異世界チートで世界を救った後、待っていたのは逆ハーレムでした。

異文

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混血系大公編:第二部

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 5番街に建つ建物は、それ以外の地区と比べると背が低い。建てる人たちの建築技術が未熟でそもそも高く建てられないっていうのもあるし、崩れかかって低くなってしまったものもある。
 だから5番街に入って少し迷路区画(メイズセクション)に近づいた瞬間、スライムの居場所はすぐに特定できた。建物の背丈を越して蠢く、半透明の物体が目に飛び込んで来たから。
「デケェ…!!」
 ロルフが思わず声を出す。私も心の中で同じことを呟く。
 スライムは不定形生物だから、基本はお饅頭や肉まんみたいに下に行くにつれて大きくなる形状を取ることがほとんどだ。てことは、見えていない部分は相当デカいはず…!
 これは、想像の3倍くらいヤバそうな状況だ。
「迷路区画(メイズセクション)って、前に来た時なんかぐるーっと大回りしなかったっけ?!」
「違法建築や倒壊した建物、不法投棄で道が塞がれているからな。普通に歩いて向かうならここからかなり大回りする」
「ショートカットは?!」
「越えるか壊すしかないな」
 建物を越えるか、壊して道を作るか。脆そうだから、越えるにしても衝撃で建物壊しちゃうかも。
 悩んでいると、後ろからありがたいお言葉がかかる。
「どちらも許可する!」
 よし、皇帝陛下の許可いただいたぞ!!
「イス、人はいない?!」
 イスが素早く魔術を紡ぎ、ブワっと周囲に魔力を放つ。ぎゃー!ゾワゾワする!
「スライムまでの直線上に生命反応はない」
 そりゃあ生命体は、巨大スライム見てとっくに逃げ出してるよね!
「オッケー!ビョルン、やっちゃって!」
「おう!!」
 ビョルンがドンッ!と前に踏み出し、その勢いのまま身の丈近い大剣を振り下ろす。

 バガァン!!

 それからさらに一歩踏み込んで、今度は下から上に振り上げる。

 ドガァン!!

 ものすごい音と共に、建物が崩壊する。すごい、たった二振りで目の前の建物が全部壊れた!
「みんな、行くよ!」
 ビョルンが(文字通り)斬り開いた道に踏み込もうとすると、土煙の向こうからビョルンの声がする。
「足場が不安定だ!ロルフ、シャーラを!」
「あいよ」
 すぐ耳元でロルフの声が聞こえて、ふわっと体が浮かび上がる。
「うひゃあ?!」
 いつの間にか背後にいたロルフが、私を俵担ぎにしたのだ。
「エロい声出すんじゃねぇよ、勃っちまうだろ」
「なに言ってんの、バカ!」
「ヘッ、黙ってねぇと舌噛むぞ」
「ムグッ」
 急いで口を噤むと、ロルフが軽々と私を抱えたまま不安定な足場を飛び越える。
 揺れる揺れる!ちょいちょいロルフがお尻を撫でてくるけど、ツッコむ余裕はない!
 後ろ向きに担がれてるから、視界を安定させるために背後を注視する。イスもヴァレさんもひょいひょい余裕で乗り越えている。くそぅ、イスなんて魔術師のクセに、なんて身が軽いんだ。
 土煙舞う瓦礫の道を越え、開けた場所へ出る。先に抜け出ていたビョルンの隣でようやく地面に下ろしてもらい、後ろに向き直る。
 デカい。
 改めて見ても、ものすごくデカい。一体どれだけの有機物を糧にしてきたんだろう…山のような、とはさすがに言い過ぎだけれど、小さな丘くらいはある気がする。そんな饅頭型のボディの両脇からは腕のように太く長い触手が生え、主にそれを攻撃手段にしているようだ。それからなんの用途かは不明だけど、体中から無数に生えたウネウネと動く細めの触手…。
 うおおお、めっちゃキモイ。
 あんぐりと口を開けて見上げていると、瓦礫を抜けてきたヴァレさんとイスも私の傍に寄ってきた。
「これは、壮観だな」
「ヴァレさん、絶景みたいに言わないで…」
「しばらくスライム素材には困らないな」
「イス、倒してから言ってね!」
「おッ、カッツェがあそこにいるぞ」
「えっ、ビョルンどこ?」
「おー、まだ食われちゃなかったか」
「ロルフ、めっ!」
 不謹慎な台詞を吐くロルフに裏拳を食らわし、カッツェの方を注視する。
 一緒にいるのは、5番街の人たちかな?屈強な…だいぶ人相の悪い感じの人たちと協力しながら、スライムと対峙しているようだ。
「カッツェ、状況は?!」
 スライムと距離を取りつつ、カッツェに向かって声を掛ける。
「えッ?団長?!うわぁ、団長だー!助かったーーー!!」
「おいてめぇ、バカ!!」
 カッツェが大声で私を呼びながらブンブンと手を振って、隣にいたスキンヘッド男性に怒鳴られた瞬間。

 ドガァ!!!!

「おわーー!!」
 スライムの体がブルンと震えたと思うと、右の触手がムチのようにしなりカッツェのいた場所に叩きつけられた。
「カッツェ!!」
 土煙が上がり、状況が見えない。思わず悲鳴を上げると、スライムがこちらを向いた。気がした。
「シャーラ!」

 ビュオン!!

 風を切る音。
 スライムの左の触手が、まっすぐに私に向かってくる。
 音?声に反応している?避けずに敵の特徴を探る。
 ビョルンがサッと私の前に立ち、大剣で触手を薙ぎ払う。触手が分断され、切り離された先端がべちゃりと地面に落ちる。地面に落ちたスライムの一部は、本体側に戻ろうと蠢いたけれど、ビョルンが剣で叩き潰すと力を失ったように地面に広がった。先端に核はない。当たり前か。
「ロルフ、静かにカッツェの様子見てきて」
「Aye」
 ロルフが音もなく移動する。カッツェは彼に任せよう。ビョルンに守られながら観察に集中する。

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