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152. ベルゼブブ攻略レイド(4)
しおりを挟むメリルが遅れていたのには、理由があった。
それは、強力な援軍を迎えに行く為。
最初会った時は、全く気付いてなかったが、彼らが纏うオーラ。そして、武器には、勇者のそれと、聖剣エクスカリバーの輝きと似た光を放っていたように感じていたのだ。
そう。聖剣エクスカリバーの輝き。それは伝説の金属アダマンタイトの輝きである。
そして、塩太郎の持つ聖剣 村正にもその輝きが見てとれた。
『何故、直ぐに気付かなかったのだ……。彼らが持つ武器は、全て白蜘蛛製で、しかもハイエンドモデル。
南の大陸では、流通してない一点物で、白蜘蛛が、最後に関わったと言われてる聖剣村正と同等の武器なのだ』
そう、彼らが持つ武器には、聖剣村正や、聖剣エクスカリバーと同じように、アダマンタイトが使われていたのである。
多分、聖剣村正のように、表面にアダマンタイトをコーティングしてあるのだろう。
そうすると、既に、白蜘蛛は、こちらの世界に居た時に、聖剣を作る技術を完成してた事になる。
では、何故、わざわざ、地球にまで行って、村正と塩太郎をこの世界に送り届けたのか?
まあ、それはただ、シロが歴女で、シロのご主人様のセドリックも歴史大好きだったから。ただ単に、自分達が幕末日本に行きたかっただけだったんだけど、メリルは、そんな理由、勿論知らない。
それから、シロ的には、自分が作った武器が、聖剣の同等の武器になるなど、ガブリエルに聖剣と勇者候補を見つけて来てくれと依頼された時点で、全く気付いてなかったし。
そして、メリルは、現地で交渉して、その聖剣同等の武器を持つ助っ人3人を連れて、遅れて戦場に登場したのだった。
「ガッハッハッハッハッ! 苦戦してるようだな!」
その男は、大剣を肩に担ぎ現れた。
茶髪の特徴的なライオンヘアーで、歴戦の勇者を思わせる頬の傷。そしてフルメイルの鎧を着込み、真っ赤な鞘に収まった大剣をスルリと抜くと、抜き身の剣には、青い炎が纏っている。
「『鷹の爪』アムルー支部団長! ラインハルト様が、わざわざ南の大陸くんだりまで、来てやったぜ!」
『鷹の爪』アムルー支部団長と名乗るその男は、雑魚は無視して、異界の悪魔に向かって、青い炎を纏う大剣を横殴りに振り抜く。
しかし、相対した異界の悪魔は、聖剣ではないと思い込み、その青い炎を纏う大剣の攻撃をマトモに受けてしまう。
ズザザザザザザーーン!!
異界の悪魔の体は横に真っ二つ。
体に燃え移った青い炎が、残った二つに割れた異界の悪魔の体を燃やし尽くす。
「エエェェェェェェーー!!」
それを見ていた、ベルゼブブ攻略レイドの参加者達は、度肝を抜かれる。
「何で、聖剣以外に、異界の悪魔が斬れる剣が存在するんだ!」
そして、続け様に、真っ白な着流しを来た細目の侍が現れて、異界の悪魔に向かって、一振。
スパン!
「今宵の白蜘蛛ver.5も、よく斬れる」
白色の着流しの背中に、赤色の糸で縫われた大蜘蛛の刺繍が、やけに特徴的なその侍は、何故か、カミナリを纏っているようにも見える自分の日本刀をマジマジ見て、光悦な表情を浮かべている。
「遅れたわね! 『鷹の爪』元副団長!そして今は、『鷹の爪』アムルー支部副団長のアナスタシアよ!」
『鷹の爪』アムルー支部副団長のアナスタシアが、まるで聖剣エクスカリバーのレプリカのような刀を持って登場した!
「おお! アナスタシア副団長ーー!」
長寿種ドワーフで、現『鷹の爪』副団長のドワーフのオッサンが、アナスタシアを見て驚いている。
「あの人が、『鷹の爪』伝説の副団長! その当時、剣神の称号をもってた団長より強かったという、あの伝説の副団長かよ!」
「唯一、『犬の尻尾』以外で、異界の悪魔を倒した事があるという伝説の!」
なんか知らんが、アナスタシアは、『鷹の爪』の中で、伝説の女剣士になっているようだ。
「ニャンだ。ケンジとアナスタシアか!」
どうやら、シロと仲が良かったというブリトニーは、ケンジとアナスタシアと知り合いらしい。
まあ、そのアナスタシアが、伝説の『鷹の爪』の副団長だとは、全く気付いてなかったようだけど。
ついでに言うと、エリスも大昔、アナスタシアと会った事があるのだが、全く覚えてない。
実をいうと400年前、『犬の肉球』の団長が聖剣エクスカリバーを手に入れた時、その場に居たのだ。
まだ、『犬の肉球』に入りたての子供で、何も分かってなかったのでお約束。
まあ、その頃は、まだ、シャンティーが加入してなかったから、忘れててもしょうがないんだけどね。
「みんな、久しぶりね!」
「アナスタシアが来たら、100人力だぜ!」
急に、『鷹の爪』の団員達が盛り上がる。
「ラインハルトと、ケンジは、塩太郎君達の援護して!
私は、こちらの世界の『鷹の爪』と、合流するわ!」
アナスタシアは、指示を出し、こちらの世界の『鷹の爪』に、1人合流したのだった。
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