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69 悲しい三日月※
しおりを挟む至近距離――まだ動かぬ俺、とろりと蕩けた表情のユンファ様と片手、指を絡めて繋ぎ…もう片手は、彼の顔に張り付く髪を避け、撫で…接吻をしつつ。
「…ユンファ様…、もう痛くはありませぬか…? …」
「…ん…♡ は、ソンジュさ、…んん…♡」
「……ふふ…、……なんて可愛い顔を……」
「…ん、…ソンジュ様…? あの喋らせ、…んむ…♡」
「……ふっ…、…」
会話をしつつ、しばし接吻を交わして馴染むのを待つ。
…すると痛みが軽減する――そればかりか、ナカを擦る俺のモノの感触がより善く感じられるようになる、そうだ。
「…はぁ…ソンジュ様、僕、もう痛くはありませ、…んっ♡」
「……クク…」
あむり。――あむあむ。
…舌を差し込むと、結局ユンファ様はその桃の味がする舌をそろそろ絡めてくる。くちゅくちゅとほんの僅かな瑞々しい音、動いてほしそうに揺れ始めた腰。
ちろ、ちろ、とユンファ様の厚い下唇を舌先で擽っていると、――彼は切なく目を潤ませ、俺のことをじっと物欲しそうに見上げてくる。
「……はぁ…、そ、ソンジュ様…ぁ…あの、はしたなくも……」
「…なんでしょう…?」
「……ぉ、奥、が…うずうずするのです…。貴方様の、大きなものが、触れているから…、もっと…奥に、触れて欲しくて……」
恥ずかしそうながら、くす、と笑ってそう言うユンファ様は「はしたないながら…」と――もどかしそうに腰を浮かせてみたり、くねらせてみたり。…はぁ、はぁ…とあえかに息を乱し、ユンファ様はとろり…切なげな薄目で俺を見上げると。
「…もっと…僕の奥に、貴方様を、下さい……」
「……可愛い…、はは……」
よし。…もどかしく、切なくなってきたなら、そろそろ頃合いか――。
こつ、と子壺の口を軽く突けば、「ぁんっ…♡」とびくり、ユンファ様は余りにも可愛らしい反応をする。
とはいえ、このことがあわや外に知られぬように、という意識が彼にもあるのかもしれない――。
「……ッ♡ ふ…♡ …ッ♡ は、♡ ソンジュ様……」
ぬちぬちと浅くも、速く腰を動かす俺は、本能に目を潤ませ、全身に汗をかいている。――そんな俺にしがみつき、必死に声を堪えているユンファ様は、…ほとんど湿った吐息の声で、俺の名を何度も呼ぶ。「ソンジュ様、ソンジュ様、…ソンジュ様…」と――。
はぁ、はぁ、と吐息だけをもらし、声が出そうになれば彼は、ん、と口を閉ざす。
「…っお、お慕いしております、ソンジュ様、…ぁ、♡ はあぁだめ…♡ きもちいい…♡」
「……っは、…っ、…ユンファ様……」
俺はその人の、半開きになった唇に噛み付いた。
むっちりと柔らかくハリのある唇を荒く食み、下腹部にこみ上げてくる本能に従う俺の腰の動き――下から、ぬちゅぬちゅとほんの僅かながらも音が立つ。
俺に口を塞がれているユンファ様は、んん、ん、と必死に声を抑え、しかし、気持ち良いか――腰の裏を軽く浮かせると、きゅーっとナカを締めてくる。
口を離せば、ぎゅうっと俺にしがみつき――泣いているように震えた吐息を、は、は、ともらしている彼。
「…っ貴方様が…好き、…好きです、愛してる……」
「…ユンファ様、……ユンファ…俺も愛してる、…」
「……あぁぁ…♡♡♡ ソンジュさまぁ、一番好き…、ソンジュさま……」
こきゅ…と喉を鳴らし、ユンファ様はひ、ひ、と泣いていた。――俺に体の奥を穿たれながら、俺の耳元で、彼の儚い震え声がこう言う。
「…ずっとお慕いしております…、密かに、お慕いし続けます、――僕、この夜を、絶対に忘れません、……」
「……っ!」
――俺まで涙が滲み、俺は、下唇を噛み締めた。
「……貴方が…旦那様だったら、…よかったなぁ…っ」
「……、…ユンファ、…っ」
涙が、こぼれる。
どうしたらいいのやら、どうしたら、いいのやら。
俺はあまりのことに、動きを止めてしまった。
…涙を鎮めようと必死になる俺、俺の後頭部を優しく撫でる、ユンファ様の片手。
「…はぁ、…今宵…ソンジュのものになれて、……本当に嬉しい……」
「…っユンファ、…はぁ、…ユンファ…、…」
夜明けほど残酷なものはない。
肘を着き、見たユンファ様の顔は――うす赤くなり、涙の跡をまなじりに、こめかみに柔らかく光らせ…幸せそうな笑みを浮かべたその美貌は、甘く蕩けている。
「…ソンジュ…、ありがとう…」
ユンファ様は、涙で震え、湿った声でそう言うと――俺の両頬を手のひらで包み込み――俺の濡れた下まぶたを、優しく…蝶の羽のようにやわらかく、その白い親指の腹でなでた。
「……こんなに素敵な恋が、僕にもできるなんて……」
「…っ俺もそう思います、――誰よりも愛してる、ユンファ……」
「…ソンジュ…、愛してる、大好きです、貴方が……」
俺のことを確かめるよう、ユンファ様の手指が俺の頬を、こめかみを、耳を、髪を――何度もまさぐり、撫でて、涙をこぼす。…俺が涙をこぼし、…ユンファ様もまた、その美しい薄紫色の瞳を潤ませて、また涙をこぼす。
月明かりに照らされた、うす赤くも白い、あまりにも美しい顔――三日月の如く、半分は真っ白く、もう半分は灰に翳っている。…その三日月は、悲しげに微笑むのだ。
「……ねえ、忘れてね…。ソンジュ…朝が来たら、本当に…全部忘れて……」
「…、…っ、…――。」
俺は、――…無理だ、忘れられない、
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