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177. エピローグ

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『今迄、色々、ありましたね!』

 鑑定スキルが、テンション高めに話し掛けてくる。

 俺は現在、子供達や孫達、そして、長寿種であるエリスや、リサリサ、ゴンザレスに囲まれて、ベットの上で長寿を全うしようとしてる所。

「ああ……楽しかったな……」

『ですよ! 僕も、ご主人様と一緒で、とても楽しかったです!』

「すまないな……俺が、世界樹の雫を飲んでさえ居れば、お前も、まだ生きられたというのに……」

『何言ってんですか!スキルは、ご主人様と共にあるものなんです!
 ご主人様が居ない世界なんて、つまらないんですから!
 初めて会った頃、僕、ご主人様に言いましたよね!
  僕がこの世界で、一番、ご主人様の事を思ってるんですから! そして、僕が一番、ご主人様の事を大好きなんです!
 そんな僕が、ご主人様が居ない世界で生きる事なんか、決して出来ないんです!』

 鑑定スキルは、強い口調で言う。

「だったな……」

『そうです! ご主人様の一番は、カレンさんでもシスちゃんでも、ナナちゃんでなく、僕なんですから、そこんとこ死んでも、しっかり覚えてて下さいよ!』

「ナナとお前じゃ、天秤に掛けれないんだけど……」

 俺は、死に際で、頭が上手く働いてないのか、思わず、思った事を口走ってしまう。

『チッ! 死に間際に、この仕打ちですか……死に際ぐらい、嘘でもいいですから、スキルを労って下さいよ!
 僕が、誰よりも、一番、ご主人様と一緒に居たんですよ!
 言わば、僕がご主人様と一番のパートナーなんです!
 奥さん達とS○Xする時も、僕が居るから、いつでも3P気分が味わえたでしょ!』

「ここで、下ネタ……」

 流石に、死に際だとしても、下ネタや、舌打ちには、少し引いてしまう。
 まあ、鑑定スキルも嘘が言えないので、思った事を言ってしまうのだろう。

『兎に角、僕が言いたいのは、僕が、一番のご主人様のパートナーで、一番の理解者で、一番のお嫁さんなんです!
 例え、ご主人様が大好きなナナさんであっても、お嫁さんの地位だけは、僕から奪えないんですからね!
 なにせ、ナナさんは、ご主人様の妹であって、絶対にご主人様のお嫁さんにはなれないんですから!』

「そうだな……」

 俺は、深く頷く。だけれども、鑑定スキルの話を聞きながらも、とても眠くなってきて、瞼が閉じそになってしまう。

『て! ご主人様! まだ、眠らないで下さいよ!
 僕、まだ、ご主人様と喋りたい事、たくさんあるんですから!』

「ああ……」

 俺は、鑑定スキルの言葉を聞いて、何とか目を開けようとするが、どうしても瞼を開ける事が出来ないでいる。

『ねえ! ご主人様って!』

「……」

 鑑定スキルの声は、なんとか聞こえるが、もう、俺には口を動かす僅かな力も残っていない。

『ご主人様……て、アレ……僕も、眠くなってきちゃった……』

 どうやら、鑑定スキルも、俺同様に力が出なくなってきてるようだ。
 そして、ベット囲む者達も、俺や鑑定スキルの不調を見て騒がしくなってくる。

「うえ~ん……お爺ちゃん!目を覚ましてよー!」

「主様……」

「ヨナン! 目を覚ましなさいよ! というか、アンタとうとう、私を嫁にしなかったわね! 本当に屈辱よ!」

「糞ーー! エドソンもエリザベスもヨナンも、早く逝きすぎじゃ!
 これだから、短命種は……」

 ヨナンのベットを囲む、子供達や孫達。エリスやリサリサやゴンザレスも、鑑定スキルとヨナンのやり取りを見て、鼻水をすすって泣いている。

『ご主人様……次、生まれ変わっても、必ず、僕は、ご主人様のスキルとして、何が何でも生まれ変わってみせますから……』

 鑑定スキルは、最後の力を振り絞って、なんとか喋る。
 だが、俺には、何も聞こえない。
 ただ、ただ、眠いのだ。

「……」

『絶対に……なんとか……』

「……」

『必ず……』

「……」



 俺と鑑定スキルは、揃って、プッツリと糸が切れるように事切れた。

「「うわぁーん、お爺ちゃん~!鑑定ちゃん~!」」

「主様ーー!」

「ヨナンのバカバカバカ! 私より歳下の癖に、早く死んじゃうなんて!
 だから、私のように、世界樹の雫を飲めば良かったのよ!」


 こうして、カララム王国大公ヨナン・グラスホッパーは、大好きな子供や孫、そして古い仲間に囲まれて、齢103歳。長寿を全うして、ここに永眠した。

 最後に、鑑定スキルが何かしようとしてたのは気になるとこだが……これが、ちょっとおバカで憎めない男。
 大工スキルが無ければ超絶弱い、偉大なる凡人、ヨナン・グラスホッパーの物語であった。

[完]


 ーーー


  最後まで読んで下さり、ありがとうございます。
  最後に、感想とか書いてくれたら、滅茶苦茶嬉しいです。

  そして、今日から新作を投稿しちゃいます!

  その名も、

 『引き籠もり令嬢、危うくゾンビと婚約させられそうになるが、賢者スキルを思い出し、それを良い事に、更に引き籠もりを極め、新刊を読み漁る』です!

  こちらも、引き続き読んでくれたら、作者が喜びます。


 でもって、もし続きがあったならの補足。


   ーーー


 話は、ナナとエドソンによる、カララム王国剣術祭決勝戦にまで遡る。

 結局、エドソンが、絶対にナナとは戦えないと駄々を捏ねた為、ナナが不戦勝となり、ナナが、栄えある第一回カララム王国剣術祭の勝者となった。

 決勝戦は、行われなかった訳だが、観客達は、エドソンとナナとの感動の話を聞いて大満足。
 誰もが、ナナの優勝に異議を唱える者など居なかったのだ。

 まあ、俺の可愛い妹なので、当然なんだけど。

 そして、ここからが重要。

 カララム国王で、実行委員長のアレキサンダー君が、閉会の挨拶をしようとしてる時に、その事件が起きたのだ。

 去年の、カララム王国学園剣術祭の時のように、

 そう、カララム王国に、他大陸から魔族の大群が攻めてきたのだ!



 ーーー

 ん? ここで終わり?
 そうです。ここで終わりです。
 続きは、またいつか。

    でもって、宣伝。8/27日から、
『森の精霊さんに転生したのだけど、ドラ〇エ仕様(超絶便利仕様)は、どうやら俺だけだったらしい』
   を投稿しますので、引き続き読んでくれたら嬉しいです。
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みんなの感想(190件)

arisa
2023.08.05 arisa

面白かった!!!

飼猫タマ
2023.08.05 飼猫タマ

感想ありがとうございます。
面白いって言っもらえるのが、1番嬉しいです
҉٩(*´︶`*)۶҉ ҉

解除
J2HP
2023.05.29 J2HP

面白かった
死に際に鑑定スキルさんが、何かした様なのが気になった。
もし続編があるのなら、その辺わかるのかしら?

何にしても作者様お疲れ様でした!

飼猫タマ
2023.05.29 飼猫タマ

感想ありがとうございます。
面白かったと言ってもらえて、嬉しいです。
そして、鑑定スキルの含みある言葉以外にも、まだ書いてない部分もたくさんあります。

ナナとヨナンが、実の兄妹と分かった後の、初顔合わせの場面とか。
そして、他大陸の魔族との戦い
とか。
また、書きたくなってきたら、一気に書くかもしれません
✧٩(ˊωˋ*)و✧

解除
卓也
2023.05.28 卓也

103歳って!日本人か!
冒険者世界の寿命の倍やん!
っあ!ドラゴンの血をなんぼか飲んだんだね?
最後まで、鑑定スキルって言われて可哀想

飼猫タマ
2023.05.28 飼猫タマ

感想ありがとうございます。
ですね。ドラゴンの血飲んでますね。
そして、鑑定スキルに名付けしちゃうと、受肉しちゃいそうなので、多分、ヨナンは躊躇したのでしょう
(^^;;

解除
1 / 5

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