ある探偵の独り言

イケウタ

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刑事

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 なぜ俺が喫茶店の階段から突き落とされたのか。
 俺の事件を担当した刑事、警視庁捜査一課、安曇敬一郎巡査部長は未だにその理由を探しているらしく、事務所に何度も足を運んできた。
 俺は刑事という職業を選んだ男は嫌いじゃないが、やっぱり好きにもなれない。事務所にも足を運ぶ時間がないという、ある有名作家の実家へ依頼を伺いに出向いていた俺は、いきなり所長に呼び戻され、ほとんど激怒しながら事務所に戻った。――刑事という職種は人の都合など気にしない、それが好きになれない、一番の理由だった。
 確かに俺だって理由は気になる。
 だが深追いする気はなかった。
 命が助かっただけでも幸運だったのだ。

 安曇が来た日の予定はいつも未消化のまま、終わる。
 俺はまだ以前のペースを掴みきれないで居た。
 南野とのコミュニケーションも満足に取れず、部下たちの顔色が今一つ読めない。彼らの調査予定に口を挟む気にさえなれなかった。どれが正しいのか、なぜかわからない。
 苛々するまま、日々が過ぎていく。
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