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52. ついに自由を手に入れる

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 基本、ナナミさんが量産して、魔法の収納袋に常備してるどこでも扉は、全てパーティーハウスの牢屋部屋にある、どこでも扉に繋がる事が判明した。

 そして、ナナミさんが小遣い稼ぎを生き甲斐にしてる事も。

 取り敢えず、いつでも帰れると分かれば、まだ時間もあるので、もう一度50階層に戻ってダンジョン攻略に戻る。

 でもって、50階層にもなってくると、流石の俺達も簡単には攻略出来なくなってきて、今日は52階層を攻略した所でパーティーハウスに帰る事にした。

「トト君! これは『ドラゴンズアイ』が持ってる、マールダンジョン最深到達記録の55階層を抜けるんじゃないの!」

 アマンダさんが興奮気味に聞いてくる。

「だな。ナナミさんのどこでも扉さえあれば、相当、簡単になるな。普通の冒険者バーティーは帰りの事も考えて攻略しないといけないけど、俺達は限界まで攻略して、帰りは一瞬で本拠地のパーティーハウスに戻れるし、しかもまた、同じ場所からダンジョン攻略が始められちゃうもんな!」

「これは、本当に凄い事だよ! 私、本当にトト君の妾になって、ナナミさんと妾仲間になれて良かったよ!」

 やはり、アマンダさんは、俺の妾という立ち位置が相当気に入ってるようである。
 まあ、俺的に、母親の件があるから、本妻と妾同士が仲良くやってくれてるのは、とても喜ばしい事なんだけどね。

「トト! この調子で一気に55階層まで攻略して、その次の56階層まで攻略出来たら、一度、お父さんの所に行きましょ!
 きっと、お父さんも、マールダンジョン最深到達記録を達成したら、マール王国から出る旅の許可もくれると思うし!」

 サクラ姫まで、興奮気味に話し掛けてくる。
 まあ、確かに、ナナミさんのどこでも扉の凄さを体感したら、そんな気持ちにもなっちゃうかもしれないが、あのサクラ姫を溺愛してる王様が、簡単にOKするかは疑問である。

 俺的には、多分、俺がS級冒険者になるか、マールダンジョンを完全攻略するかの二択だと思うけど、聞く事自体はタダである。

 サクラ姫がそうしたいというなら、未来の旦那としては付き合うしかないよね。
 俺は、自分の親父みたいに、頭が固い家長ではないのだ。

 そして、そんな感じでマールダンジョンの攻略する事、1週間。

 俺達は、マールダンジョン55階層のフロアーボス、レッサーデーモンを倒し、ついにマールダンジョン前人未到の56階層に、足を踏み入れたのだった。

 そして、マール冒険者ギルドに、俺達『銀のカスタネット』が56階層に到達したと報告に行くと、冒険者ギルドは大慌て!

 なんか、初めてマール冒険者ギルドのギルド長は出てくるは、今迄、マールダンジョン最深到達記録を持ってた『ドラゴンズアイ』が、冒険者ギルドに乗り込んで来て、「うそつくんじゃねー!」と、脅されたり。

 そいつを、ナナミさんが棍棒フルスイングで、ぶっ飛ばしたり。

 俺達が、本当に56階層まで到達した事を証明する為に、ギルド長とギルド職員を、どこでも扉を使って、56階層に連れて行ったりと、凄く忙しかった。

 そして、冒険者ギルドには、2000万マール払うから、56階層にどこでも扉を常設してくれと頼まれたりもして、それに関しては、31階層の俺達のパーティーハウスを経由してなら良いとOKして、しかも、一度使うのに10万マール必要と設定したりした。

 もう、こうなると、ナナミさんのニヤニヤは止まらない。
 ナナミさんは、細かい小遣い稼ぎが大好きなのだ。

 多分、『ドラゴンズアイ』は、俺達のマールダンジョン最深到達記録を抜こうと、躍起になって56階層に繋がるどこでも扉を使ってくれるであろう。

 そんな色々な厄介事を終わらせて、俺達『銀のカスタネット』は、世界に旅に出掛けても良いかと、王様に会いにいったのだった。

「お父さん! 私達『銀のカスタネット』は、ついにマールダンジョン最深到達記録の55階層を攻略して、56階層に到達しました! これだけの偉業を成し遂げれば、例え頑固なお父様であっても、私達『銀のカスタネット』の旅を邪魔しないよね!」

 サクラ姫は、無い胸を反り、鼻高々に言い放つ。

「良い! 良いぞ!ワシは『銀のカスタネット』が、国外に出る事を認めるぞ!
 但し、1週間に一度は、ワシの元に訪れて、顔を見せる事を義務付ける!
 ワシは、しっかり聞いておるからな! お主達が、どこからでもマールダンジョンにある自分達のパーティーハウスに戻れるという事を!
 つい先日も、王都にあるマール冒険者ギルドから、31階層のパーティーハウスに転移し、それから66階層に転移したと、冒険者ギルドに潜ましてる密偵が目撃したと聞いておる!」

 どうやら、王様は、俺達の行動を、冒険者ギルドに潜ませている密偵により、逐一、情報を得ていたようである。

 まあ、確かに、ナナミさんのどこでも扉があれば、どこからでも簡単に、俺達のパーティーハウスに戻ってこれてしまうのだ。

 もしかしたら、ダンジョン内でしか使えないかと思ってたのだけど、ダンジョンの外にあるマール冒険者ギルドからも使えたので、杞憂に終わった。

 王様が言うように、本当にナナミさんのどこでも扉のお陰で、旅が楽になる。
 旅の途中に、1週間に1回は顔を見せろという無茶な命令も簡単にきけちゃうからね!

 こうして、俺とサクラ姫と、『銀のカスタネット』は、足枷だったマール王国に繋がれた鎖を引きちぎる事に成功し、ついに世界への旅を始める事にしたのだ。

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