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楽屋にて~蒼&海里~
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「入るよ!」
勢いよく、楽屋のドアが開く。
楽屋にノックもせずに入ってくるな……。
「海里、せめてノックはして……」
「めちゃめちゃ怒られたんだけど!奏くんのせいで!」
早足で勝手に入ってきて、楽屋の椅子に座る。
「いや、それは山中さんとのことをベラベラ喋った海里のせいだろ?なんで奏が怒られないといけないんだよ」
もう、めんどくさいから帰って欲しい。
「当分、えっちしないって……」
「は?」
知らん。
「タロが……当分えっちしないって……」
だから、知らん!
さっきまでの勢いから一転、めちゃめちゃ凹んでいる。
目の前の机に突っ伏した。
「毎回、強引なことしてると嫌われるよ?ちゃんと山中さんの意見も聞いてさぁ。優しくしてあげないと」
「……タロはちょっと強引な方が好きなんだよ。自分に自信がないから、求められてる感じが安心するんだって。なんで自信がないんだろ?あんなに可愛いのに!だから危機感もなくてさー。僕が囲いこみたくなるの分かるでしょ?そっちは番にしてるから安心なのかもしれないけど」
……分かる。
俺は何度も頷く。
「山中さんは知らないけど、奏だってそうだよ。全然危機感ない。番になって、余計に危機感なくなったよ!今までの引きこもりで良かったのに、ちょっと外に出だしてさ……。いや、αにヒートフェロモン出ないだけで、あれだけ可愛いんだから、普通に襲われるだろ!匂いなんかなくても、俺なら間違いなく襲う」
ん?海里が身体を起こすと、ガシッと俺の手を握ってきた。
「やっぱり、運命の番だね!めちゃめちゃ分かりあえる~」
握った手をぶんぶん上下に振られる。
俺はドアの方をちらっと見ながら、知らねぇよ、と思った。
「あぁ、そうだ。奏が海里が書いた絵本の挿し絵を描くって張りきってたよ。すごいイイ話なんだって?」
海里は満面の笑みを浮かべた。
「ありがと。アレさ、二人の子供に書いたんだよ」
「二人の子供って、俺と奏の?まだ出来てないけど」
どういうことだ?
いずれは、と思ってるけど、まだ子供を作るつもりはない。
海里は天井を見上げながら、ぼそぼそと話し出した。
「僕とタロには子供ができない。そもそも僕は、自分の血を残すつもりがないんだけど、タロは違うだろ?でも、僕はタロを離せない。子供が欲しいって言われても、それは叶えてあげられないし、他の誰かと、を許すつもりもない。だから、タロにも二人の子供に関わらせてあげたいと思ってる。僕が書いて奏くんが絵を描いた本をタロが読んであげるって、良くない?内容もさ、実はラブレターなんだよね」
海里がこちらを見ると、幸せそうに微笑む。
「少年と猫なんだけど、種族が違っても通う想いがテーマだ。それは、Ωとαでも、Ωとβでもいい。僕はさ、いずれタロは可愛い誰かと幸せになるんだろうなって、ずっと思ってる」
「海里、それは……」
「でもね、僕はそれでも今、側にいたいんだ。遠くから、尊敬される作家先生としてさ、ずーっとタロの側にいるよりも、近くでタロの体温を感じたい。そんな想いも込めたんだ。もちろん、二人の子供には冒険物語として読んでもらっていいんだけどね」
えへへと笑う海里に、俺はため息をつきつつ、入り口を指差した。
「それは本人に言ったらいいんじゃないの?」
「へ?」
海里が俺の指差した入り口を見ると、扉の磨りガラスに黒髪のシルエットがある。
「え……タロ?」
トントンと部屋をノックする音……いや、山中さん律儀すぎだろ……。
「どうぞ」
顔が涙でぐしゃぐしゃの山中さんが「失礼します」と入ってきた。
「あの、もうインタビュー分の収録確認終わったので、才谷先生はお帰り頂いても大丈夫ですとお伝えしようと思って……立ち聞きしたかった訳ではないん……です……けど!何で、俺が知らない誰かと幸せになるんですか!俺は……海里さんだけ……って、どうしたら信じて……」
「タロ!」
海里が山中さんを抱き締めてる。
「ごめんね。泣かないで……僕が不安なだけなんだ……タロを信じてない訳じゃないんだよ……」
「だって!」
「僕にはタロだけ。それだけは絶対だから」
抱き締めながら、こめかみや頬にキスの雨を降らせてる。
いや、俺、いるんだけど?
俺の楽屋だし。
「俺にも海里さんだけです。あんなこと、言って欲しくない!」
「うん……ごめんね。でも、ちゃんと少年と猫はずっと一緒にいたよ。僕たちも、そうなりたいって思ったから書いたんだ」
「そう、なるんですっ。なりたいじゃ……いやだっ……」
「うん……」
いや、何、熱烈なキスしてる?
俺の存在、何?
「……あの、帰ってやってもらえる?」
「あっ、すみません!俺っ……」
「ちょっとー!雰囲気壊さないでよね!」
またうるさい。
「もう、山中さん、海里終わりなら一緒に帰ってもらっていいですか?編集長には、また海里がワガママ言ったって伝えておくので」
「でもっ」
「その方が助かります。山中さん帰るまで、海里も帰らないと思うので。俺のモチベーション下がるんで」
なかなか申し訳ないと帰らない山中さんを説き伏せて海里と一緒に消えてもらった。
どうせ、帰ったらやりまくるに決まってる。
帰り際の海里は、完全に雄の顔してたし。
これで、奏のせいだってごちゃごちゃ言わなくなっただろ。
「そろそろ、収録お願いしまーす」
楽屋に声がかかる。
休んだ気がしない。むしろ、疲れた。
はぁ……俺も早く帰りたい。
海里のこと言ったら、奏も俺に迷惑かけたって優しくしてくれるかなー?
子供かぁ……奏に似てるならすぐにでも欲しいけど、俺に似たら奏の奪い合いだな……。
少し先の未来を想像しつつ、俺は収録に臨んだ。
勢いよく、楽屋のドアが開く。
楽屋にノックもせずに入ってくるな……。
「海里、せめてノックはして……」
「めちゃめちゃ怒られたんだけど!奏くんのせいで!」
早足で勝手に入ってきて、楽屋の椅子に座る。
「いや、それは山中さんとのことをベラベラ喋った海里のせいだろ?なんで奏が怒られないといけないんだよ」
もう、めんどくさいから帰って欲しい。
「当分、えっちしないって……」
「は?」
知らん。
「タロが……当分えっちしないって……」
だから、知らん!
さっきまでの勢いから一転、めちゃめちゃ凹んでいる。
目の前の机に突っ伏した。
「毎回、強引なことしてると嫌われるよ?ちゃんと山中さんの意見も聞いてさぁ。優しくしてあげないと」
「……タロはちょっと強引な方が好きなんだよ。自分に自信がないから、求められてる感じが安心するんだって。なんで自信がないんだろ?あんなに可愛いのに!だから危機感もなくてさー。僕が囲いこみたくなるの分かるでしょ?そっちは番にしてるから安心なのかもしれないけど」
……分かる。
俺は何度も頷く。
「山中さんは知らないけど、奏だってそうだよ。全然危機感ない。番になって、余計に危機感なくなったよ!今までの引きこもりで良かったのに、ちょっと外に出だしてさ……。いや、αにヒートフェロモン出ないだけで、あれだけ可愛いんだから、普通に襲われるだろ!匂いなんかなくても、俺なら間違いなく襲う」
ん?海里が身体を起こすと、ガシッと俺の手を握ってきた。
「やっぱり、運命の番だね!めちゃめちゃ分かりあえる~」
握った手をぶんぶん上下に振られる。
俺はドアの方をちらっと見ながら、知らねぇよ、と思った。
「あぁ、そうだ。奏が海里が書いた絵本の挿し絵を描くって張りきってたよ。すごいイイ話なんだって?」
海里は満面の笑みを浮かべた。
「ありがと。アレさ、二人の子供に書いたんだよ」
「二人の子供って、俺と奏の?まだ出来てないけど」
どういうことだ?
いずれは、と思ってるけど、まだ子供を作るつもりはない。
海里は天井を見上げながら、ぼそぼそと話し出した。
「僕とタロには子供ができない。そもそも僕は、自分の血を残すつもりがないんだけど、タロは違うだろ?でも、僕はタロを離せない。子供が欲しいって言われても、それは叶えてあげられないし、他の誰かと、を許すつもりもない。だから、タロにも二人の子供に関わらせてあげたいと思ってる。僕が書いて奏くんが絵を描いた本をタロが読んであげるって、良くない?内容もさ、実はラブレターなんだよね」
海里がこちらを見ると、幸せそうに微笑む。
「少年と猫なんだけど、種族が違っても通う想いがテーマだ。それは、Ωとαでも、Ωとβでもいい。僕はさ、いずれタロは可愛い誰かと幸せになるんだろうなって、ずっと思ってる」
「海里、それは……」
「でもね、僕はそれでも今、側にいたいんだ。遠くから、尊敬される作家先生としてさ、ずーっとタロの側にいるよりも、近くでタロの体温を感じたい。そんな想いも込めたんだ。もちろん、二人の子供には冒険物語として読んでもらっていいんだけどね」
えへへと笑う海里に、俺はため息をつきつつ、入り口を指差した。
「それは本人に言ったらいいんじゃないの?」
「へ?」
海里が俺の指差した入り口を見ると、扉の磨りガラスに黒髪のシルエットがある。
「え……タロ?」
トントンと部屋をノックする音……いや、山中さん律儀すぎだろ……。
「どうぞ」
顔が涙でぐしゃぐしゃの山中さんが「失礼します」と入ってきた。
「あの、もうインタビュー分の収録確認終わったので、才谷先生はお帰り頂いても大丈夫ですとお伝えしようと思って……立ち聞きしたかった訳ではないん……です……けど!何で、俺が知らない誰かと幸せになるんですか!俺は……海里さんだけ……って、どうしたら信じて……」
「タロ!」
海里が山中さんを抱き締めてる。
「ごめんね。泣かないで……僕が不安なだけなんだ……タロを信じてない訳じゃないんだよ……」
「だって!」
「僕にはタロだけ。それだけは絶対だから」
抱き締めながら、こめかみや頬にキスの雨を降らせてる。
いや、俺、いるんだけど?
俺の楽屋だし。
「俺にも海里さんだけです。あんなこと、言って欲しくない!」
「うん……ごめんね。でも、ちゃんと少年と猫はずっと一緒にいたよ。僕たちも、そうなりたいって思ったから書いたんだ」
「そう、なるんですっ。なりたいじゃ……いやだっ……」
「うん……」
いや、何、熱烈なキスしてる?
俺の存在、何?
「……あの、帰ってやってもらえる?」
「あっ、すみません!俺っ……」
「ちょっとー!雰囲気壊さないでよね!」
またうるさい。
「もう、山中さん、海里終わりなら一緒に帰ってもらっていいですか?編集長には、また海里がワガママ言ったって伝えておくので」
「でもっ」
「その方が助かります。山中さん帰るまで、海里も帰らないと思うので。俺のモチベーション下がるんで」
なかなか申し訳ないと帰らない山中さんを説き伏せて海里と一緒に消えてもらった。
どうせ、帰ったらやりまくるに決まってる。
帰り際の海里は、完全に雄の顔してたし。
これで、奏のせいだってごちゃごちゃ言わなくなっただろ。
「そろそろ、収録お願いしまーす」
楽屋に声がかかる。
休んだ気がしない。むしろ、疲れた。
はぁ……俺も早く帰りたい。
海里のこと言ったら、奏も俺に迷惑かけたって優しくしてくれるかなー?
子供かぁ……奏に似てるならすぐにでも欲しいけど、俺に似たら奏の奪い合いだな……。
少し先の未来を想像しつつ、俺は収録に臨んだ。
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