛たち、よくよく見れば硬い甲羅に長いくねくね曲がりそうな尻尾を持っているため、蜘蛛と言うよりカブトガニに近い外見をしている。そこでセンジュから少し離れた壁際の地面を、残りの一体がさっと通り抜けようとしていたのだけどーー
『バヂィンッ! 』
センジュが新たに纏めた髪の毛の束が即座に振り落とされ、真上から叩かれる形になった鎧蜘蛛は叩き潰される形で飛散した。
……他にはいないよね?
それから目を凝らすけど、襲って来た敵は今ので全部のようである。そんなわけで少し気が緩んでいた時、それが起こる。
センジュが串刺しにしている働き鎧蜘蛛を口元まで持ってくると、あろうことかセンジュ自身が大口を開いてバグゥンっと噛み付いた。そして鎧蜘蛛の体液を零しながらボリボリいわせて食べ始める。
「センジュ、なにしちゃってんの!?
どうして食べちゃってるの!? 」
「興味があったから。これお腹は膨れる、でもゲロまず」
そこでセンジュが珍しく、いつもの無表情からハッとした顔つきに変わり頭を下げる。
「浮気してゴメンなさい」
「そこじゃない! 」
と言うかセンジュって、なんかそんな気がしていたんだけど、かなり強い部類に入るんじゃないのかな?
だって元はアイテムだよね?
それが気を利かせてダンジョン内のモンスターを一撃で倒したくれてるわけだし。
いや、流石と言うべきなのか? レアアイテムより上である危険な装備品なわけだから。
「と言うかセンジュ、敵の位置が分かるの? 」
「わかる、さっきみたいにある程度近付いてきたらだけど」
そう言ってセンジュの頭の毛が一本が、真上を指すようにして立った。
「いやセンジュ、取り敢えず落ち着こう。その表現なんだけど、何故かやばい気がするから今回だけにするよ? いい? たまたま静電気で立ったって言い張れる気がするから、だからもう二度と敵を察知したタイミングとかで髪の毛を立てたらダメだからね」
「分かったけど、変な御主人様」
しかし真琴とアズが休んでいても、同等の力を持っていそうな仲間がいるのは心強い。
俺は俺で回復魔法があるから、最悪即死しなければいいわけだし。いや、さっきの巨大な顔面は、パクッと齧られたら即死コースになりそう。
急接近とか許さないよう、注意しないとだ。
あとは——
「センジュ、挟み撃ちされたら怖いから、一番後ろで見張っていて貰えないかな? 」
「任せろ。センジュは御主人様が良いと言うなら全力でサポートする」
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