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35話 五十路、踊る。
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「ダメです! そんな事を教えましたか!?」
「うう……すみません」
正午お坊ちゃんと私は、裏で真昼お嬢様の為のサプライズの準備を進めます。
時間がない為、厳しくさせていただいております。
『ちょ、ちょっと何よ、この状況は!?』
真昼お嬢様が戻られたようです。あまりにも驚いたのか大声が出ています。
『真昼お嬢様、お待ちしておりました。今日は、記念日という事でサプライズの催しが行われるのです。よろしければご覧ください』
『記念日!? なんの?』
『え、えーと、それもあとでサプライズで!』
緋田さんが頑張って誤魔化してらっしゃいますが、流石に無理があるような……。
どうやら強引に連れて行ったようです。がんばりましたね、緋田さん!
『さあさあ、皆様、今日はスペシャルステージ。我々執事の特技披露をさせていただきましょう!』
藍水さんの美しい声が漏れ聞こえてきます。
正午お坊ちゃんの真昼お嬢様へ捧げるサプライズの準備のために皆さんが時間を稼いでくださっています。
藍水さんの読心マジック、赤さんのカクテルパフォーマンス、千金楽さんのジャグリング、緋田さんのリフティング、緑川さんの話芸等々……。
執事たちの特技披露に大盛り上がりの様です。もしかしたら、今後のイベントになるかもしれませんね。
『ねえ、さっきからこの向こうで白銀の叱責の声と、ウチの弟の悲鳴が聞こえる気がするんだけど……』
『き! 気のせいです!』
おっと、いけません。ちょっと声を張り上げすぎてしまっていたようです。
ですが、そのかいあって、正午お坊ちゃんは驚くべき成長を見せてくださいました。
「ど、どうでしょうか?」
「良いでしょう。付け焼刃ではありますが、きっと真昼お嬢様には届くはずです」
「あの……白銀さん」
「はい」
「お願いが、あの、もう少しだけ時間を下さい」
正午お坊ちゃんが髪を掻き上げ、私は微笑みます。
「かしこまりました。あなたの決めた答え、私としては満点だと思います。であれば、それまでの時間は、この白銀にお任せを」
正午お坊ちゃんを南さんに預け、私はホールへと戻ります。
ホールでは、やることが尽きたのか、質問などを受付け間を繋いでいるようでしたが、業を煮やし席を立とうとする真昼お嬢様を緋田さんが必死に止めていらっしゃいます。
「なんなのよ! 私は、弟を連れて帰るって言ってるでしょう!」
「もう少し! もう少し! お待ちください!」
「私は、お嬢様でしょ! いう事を聞きなさい」
「私は執事です! だから、お嬢様の為に最善を尽くすんです!」
緋田さん……私は、緋田さんのその姿に目頭が熱くなります。
いけません、年ですね。
お嬢様の為に出来ることを、その為にはお嬢様に逆らってでも。
緋田さんの成長に私もうかうかしてられません。
「真昼お嬢様」
私が声を掛けると少し怯えたように振り返る真昼お嬢様。
「あ、あなた、正午に何をしたのよ?」
どうやら、声が聞こえていたせいのようです。
そんなに厳しくしましたかね? 私の祖父は教える時はこの十倍は怖かったと思いますが。
「お坊ちゃんの為に最善を尽くしておりました」
「あなたね」
「さて、真昼お嬢様。聞いたところによると、真昼お嬢様はダンスを嗜まれるとか」
流石【GARDEN】の執事です。スタッフルームのノートにはお嬢様達の為に記録された情報がびっしりと刻まれていました。
「……それがなに? 競技ダンス部だけど」
道理で一つ一つの動きが美しいと思いました。指先にもしっかり意識が。
背筋もピンと伸び、服や靴の扱いもとても様になっていらっしゃいます。
「素晴らしい。よろしければ、私と一曲踊って頂けませんか」
「踊れるの?」
「嗜む程度ですが」
「……へえ、私の採点は厳しいわよ」
真昼お嬢様は、競技ダンスで中々の腕前とのこと。
正直、足を引っ張るだけでしょうが今は、時間が稼げればよしとしましょう。
「誠心誠意躍らせていただきます。お付き合いくださいますか、お嬢様」
「喜んで」
有難いことに、他のお嬢様方も出し物の延長として歓迎してくださいます。
少しでも楽しんで頂くために、未熟者なりに頑張らねばなりません。
音楽が流れます。
ポル・ウナ・カベサ。
『首の差で』という意味の競馬用語でしたかね。恋の駆け引きという勝負に出遅れてしまった男の無念が込められた恋の歌。
人生において大分出遅れた私が踊るとは皮肉なものですね。
真昼お嬢様は流石の腕前で、洗練された動き、そして、その若さからは信じられない程の色気と磨かれた芯の強さを感じさせます。
そして、踊っている時の彼女の表情はとても魅力的で。
目が合うと挑戦的に微笑み、私が仕掛けると楽しそうに合わせて下さる。
素敵な笑顔はずっと見ていたくなるほどでした。
でも、永遠はありません。終わりの時間が近づきます。
終わりは始まり、そして、この曲は飽くまで序章。
ここから始まるのです。
踊り終わると、ホールは静けさに包まれていました。
あれ? もしかして、『スベり』ました?
千金楽さんの小さな拍手。
そして、それを追うように皆様が拍手してくださいました。
流石、千金楽さんナイスフォローです。
「なんで! 踊れるのよ! しかもびっくりするレベルだし! 嗜むって言葉本当に知ってる? あなたなんでも嗜む程度にって言ってるでしょ! 迷惑よ!」
真昼お嬢様が私に詰め寄ります。その後ろで頷く皆さん。え? おかしいですか?
「あの、前勤めていた喫茶店の常連さんに玉さんと言う社交ダンス教室の先生がいらっしゃいまして、熱心に練習相手に誘われそれで……」
「玉さん~?」
「あ、玉川静香先生という方が」
「げ! 鬼玉!? あ……」
どうやらご存じだったようです。鬼ですか……確かに、玉さんは熱が入るとめちゃくちゃ指導に力が入っていた印象があります。
「確かに熱い人ですね。熱心に大会に出ようと誘われました」
「あの玉川先生がペアに誘う? あんたほんと何者よ!」
「ただの老いた執事なんですが……」
「「「「「「「「「「いやいやいやいや!」」」」」」」」」」
皆さんからツッコミを受けます。はて?
玉さんからも日舞の癖が強すぎてとても怒られましたし、『そんなに早くマスターしたって、ふざけてるの?』と言われた記憶があります。
未熟者が多少できた所で調子に乗るなという戒めだったのでしょう。
まあ、私の事はいいのです。
それより、
「さて、真昼お嬢様。踊り終わって喉が渇きませんか?」
「喉? まあ、確かに……」
「お飲み物をお持ちしました。貴方に尽くしたい執事が」
私が視線を送ると、真昼お嬢様はそちらを見て息を呑みます。
そこには、額の傷跡を見せるように髪を上げた小さな執事が飲み物を持ってこちらへ向かっていました。
さあ、真打ち登場です。
教えたことを覚えていると良いんですが。
『お、お嬢様、わ、私と……』
『ダメです。言葉に振り回されるなら使わない方が良い。心動かされない装飾品なんてただの自己満足です。今回は特に。自分の言葉を、お嬢様の為の言葉を届けることだけ考えなさい』
「正午……」
真昼お嬢様が震える声で正午さんを呼びます。
「真昼お嬢様、あなたと一緒に楽しい時間を過ごさせてください! 絶対に楽しい時間にしてみせますから!」
良いでしょう。気持ちが伝わる彼らしい言葉です。
さて、では。お嬢様の手を取って、ラストダンスと参りましょう。
「うう……すみません」
正午お坊ちゃんと私は、裏で真昼お嬢様の為のサプライズの準備を進めます。
時間がない為、厳しくさせていただいております。
『ちょ、ちょっと何よ、この状況は!?』
真昼お嬢様が戻られたようです。あまりにも驚いたのか大声が出ています。
『真昼お嬢様、お待ちしておりました。今日は、記念日という事でサプライズの催しが行われるのです。よろしければご覧ください』
『記念日!? なんの?』
『え、えーと、それもあとでサプライズで!』
緋田さんが頑張って誤魔化してらっしゃいますが、流石に無理があるような……。
どうやら強引に連れて行ったようです。がんばりましたね、緋田さん!
『さあさあ、皆様、今日はスペシャルステージ。我々執事の特技披露をさせていただきましょう!』
藍水さんの美しい声が漏れ聞こえてきます。
正午お坊ちゃんの真昼お嬢様へ捧げるサプライズの準備のために皆さんが時間を稼いでくださっています。
藍水さんの読心マジック、赤さんのカクテルパフォーマンス、千金楽さんのジャグリング、緋田さんのリフティング、緑川さんの話芸等々……。
執事たちの特技披露に大盛り上がりの様です。もしかしたら、今後のイベントになるかもしれませんね。
『ねえ、さっきからこの向こうで白銀の叱責の声と、ウチの弟の悲鳴が聞こえる気がするんだけど……』
『き! 気のせいです!』
おっと、いけません。ちょっと声を張り上げすぎてしまっていたようです。
ですが、そのかいあって、正午お坊ちゃんは驚くべき成長を見せてくださいました。
「ど、どうでしょうか?」
「良いでしょう。付け焼刃ではありますが、きっと真昼お嬢様には届くはずです」
「あの……白銀さん」
「はい」
「お願いが、あの、もう少しだけ時間を下さい」
正午お坊ちゃんが髪を掻き上げ、私は微笑みます。
「かしこまりました。あなたの決めた答え、私としては満点だと思います。であれば、それまでの時間は、この白銀にお任せを」
正午お坊ちゃんを南さんに預け、私はホールへと戻ります。
ホールでは、やることが尽きたのか、質問などを受付け間を繋いでいるようでしたが、業を煮やし席を立とうとする真昼お嬢様を緋田さんが必死に止めていらっしゃいます。
「なんなのよ! 私は、弟を連れて帰るって言ってるでしょう!」
「もう少し! もう少し! お待ちください!」
「私は、お嬢様でしょ! いう事を聞きなさい」
「私は執事です! だから、お嬢様の為に最善を尽くすんです!」
緋田さん……私は、緋田さんのその姿に目頭が熱くなります。
いけません、年ですね。
お嬢様の為に出来ることを、その為にはお嬢様に逆らってでも。
緋田さんの成長に私もうかうかしてられません。
「真昼お嬢様」
私が声を掛けると少し怯えたように振り返る真昼お嬢様。
「あ、あなた、正午に何をしたのよ?」
どうやら、声が聞こえていたせいのようです。
そんなに厳しくしましたかね? 私の祖父は教える時はこの十倍は怖かったと思いますが。
「お坊ちゃんの為に最善を尽くしておりました」
「あなたね」
「さて、真昼お嬢様。聞いたところによると、真昼お嬢様はダンスを嗜まれるとか」
流石【GARDEN】の執事です。スタッフルームのノートにはお嬢様達の為に記録された情報がびっしりと刻まれていました。
「……それがなに? 競技ダンス部だけど」
道理で一つ一つの動きが美しいと思いました。指先にもしっかり意識が。
背筋もピンと伸び、服や靴の扱いもとても様になっていらっしゃいます。
「素晴らしい。よろしければ、私と一曲踊って頂けませんか」
「踊れるの?」
「嗜む程度ですが」
「……へえ、私の採点は厳しいわよ」
真昼お嬢様は、競技ダンスで中々の腕前とのこと。
正直、足を引っ張るだけでしょうが今は、時間が稼げればよしとしましょう。
「誠心誠意躍らせていただきます。お付き合いくださいますか、お嬢様」
「喜んで」
有難いことに、他のお嬢様方も出し物の延長として歓迎してくださいます。
少しでも楽しんで頂くために、未熟者なりに頑張らねばなりません。
音楽が流れます。
ポル・ウナ・カベサ。
『首の差で』という意味の競馬用語でしたかね。恋の駆け引きという勝負に出遅れてしまった男の無念が込められた恋の歌。
人生において大分出遅れた私が踊るとは皮肉なものですね。
真昼お嬢様は流石の腕前で、洗練された動き、そして、その若さからは信じられない程の色気と磨かれた芯の強さを感じさせます。
そして、踊っている時の彼女の表情はとても魅力的で。
目が合うと挑戦的に微笑み、私が仕掛けると楽しそうに合わせて下さる。
素敵な笑顔はずっと見ていたくなるほどでした。
でも、永遠はありません。終わりの時間が近づきます。
終わりは始まり、そして、この曲は飽くまで序章。
ここから始まるのです。
踊り終わると、ホールは静けさに包まれていました。
あれ? もしかして、『スベり』ました?
千金楽さんの小さな拍手。
そして、それを追うように皆様が拍手してくださいました。
流石、千金楽さんナイスフォローです。
「なんで! 踊れるのよ! しかもびっくりするレベルだし! 嗜むって言葉本当に知ってる? あなたなんでも嗜む程度にって言ってるでしょ! 迷惑よ!」
真昼お嬢様が私に詰め寄ります。その後ろで頷く皆さん。え? おかしいですか?
「あの、前勤めていた喫茶店の常連さんに玉さんと言う社交ダンス教室の先生がいらっしゃいまして、熱心に練習相手に誘われそれで……」
「玉さん~?」
「あ、玉川静香先生という方が」
「げ! 鬼玉!? あ……」
どうやらご存じだったようです。鬼ですか……確かに、玉さんは熱が入るとめちゃくちゃ指導に力が入っていた印象があります。
「確かに熱い人ですね。熱心に大会に出ようと誘われました」
「あの玉川先生がペアに誘う? あんたほんと何者よ!」
「ただの老いた執事なんですが……」
「「「「「「「「「「いやいやいやいや!」」」」」」」」」」
皆さんからツッコミを受けます。はて?
玉さんからも日舞の癖が強すぎてとても怒られましたし、『そんなに早くマスターしたって、ふざけてるの?』と言われた記憶があります。
未熟者が多少できた所で調子に乗るなという戒めだったのでしょう。
まあ、私の事はいいのです。
それより、
「さて、真昼お嬢様。踊り終わって喉が渇きませんか?」
「喉? まあ、確かに……」
「お飲み物をお持ちしました。貴方に尽くしたい執事が」
私が視線を送ると、真昼お嬢様はそちらを見て息を呑みます。
そこには、額の傷跡を見せるように髪を上げた小さな執事が飲み物を持ってこちらへ向かっていました。
さあ、真打ち登場です。
教えたことを覚えていると良いんですが。
『お、お嬢様、わ、私と……』
『ダメです。言葉に振り回されるなら使わない方が良い。心動かされない装飾品なんてただの自己満足です。今回は特に。自分の言葉を、お嬢様の為の言葉を届けることだけ考えなさい』
「正午……」
真昼お嬢様が震える声で正午さんを呼びます。
「真昼お嬢様、あなたと一緒に楽しい時間を過ごさせてください! 絶対に楽しい時間にしてみせますから!」
良いでしょう。気持ちが伝わる彼らしい言葉です。
さて、では。お嬢様の手を取って、ラストダンスと参りましょう。
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