胡蝶の夢に耽溺す【完結】

🫎藤月 こじか 春雷🦌

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71 永久に宿れと諦める※

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「…っあ…♡ ぁ…っ♡ ぁ…っ♡ ぁ…っ♡」
 
 俺にその細腰を掴まれ、上げられ――ぱちゅぱちゅぱちゅと音が立つほど――めちゃくちゃにナカを穿たれるユンファ様は、俺に揺さぶられて顔を歪め、今もまたこてんとかぶりを振るように横を向いた。
 
「…っそ、ソンジュ、…おく、奥ばかりいや、…っあぁ…♡ だめ、変な、…あっ…♡ …~~~っ変なの、♡ 変なの、そこばかりされると、……」
 
 すすり泣くようにそうもらし、ユンファ様は枕の下の両端を握り締めている。――枕に伝う絹の黒髪、うす赤く火照った顔にもいくらか張り付き、ひと際紅潮した薔薇色の頬、血のように赤く肉厚な唇――悶絶の端正な眉、涙目の美しい目、薄紫色の瞳は、はらはらと流れるほどあふれる涙に溺れて。
 
「…ひあっあ、あ…っ♡♡♡ ソンジュ…ソンジュ、怒っているなら、…っごめんなさ…、でも僕、あぁ、♡ あっ…♡ ……ンん…っ♡♡」
 
 すっきりとした顎――快感に悶絶、切ない思いに泣いていても、あまりにも美しい顔だ。
 流れるような桜色の首筋、浮いた鎖骨――汗ばんだ胸板まで桜色に染まり、乳輪は小さくなり、それでいて粒立った乳頭はぷっくりとしたままずっと、赤らんで妖艶な色合いとなっている。
 
「…ふ、ぁぁ…♡ はぁ、はぁ…♡」
 
 ぬっちり、ぬっちりと…大きくもゆっくりとした動きにすれば、声も少なくなり――それでいて、吐息さえ上擦って艶めかしい。…俺の肺もまた、乾いてきしむ。
 ナカはすっかり熱く蕩け、ねっとりと絡み付いてくる柔らかく瑞々しい肉――たっぷりと満たされた愛の果汁は、俺のモノをふやかそうといわんばかりにあふれて、俺の茂みや恥骨、膨らみにまでとろりと絡み付いてくる。
 やや動きを速めると、可愛い声が笑う。
 
「…ぁん、ぁ…♡ ぁ…♡ あん…♡ ソンジュ、好き…はぁ…♡ はぁ……♡」
 
「…はぁ、はぁ…、…は、俺も、好きだ、ユンファ……」
 
 浮かび上がるような、小さくも赤らむ乳首――とろりと恍惚の表情を浮かべた美貌――やや浮いたあばら、折れそうに細い、この柳腰。
 ――この世の誰よりも美しい、俺の胡蝶よ。
 
 誰だったか。顔を合わせたのみの、あの美しい女?
 妻? 終生を寄り添うべき女…? これから先、俺が生き続ければ必ず、俺の人生に付き纏ってくる女。――もっと生きれば、俺はもう、あの女以外とは幸せになれぬ運命さだめ
 
 しかし霞む。――霞む、垣間見た女の白い肌が、紅を塗られた赤い唇が、…宵闇に霞んで、消えてゆく。
 
「…しあわ、せ……」
 
 俺と繋がって、ただそれだけに、その透き通った薄紫色を白いまぶたに隠し――幸せそうに微笑んでいる美青年に――どろどろに醜く溶けて、消えてゆく。…美しい女? 単に美しいとすら、もはや思わぬ。
 あの日に見つめあった、薄紫色の瞳が蜜にまみれてもっとつやつや、美しく、甘く蕩けた様を見られて――こうしてつがい合えたことを喜ぶ無垢な、誰よりも美しい胡蝶を。
 
 我が人生の幸せの形とせず――何を、この俺の幸せの在り方だとするのか。
 
 無い。もとより無い。
 俺の中に、あの妻は端から跡形も無い。
 俺にはただ、この美しい青年胡蝶しか見えていない。
 
 何が――生きて、幸せになれ…だ。
 そこに幸せは無い。――ここにしか、幸せはない。
 
「…もっとこっちへおいで、俺のてふてふ……」
 
 一旦止まり、俺が腕を立てて近くに行けば、ユンファ様は――ゆっくりと、その切れ長の美しいまぶたを持ち上げた。
 
「…ソンジュ……」――俺の名を呼び、俺の目をじっとその、艶めく薄紫色の瞳で見つめてくるユンファ様。
 

『 胡蝶のそのを見られたら――胡蝶の夢を、見られるぞ。 』
 
 
「…あぁてふてふよ、俺のてふてふ…――可愛くか弱い貴方のことを、このさき俺が、…守ってあげる…」
 
「……、…、…」
  
 泣きそうになりながら、俺はそう言った。
 …ユンファ様は目を瞠り、それでいて泣きそうな顔をした。
 
「…俺の綺麗なてふてふ、だから貴方の甘いを、ずっと見させてくれないか……」
 
「…、…、…ソンジュ…」
 
 ユンファ様は、ならぬ、と弱々しくもその顔を横に振った。――俺は泣きそうになりながら、笑った。
 
「…俺の可愛い、…誰よりも可愛いてふてふ…、貴方の、甘い桃の良い匂い、俺に、…一生、嗅がせてくれ……」
 
「……、…ソンジュ、…ソンジュ…」
 
 滲んで確かには見えないユンファ様――しかし、その声は泣き声に近く湿って、震えている。
 
「…笑っておくれ、俺のてふてふ…。くすくす可愛い貴方の声、いつもたくさん、…笑っておくれ……」
 
「……、…っ」
 
 ポタリと――ユンファ様に、俺の涙が落ちていった。
 
「…さあてふてふ、…おいでてふてふ、こっちへおいで…もうおいで、もういいんだ、…俺のそばにおいで、もう出ておいで、…俺の腕の中へ、おいで…――ひらひらか弱い蝶の羽、俺のまぶたを優しく撫ぜて、どうかそのまま蝶のそば、…俺をそのまま、永久とわに眠らせておくれ、…」
 
「……っ、…は、…ソンジュ、そんなの駄目だ……」
 
 ぼた、ぼた、と俺の涙が、どんどんと落ちてゆく。
 …胡蝶の羽に降りかかる雨のように、それでいて俺は、震えている口元を、笑みの形にしている。
 
「…俺の可愛いてふてふ…、俺には絶対に、貴方だけ…、やっと出逢えた、俺だけの愛しいてふてふ……」
 
 どうしたらこの想い、遂げられるのやら。
 …それの答えは一つだけ――二人の、死だ。
 
「…っそしたら俺は、…俺は、人生で一番幸いだ。永久とわに貴方に恋をして、次にもユンファに恋をする、…そう誓おう――永恋えいれんの誓い、ここに立てよう。…」
 
 生まれ変わった先で――幸せに想いを遂げる。…その願いを、今世の死に託すだけだ。
 そして俺はユンファ様の体を、かき抱いた。すると彼は、背中から掴んだ俺の肩の上で――はぁ…と、極楽に昇る死者のため息を吐いたのだ。
 
「…ソンジュ…、…」
 
「ユンファ、決して死にませぬ。――今宵の夢だけは、未来永劫死にませぬ」
 
 俺はおもむろに…ユンファ様のあばらを撫で下げて――細腰を撫で、…その腰の裏へと、手を差し込む。…そうして抱きすくめ、腰を振る。
 
「死にませぬ。死にませぬユンファ、…たとえこの命散ろうとも、決して死にませぬ、…っ」
 
「…ん、…ああっ♡ ……あ、♡ ソンジュ、…」
 
「…俺の子を孕めユンファ、…っ今宵の夢が生き続けるということ、――その身に宿る子で俺は、貴方に証明してみせましょう、…」
 
 ぐちゅぐちゅと硬い俺に絡まる、甘い肉。――蕩けた熱い果肉を犯し、しかしその実…その果実は喜び、俺のことを奥へと誘うよう、締まる。
 白き手が撫でるよう俺の背を抱き、また俺の肩を抱き寄せて、俺の耳元――ユンファ様の蕩けた桃の吐息が、その甲高くも小さな声が、俺の体をドロドロに溶かす。
 
「…っあ…♡ んっぁぁ…♡ ぁ、♡ ぁんだめ、♡ だ…ッ♡ ぁあ、♡ はぁ、僕、…っ変、♡ …だめ、……~~――ッ♡♡♡」

 ビクンッとユンファ様の腰が跳ねた。――彼の、じっとりと汗ばむ腰の裏を持ち上げて抱いていたからこそわかり、しかし俺は、更にねちねちと穿つ。
 
「……ん、♡ ンん、♡ あぁぁ…♡♡ らめ…らめへんなの、僕いまへんなのソンジュ、やめて…っ♡♡」
 
 するとユンファ様は混乱して舌っ足らずに、俺の背にしがみついてどうやら、必死に泣いてやめてと頭を振っている。…ぎりぎりと彼の爪が、俺の肩に突き刺さる。
 しかし…ぎゅう、ぎゅうっと緩急するユンファ様のナカ、それでいてビクビクと痙攣までして、ぐにゃぐにゃと蠢き、俺を吸い上げ――たまらない。このナカでモノを擦る快感は、より子種を誘い出すようだ。
 
「…ふ、気を遣られただけですユンファ、…さあ、俺の子を孕んでくれ、…」
 
「…へ…っ? ァ、♡ らめ…ほとに精を放ってはだめ、…っ子が、できちゃう……は、は…っほんとうにできちゃうよ…ァ、♡ …ッあ、あぁ…♡ ソンジュ、それはだめ、お願い抜いて、……」
 
「…あのジャスルに孕まされるくらいならば、俺がユンファを孕ませてやる、…その身に俺の子を宿されよユンファ、!」
 
「…んっうぁぁ…♡♡ だっだめ…っ! だめ、っだめ、だめソンジュ、…ソンジュ、ナカはだめです…っ! 本当にできちゃう、…子ができたら、ソンジュが……っ」
 
 しかし俺は、もうユンファ様を孕ませることしか頭にはなく――ただただ自分の快感だけを貪る動きを追求し、ガツンッと彼の子壺をひと際暴力的に、突き上げた。
 
「…ひァ……~~~~っ♡♡♡♡♡」
 
 するとユンファ様の腰の裏が、背が、軽く弓なりに反れ――彼の背筋がぶるぶるぶる、と震える。…また気を遣ったか、…次にビクンッ、ビクンッと腰から上が跳ねて、ぽってりとした蕾が、俺の根本に吸い付き――ちゅうぅ…と、奥へ、奥へ…子壺へと吸い込まれてゆく。
 
 ほとばしる俺の魂が――ユンファ様の魂に吸い込まれ、…注がれてゆく。
 
「……ぁ…、ぁ…だめ…だめソンジュ……だめ…抜いて、お願い、駄目だよ……」
 
「……っはぁ、…はぁ…、ユンファ…、…」
 
 絶望の表情は切なく涙をこぼし、カタカタと震えるふくよかな赤い唇に、俺は接吻を贈る。――男が魂を注ぐとき…それは、諦めによく似ているものである。
 
 
 
 
 
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