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67. 親子姉妹丼

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「あの……ジミー帰っちゃったけど、いいのか?」

 なんかみんなが、ヨナンばかり褒める事に腹を立てて、ジミーは夕食会から去っていってしまった。

「いいのよ。あの子も、これからは身の振り方を少し考えるべきなんだから」

 なんか、エリザベスが、ジミーに対して冷たい。

 というか、本当の家族でない俺なんかより、本物の息子のジミーと、久しぶりに会ったんだから、色々話したかったんじゃないのか?

「確かに、ジミーはもうちょっと思いやりがあった方がいいな。スキル偏重主義というか、攻撃スキルを持って無い者を小馬鹿にし過ぎる」

 長男のセントも苦言を言う。
 確かに、ヨナンが死に戻りする前、戦争に出兵する前の最後に家族で集まった日、ジミーは、セントだけでなく、エドソンにまで、攻撃スキルLv.1なのを見下し、イキッていた。

 攻撃スキルを持ってない奴だけでなく、攻撃スキルを持ってる奴に対しても、自分より格下のスキルの奴の事を下に見る習性があるのだ。

 まあ、本当は、グラスホッパー家の中で、一番スキルがショボイのは、ジミーなのだけどね。

「何で、アイツ、弱っちいのに、あんなに偉そうなの?
 私のヨナンと比べたら、ドラゴンとミミズくらいの差があるってのよ!
 普通、ある程度、武道の心得があれば、それくらいの事分かるんじゃないの!」

 カレンは、どうやらジミーが相当嫌いなようだ。というか、カレンの性格的に生理的に受け付けないのだろう。

「ジミー兄は、良いスキルを持ってる事に、あぐらをかいて修行全くしてなかったから、弱っちいのはしょうがないよ!
 立ち居振る舞いも隙だらけだし、私から見ても大した事ないからね!」

 アン姉ちゃんも、結構、キツイ事を言う。
 確かに、ジミーとアン姉ちゃんのしごきだったら、アン姉ちゃんの方が痛かった。
 まあ、身体強化Lv.3って、もうゴリラ並だしね。

 それを考えたら、アン姉ちゃん的には、俺に対して、普通に修行をつけてただけなのかもしれない。
 未だに、自分が普通じゃないと気付いてないし……俺だけでなく、今さっき、ジミーの腕を粉砕骨折させてたし……。

 折角の久しぶりの親子の対面なのに、なんか、メッチャ変な空気が流れてる。
 これもそれも、唯一他人の俺のせい?
 まあ、ジミーのせいだと祈りたい。

「にしても、本当に、ヨナンはどうなっちゃったのよ!
 あんなに虚弱体質だったのに、あのマッコイを瞬殺だなんて!
 今でも信じられないんだけど!」

 アン姉ちゃんが、興味が有るのか前のめりで聞いてくる。

「いや、俺、元々虚弱体質じゃないから。アン姉ちゃんが、力が強いだけだからね」

「ん? 普通でしょ? お母さんともカレンとも、そんなに力は変わらないと思うけど?」

 エリザベスもカレンも、自分が人より力が強い事を自覚してると思うけど。
 これは、自分自身で気付くまでほかっとけばいいのか?
 本来なら、母親のエリザベスが教えるべきだと思うけど、エリザベスは自分がゴリラ並のパワーの持ち主という事を隠しておきたいタイプだと思うし。そもそも、ヨナンも死に戻りするまで、エリザベスがこんなに戦闘特化のゴリラだと思ってなかった。

「それから、仕送りが多くなったのもヨナンのお陰なの?」

 なんか、アン姉ちゃんが、グイグイ質問してくる。

「それは、グラスホッパー領の税収が多くなったからで、俺は関知してないから!」

 取り敢えず、本当の事を言う。そもそも、アン姉ちゃん達に仕送りを送ってるのは、多分、エリザベスだし。

「全部、ヨナン君のお陰よ! ヨナン君が大森林を開拓して、グラスホッパー商会を立ち上げて、グラスホッパー家を助けてくれたのよ!
 だから、アンも、ヨナンに足を向けて寝ちゃ駄目よ!
 一緒にベッドに入って寝るのはいいけどね!」

 また、エリザベスがおかしな事を言っている。

「何、言ってるの! お母さん!」

 まあ、アン姉ちゃんの反応が正解だよな。
 本当に、エリザベスは何を言ってるのやら。

「ん?貴族の家として当然の考えよね?
 家に、良いスキルを持ってる人の血を入れるのは当然の事よ!
 アンも、シスと一緒に、ヨナン君に貰って貰いなさい!」

 ヤバイ。ヤバ過ぎる。このエリザベスという女は、本当に手段を選ばない。
 まだ、8歳のシスに、色目を使わせて、俺の布団の中に潜り込ませたり、エリザベス自身も、俺の布団の中に入ってた事もあるし。

 どうやら、俺個人より、俺のスキルを狙ってるのがアリアリである。

 というか、この世界では、同じ家の姉妹を嫁に貰っていいのか?
 ヨナンは、元々貴族じゃないので、貴族の結婚事情を何も知らないのである。

「なんなら、私と結婚してもいいのよ?」

「イヤイヤイヤ! それは絶対に駄目でしょ! というか、重婚だから!
 俺は、これからエドソンとどんな顔をして、接しないといけないんだよ!」

 こんな感じで、楽しい夕食会は終わったのだった。
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