異世界チートで世界を救った後、待っていたのは逆ハーレムでした。

異文

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混血系大公編:第二部

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 衛兵詰所に着いて、まずは様子を見ようとちょこっと顔を覗かせると、「あっ団長さん!」「うわぁ今日は三英雄お揃いで!」「所長ならいま所長室ですよ!」とあっと言う間に所長室に通されてしまった。お忙しそうなところ申し訳ない…。
「これは団長さん!今日はどういったご用向きで?」
「ちょっと所内を見学させてもらいたくて。突然来てしまってすみません」
「とんでもない!いつでも大歓迎ですよ!」
 壮年の所長さんが、愛想よく返事してくれる。私たちも傭兵稼業なんてしてるし、荒事では協力体制を敷くこともあるから、日ごろから親しくさせてもらってるのだ。私は所長さんに今日ここに来た理由を説明した。ヴァレさんはかつてウチの傭兵団と協力関係にあったフリーの傭兵で、今は各地を旅して過ごしていること。久しぶりに帝都に来てくれたので、私たちが案内しているのだと説明した。
「ヴァレンティ―ノだ。よろしく」
「おや、西の公国出身ですか?」
「わかるかい?」
「お名前で。しかし訛りのない、美しい帝国語をお話しになられる」
「母は帝国出身なんだ」
「ああ、なるほど。陛下と同じですねぇ」
 バレた?と思って一瞬ドキリとしたけれど、所長さんに他意はなさそうだったのでホッとする。ヴァレさんはシレっと「そうだね、光栄だ」なんて言ってるけど。
 ヴァレンティ―ノっていうのは、ヴァレさんのお父さんの出身国…西の公国での呼称なんだそうだ。以前にそう聞いたことがある。ヴァレンティ―ノの帝国読みがヴァレンタインっていうんだって。どちらもそんなに珍しい名前でもないし、わざわざ偽名は使用しないということになった。うっかり本当の名前呼んじゃって、不信感持たれるといけないしね。まぁ、やらかすのは主に私なんだけど…。
 とりあえず所長さんに見学の許可はもらったので、私たちは色々見て回ることにする。勝手知ったるなんとやらで、どこに何があるかはだいたい把握してるからね。行く先々で顔見知りの衛兵さんたちに声を掛けられ、それに応えつつ見て回る。
「懐かしいな。内装もほとんど変えていないんだな」
「あは、私も同じこと所長さんに言ったの。そしたら『変えられるものですか!太陽帝が利用されていた施設ですよ!可能な限り当時のままで残すよう厳命しております!』って熱弁されちゃった」
「そ、そうか…」
 所長さん、太陽帝フリークだからね。本当はすごく優秀な人だから、昇進して本部に行けるくらいらしいんだけど。ヴァレさんが使ってた施設で働きたいから現場に留まってる…なんて噂もあるんだよね。
 でも残念ながら所長さん、当の本人はちょっと引いてますよ。


 それから訓練所にも顔を出す。
 上半身裸や、薄手のシャツ一枚で汗だくになって訓練している男たちがたくさん…やだ眼福…えふんえふん。
「皆さん有事に備えてしっかり鍛えてて、素晴らしいですネー」
「……」
 そう言いながらビョルンさんの生温かい視線と、笑いを堪えているヴァレさんから目を逸らす。ちょうど目を逸らした先にいたロルフが上着を脱ごうとしていて…待て待て脱ぐな対抗すんな。
「おっ、ロルフさん!一緒に訓練していきますかい?」
 顔見知りの隊長さん(コミュ強)のモーガンさんがロルフに声を掛けてくる。たまに衛兵さん達とも協力体制を組むことがあるんだけど、この人ロルフ相手でも上手いことやってくれるので、ウチとしてもありがたい存在だ。
 そのモーガンさんの声掛けに、最初は「やらねー」とぶっきらぼうに答えたものの、なんやかんやと口車に乗せられたみたい。ぶつくさ言いつつ、鍛錬に参加しに行ってしまった。あれー?
「なにやってんの…」
「アハハッ!」
 ロルフめ、自分がヴァレさんの護衛要員だってこと忘れてない?ヴァレさんは楽しそうに笑ってるけど…まったくもう。
 呆れながら、ロルフたちの鍛錬を見守る。美しい獣のような体を惜しげもなくさらけだし(結局上半身は脱いだ)、次々と衛兵さんたちを薙ぎ倒していく。素人が見てもわかるくらい、速さ、反応、力、すべての動きが違う。時おりチラっと私に流し目をくれ、「どうだ?」と反応を伺う余裕さえある。はいはい、カッコいいですよ。
「すごいな」
 ヴァレさんが感心したような声を上げて、私はそちらに目線をやる。ロルフが強いってことかな?でもこれくらいの実力があるのはヴァレさんも承知のはず、
「ロルフが手加減できるようになっている」
「そっちかーい」
 ヴァレさんの物言いに、思わず裏拳でツッコミを入れてしまった。
「いや、手加減できるような男じゃなかったじゃないか。以前のロルフが同じことをやれば、訓練相手は間違いなく潰されていたぞ。そもそも衛兵隊員とこんなに上手く付き合いができているとは思わなかった」
「あー……まぁ、確かに?」
 あれ、そうだっけ?と一瞬思ったけど…、そうだそうだ、そうだったね。今は随分落ち着いたけど、以前のロルフは『狂狼』の名に相応しいクレイジーな男だったわ。私はすっかり今のロルフに慣れちゃったけど、ヴァレさんとはしばらく会ってなかったもんね。
「ずいぶん丸くなった。君の力だね」
「え?いや、ロルフの頑張りですよ。私はそんな…」
「いいや。お前のおかげさ」
 ビョルンが力強くそう言って、ヴァレさんがうんうんと頷く。
 私はなんだか照れくさくなって、小さくお礼を言ってまたロルフに目をやった。衛兵対ロルフの戦いは、最初は3対1だったのに相手が増えて5対1になっている。おいおい。それでも余裕そうなロルフを見て、ヴァレさんはやれやれとため息をついた。
「5対1だというのに…腕自慢の衛兵たちも、片なしだな。治安維持のため、訓練はかなり強化したはずなんだが」
 他に聞こえないように一歩近づいて、ヴァレさんがコソリと囁く。ヴァレさんたち帝国のトップ陣が、戦後一番力を注いでいたのは治安回復だったものね。腐敗が進んでいた衛兵隊を、帝国民から信頼を寄せられる組織まで回復させるのにかなり腐心したはずだ。


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