白髪、老け顔、草食系のロマンスグレーですが、何でしょうか、お嬢さん?~五十路男、執事喫茶で無双始めました~

だぶんぐる

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43話 五十路、誓う

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「おじーちゃーん」

目の前で赤みがかった茶の髪が胸の前で揺れています。

「お久しぶりですね」

私は思わずそのわんちゃんのような仕草に頭を撫でてしまいます。

「ほわ!」

おや? どこかから変わった声が。

「白銀、無闇にお嬢様の頭を撫でるものではありませんよ」

千金楽が傍までやってきて相変わらずの圧ある笑みでこちらを見ています。

(周り見ろ)

アイコンタクトで察した私は周囲を見渡すとなんでしょう。
皆さんがこちらをじいっと見ています。
ああ、いけません。
確かに、これはいくらなんでも執事とお嬢様の関係ではなく、ジジイと孫ですね。

(そういうことじゃない。お前は修羅を大量製造したんだぞ、どうすんだ、この修羅場)

ちょっと何言いたいのかわかりませんでした。アイコンタクトが複雑すぎて。
周りを見ると皆さんが千金楽以上の微笑みを浮かべていらっしゃいます。

何か、やってしまったようです。

ひとまず、いずれにせよ、今の状況はよろしくないでしょうから。
私に抱きついていらっしゃるお嬢様に離れていただきます。

「あー、おじーちゃんのにおいがとおざかるー」

うーうー言いながらお嬢様がバタバタしています。かわいらしいです。

「カミュ、ひとまず落ち着きなって」
「いや、でも、レカちゃん! おじーちゃんがいたんだよ! マジ運命!」

銀色の髪のお嬢様が、私に抱きついてきた赤茶のお嬢様に話しかけます。

「うん、でも、あんたのやってることちょっと今ヤバげだから」
「え? あー! そっか、みんなおじーちゃんラブだもんね」

その一言で場がざわりと揺れたような感覚に襲われました。
そっと周りを見ると、朝日お嬢様や真昼お嬢様、南さんまでも俯いたりそっぽを向いたりしてらっしゃいます。

まあ、こんなジジイが好きだと思われたくありませんものね。

「お嬢様、お席へご案内したいのですが、ひとまず、白銀、このお嬢様とお知り合いですか?」

千金楽がひと際大きな声で聞いてきます。ジジイだから耳は遠いですがこの距離なら聞こえますよ。というか、それだけ大きければ、ホールに居れば聞こえるくらいなんですが。

「ええ、はい。以前働いていたカフェで一度お客様としてお迎えしたことがあり」
「ほう一度! では、本当の孫というわけでなく!?」

千金楽の声が相変わらず大きいので、私もどんどん大きくなっている気がします。

「ええ、恥ずかしながら結婚もしていなければ当然子供も孫もいないので」
「そうでしたか! 実際の孫ではないし、子供もいないし、恋人もいないのですか!」

そこを強調されると少し空しいのですが。
なんだか、また周りの空気がざわついている気がしますし……。

「ですが、お嬢様、無闇に執事に抱きつくのはご遠慮下さいね」
「イケメン……! はい! 分かりました! そう、ですよね、おじーちゃんはみんなのおじーちゃんですもんね!」

赤茶のお嬢様は、何故か千金楽に敬礼をし、納得したように頷いていらっしゃいました。

「では、お席へご案内しましょう。こちらへどうぞ。……ああ、お嬢様達をなんとお呼びすれば?」
「あー、じゃあ、カミュで!」
「私は……レカで」
「かしこまりました。私は、千金楽と申します。カミュお嬢様、レカお嬢様こちらへ」

千金楽が案内をしようと二人を促すと、赤茶のカミュお嬢様がこちらに振り返り、

「おじーちゃんは? お名前は?」
「白銀、と申します」
「しろがね、白銀……だこー……うい! 白銀、よろしくね!」

カミュお嬢様は、頭に刻みつけるように私の名前を繰り返しながら頷くと、もう一人の青みがかった銀髪のレカお嬢様の後について席に向かわれました。

「派手な髪」
「す、凄いね」

赤みがかった茶色と、青みのあるシルバーというのでしょうか。
確かに、髪の色が派手なお二人で、真昼お嬢様と朝日お嬢様も目がそちらに行ってしまうようです。
ですが、あの方は……

「あちゅん……!」
「相変わらず、くしゃみかわえ」
「ほっとけ」
「あてせー」
「めるしー、ってかレカ完璧かよ! すげー!」

「ヤバいっす、最近のギャル語わかんねっす」
「心配すんな、俺もだ」

キッチンからホールの様子を覗きながら緋田と千金楽が話しています。
まあ、確かに初めてのご帰宅なので、動向が気になりますし、色々把握しておきたいので、その髪色も相まってついつい目がいってしまいます。まあ、左右で二色の未夜さんほどではありませんが。

その未夜さんも先程ご帰宅されました。

「久しぶり、白銀」
「眼鏡、お似合いですよ。未夜お嬢様」

眼鏡を掛けたままのご帰宅で、目が合うとふわりと微笑んでくださったのが印象的でした。
その未夜お嬢様を見ると、例のお二人が楽しそうに騒ぎ出していました。
どうやら、未夜さんは最近、また占い師としての活動を再開したらしく、噂になっているようです。
やはり女子高校生はそういったことに興味があるのでしょう。チラチラ見ながらお話されています。
未夜お嬢様は気にされていないようなので、それに関しては何も言いませんが……

「けど、ちょっと声が大きいな。あれだと……」
「あ、黒鶴さんが……まあ、確かに元気過ぎましたもんね」

私も他のお嬢様へのお料理を持って出ようとしたところで、二人の言う光景が目に入ります。

「お嬢様」
「え? は、ひゃい!」
「楽しくお話、また、笑い声、私は笑顔が素敵で良いと思うのですが、少々声の大きさを押さえないと、お元気過ぎるお嬢様と思われかねませんよ」
「え、と?」
「ちょっと静かにしましょうねってこと」
「あ、ぼん…いや、は……はい」
「ご配慮ありがとうございます。ですが、しっかり楽しんで頂けているのは、私もとてもうれしいです。では。あ、そうそう、お二人とも素敵な髪の色をしてらっしゃいますね。お美しいです」
「ありがとうございます」
「ありがと、ござます」

黒鶴が離れると、カミュお嬢様は途端に小さくなって静かにお食事を始められます。
いう事を聞いて下さっているのは有難いですが、あまりにも……
その後、カミュお嬢様は、スープやパンをちびちびと食べ始め、ほとんど言葉を発さなくなってしまいました。

その変化は勿論、どの執事も把握しています。
というより、物凄くお元気で笑顔が印象的で、場を自然と明るくされる方だったので、ホール内の皆さんが気にかけていらっしゃるようです。
そういう意味では、本当にここは素敵な場所だと思います。

そして、黒鶴が私の元に。

「白銀、すみませんが、あちらの」
「ええ、行きましょう」
「私の発言が原因だと思います。男性からの注意が苦手なのでしょうか」
「そのあたりも含め、ちょっとお話してきます。ジジイだと話しやすいでしょうし、お任せください」

私は、黒鶴の指示を受け取り、カミュお嬢様の元へ向かいます。
その間も、未夜お嬢様や朝日お嬢様、真昼お嬢様、紫苑や緋田、そして、千金楽や南さんの、いえ、皆様の視線を感じます。

期待されている。

そういうことなんでしょう。

私は、今まで自分に期待されていると思ったことがほとんどありませんでした。

ただのジジイは、ただ大人しく出来ることをやるだけだと。

ですが、

南さんに必要とされ、

千金楽たちに鍛えられ、

未夜お嬢様に励まされ、

朝日お嬢様と共に成長し、

真昼お嬢様と正午さんを繋げ、

小鳥さんに力になると伝え、

私は、もう少し、私自身を今まで頑張ってきた自分を認めてあげてもいいのだと思うようになりました。

そして、そうすることでそうなることで、烏滸がましくも周りの誰かを幸せにしたいと欲張るようになってしまいました。

でも、これは、きっと、いえ、少なくとも私にとって有難いことです。

だから、私は、前に進み、手を差し伸べます。

「あ」

目の前のカミュお嬢様が、私を見上げます。その目は弱弱しく。

「カミュお嬢様」

私が、なんとかしてあげたい。

「Ça vous plaît ?」
「……え?」

一瞬の沈黙。

そして、カミュお嬢様は、

「ぷ……あは、あははは。白銀、発音すご。あははは」

笑って下さいました。

「え? え? カミュ、今のはもしかして」

レカお嬢様が、戸惑ったようにカミュお嬢様に尋ねます。

「フランス語ー。えー、白銀じーちゃん、なんで分かったの? フランス人のダブルって」
「途中から緊張されてたのか、マナーがフレンチでしたし。くしゃみとか。まあ、勘です」
「めっちゃいい発音」
「昔、フランスにいたおばあさんに教えられまして……」
「白銀じーちゃんのばーちゃん、あはは」

先程迄のじっとりとした空気は霧散し、明るいふんわりと空気が広がります。

「千金楽さん、白銀、フランス語」
「アイツのチートスキルリストに入れとけ、英語の次はフランス語、多分あと四、五か国はいけるぞ。もう気にするな」

遠くで千金楽と緋田が何か話しているようですが、流石にジジイには聞こえません。
こっちを見ながら、何を話しているんだか。

「発音、大丈夫でした?」
「普通にうますぎ、聞き取れた。あのね、大変おいしゅうございますのでじっくりいただいてるでございます」
「カミュお嬢様はもう少し日本語の勉強が必要かもしれませんね」
「じーちゃんが教えてー。パパはお仕事でいないし、ママンもちょっと下手だから」
「その髪色はお母様の?」
「……うん。あのね、この前ね、じーちゃんのお店行ったの……。じーちゃん、ウチの髪とか気にせずに話しかけてくれるから。 そしたらね、なんかおにーさんがわた、私の……かみ」

カミュお嬢様は、そこで言葉を区切ると、急に泣き出してしまいました。
ハンカチをお渡ししていると、レカお嬢様がこちらを向いて話しかけてこられます。

「ごめんなさい。あの、わたし、代わりに喋るね。カルムにね、行ったんですけど、そこのお兄さんが、カミュの髪の色馬鹿にして、結構カミュ引きづってて……」
「そうでしたか。素敵な色ですよ。夕暮れから夜に変わるようなロマンチックな色です」
「うぅう~、じーちゃーん! わたし、名前みんなと違うし、色も違うし、でも、そしたら、麗華ちゃんがあんな色にしてくれるし、あの、あの、やさしい~!」
「しゃべってること、メチャクチャなんですけど。てか、髪の色だけで決めつける人間の方が頭化石だし。国際化社会なめんなって話っしょ。自分と違うもんハブって調子こいて鎖国乙って感じよ。黒船にビビってチビれ」
「うわーん、わけわからん~、でも、なんかいい事言ってる気がしてありがと~」

カミュお嬢様がレカお嬢様に抱きつき泣いていると、周りの皆様も仲の良い二人をほほえましく見守って下さっていました。

そして、少し落ち着いたころに、再びお話を聞いているとカルムの現状が明らかになりました。

「てか、マジカルム最近ヤバいですよ。悪そうなおにーさんがずっと群れてて」
「うん、マジやば」
「学生さんですか?」
「うーん、見た感じ。高校生も大学生も私服もいた気がしますね。ウチの制服もいたんで、めんどい事にならなきゃいいんだけど……」
「そうでしたか……」

カルムの状況はどんどん悪化しているようです。

「白銀」

未夜お嬢様が後ろから声を掛けられます。

「どうされました? 未夜お嬢様」

未夜お嬢様は、私の問いかけに答えず、私の顔を引き寄せじいっと見つめていらっしゃいます。

「白銀、糸が凄く絡まり始めてる。ほとんどが良い糸だけど、全部じゃないわ。モテ期だからかな、色んなものが絡まってきてる。気を付けて。白銀なら大丈夫だろうけど。でも、心配はしちゃうから」

両手を私の頬に添えながら、未夜お嬢様は困ったように笑っていました。

「アドバイスできるとすれば、絡まった糸は悪い事だけじゃない。例えば、織物が出来たり、強くなったり、それには、糸を信じて欲しい」

信じてほしい。
未夜お嬢様の言葉は、いつも私に刺さります。

「白銀、心に刻んでおきます」
「よろしく、それと……」

未夜お嬢様はひょいと私の後ろを覗き込みます。

「ねえ、あなたたち、私と連絡先交換しない? お礼は、ただで一回占ってあげるから」
「え!? マ!?」
「お姉さん、未夜さんですよね? いいんですか?」
「占いで私にもメリットがあるってでてるから」
「するするー!」
「カミュ……分かりました。大丈夫だと思いますけど」
「情報漏洩は占い師失格よ」
「分かりました。えっと、曽田麗華そだ れいかです。こっちは、萩原神夕はぎわら かみーゆ

そう言うと、三人はスマホを触り始めました。LIN○交換というヤツですね。覚えました。

「そっちのあなたたちも」

未夜お嬢様が振り返ると、真昼お嬢様が顔を真っ赤にして、それを止めようと朝日お嬢様が追ってこちらに来られていました。

「え? い、いや、その前に、さっき、き、キスを」
「してないわ。ちょっと占ってただけ」

今日の真昼お嬢様は、やたらキスと勘違いされます。お疲れなのでしょうか。

「連絡先、交換しない?」
「え? わ、私達も、ですか?」
「みんなで白銀情報を共有しない?」
「……ほかの人に教えたりしないこと、勝手にメンバー増やさないこと」
「いいわよ」
「あ、日中さんがいいなら。じゃ、じゃあ、わたしも」

未夜お嬢様の不思議な魅力なんでしょうか。皆さん、不思議と簡単に連絡交換されます。
個人情報に対してガードが緩いのはやはり若さでしょうか。ジジイは心配です。

「白銀と仲良さそうだし、ちょっとね。誰にでもほいほいと教えたりしないわ」

心配な表情が出ていたのでしょうか真昼お嬢様に指摘されます。
ちょっとねとは?

「一つだけ、お願いがあるの」

連絡先交換を終えて、未夜お嬢様が皆さんを見回し、口を開きます。

「もし白銀が困ってたら、力をかしてくれる?」
「もち!」
「ええ、カミュと一緒です」
「私、恩知らずじゃないんで、弟の分もまとめて返します」
「あ、はい! がんばります!」

有難いことです。
未夜お嬢様の占い通りであれば、もしかしたら、お嬢様達も巻き込むことになるのでしょうか。
ならば、私は、

私は、

私は、誰もが笑顔でいられるよう持てる力を振り絞り、全力で戦うだけです。

笑顔で談笑を始めるお嬢様達を後にし、私はキッチンへ向かいます。
緋田が笑顔で迎えてくれます。

「し、白銀、凄かったです! なんでフランス語を!?」
「国によってマナーが違いますし、言葉の節々から」
「でもさ、その予測が違ってたらどうするつもりだったんだ?」

千金楽がにやにやしながら小突いてきます。

「その時は、恰好つけたジジイが赤っ恥を掻いただけですよ」

そう。それで少しでも笑いに変えられるならそれでいい。
お嬢様の笑顔に比べれば、ジジイの恥なんて安いものです。
緋田は何故か感動した様子で、気合を入れてホールに戻っていきました。

「しかしまあ、あの色、地毛だったか。結構派手な色で大変だろうなあ」
「千金楽さんと同じですよね?」

そう言うと千金楽さんは驚いたように振り返ります。

「……なんで分かった?」
「勘です。まあ、節々の行動とかでなんとなく。瞳も多分違いますよね」
「カラコン」
「からこん」
「辛いこんにゃくじゃないですよ、おじいちゃん」
「それくらいは分かります」
「カラーコンタクト。色付きのコンタクトレンズだな。まあ、俺の学生時代はもっとこういうのに理解なかったし……あと」
「あと?」
「……モテすぎて困るから」
「そうでしたか」
「見たい?」
「いえ、別に」

そのあと凄く千金楽さんが見たいか聞いてきてとても『ウザかった』です。

「ああ、そうそう。なんで、黒鶴が注意してテンション下がったかがまだ謎なんだけど」
「ああ……あの、お嬢様曰く、学校の生活指導のおっさんが黒鶴にそっくりだそうで……怖かったみたいです」
「ぷ」
「これ、どう黒鶴に伝えましょう。結構黒鶴こういうのショック受けるタイプですよね」
「知らね」
「ちょっと、先生?」
「お前はもう生徒ではない。チートが過ぎるのじゃ」

その後、出来るだけ傷つかないように黒鶴にお伝えすると、黒鶴は何度も俯いて眼鏡をなおしていました。そして、みんなは声をあげて笑っていました。


【GARDEN】。私が辿り着いた素晴らしい居場所。

そして、カルム。取り戻したい小鳥さんの居場所。

これから何が起きるのか分かりませんが、私は、

「On n'a qu'une vie. 出来ることを誠心誠意やるだけです」

皆様の笑顔を守る為、心の中で誓いを立て、また明日にのぞむことにしましょう。
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