愛しているから傍にいて

アキナヌカ

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愛しているから傍にいて(前編)

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「ふぁ~ぁ、朝か。翼、起きるよ」
「はい、直樹さま。お顔を洗って、髪を梳いて、お着替えなさいましょう」

「うん、翼が全部やって」
「直樹さま、少しずつ自分でできるように、そう練習しましょう」

「ヤダ、翼がいればそれでいいもの。翼、全部やって」
「……それではお手伝いいたします」

 俺は浅野翼あさのつばさ、一応はαで職業は乳母だ。なんで男なのに乳母なのって、乳母として雇ってもらったから乳母なのだ。俺の主人は美樹本直樹みきもとなおき、美樹本家の三男でΩである、そしてご覧のとおり身の周りのことを全くしない主人だ。俺、教育を間違えたかなと思うこともあるが、俺が長期休暇をとったりしている時にはちゃんとしているらしい、だから直樹さまは自分のことが自分でできるはずなのだ。でも、俺がいる時は全て俺任せなのだ。

「直樹さま、身支度が整いました。あちらで朝食をお召し上がりください」
「うん、翼も食べるんだよ」

「直樹さま、言っておきますが本来なら俺は使用人ですからね。一緒にご飯を食べていることは、絶対に秘密ですよ」
「いいから、翼が食べさせて」

「はい、それじゃ。まずお味噌汁を飲んで」
「今日も味噌汁が美味いな」

 直樹さまは美樹本家の三男で、やや美樹本家から放置ぎみで育った。離れをまるごと一つ与えられた代わりに使用人は俺一人なのだ、だから俺は直樹さまの世話以外に家事もしなくてはいけなかった。でもその代わりにお給料は今もびっくりするくらい良いので、俺としては直樹さまの世話と家事をするのに不満はなかった。十八歳の時に乳母になったので、俺は今年で三十六歳で直樹さまも今日十八歳になった。そうしたら食事の後に直樹さまから、凄く真剣な表情でこう言われた。

「翼、真面目な話がある」
「……はい」

 俺は直樹さまも大人になったことだし、とうとう乳母を解雇されるのかなと思っていた。ここを解雇されたら当然だが直樹さまに会えなくなるし、赤ちゃんの時から一緒にいたからそれは寂しいと思っていた。そうしたら、直樹さまはとんでもないことを言いだした。

「僕、翼と結婚するから、この婚姻届を書いて」
「え?」

「いいから翼、早く書いて、そして提出しにいくよ」
「いやいやいや、ちょっと待ってください。どうして俺たちが結婚するんです!!」

「……昨日、父さんからお見合いを薦められた。その相手が嫌だから、翼が僕と結婚して」
「なるほど分かりました、偽装結婚ですか?」

 美樹本家はこの辺りでは立派なお金持ちの家なのだ、だから俺なんて乳母を雇っているし、政略結婚を薦められても仕方がなかった。でも俺は今では直樹さまが美樹本家より大事なので、直樹さまが意に添わぬ結婚をするのは確かに止めさせたかった。

「そう思っていていい、だから翼。ほらっ、今すぐ婚姻届を書いて」
「書きますけど、よく婚姻届なんて持ってましたね」

「パソコンからダウンロードして印刷した、うん。それじゃ、しっかりと確かに翼のところを書いたね」
「でも直樹さま、これ直樹さまが本当に結婚したくなった時に、バツイチになってしまいますよ?」

「それは問題ない、僕のバツイチくらいを気にするような相手とは結婚しない」
「それなら分かりました、それじゃ学校を午前中休んで、さっさと婚姻届を出しに行きましょう」

 そうして俺と直樹さまは偽装結婚をすることになった、午前中に学校を休んで役場で書類を提出して、俺たちは一時的に本物の夫婦になった。直樹さまはそれから学校に行く車の中で運転する俺に甘えていた、俺の肩にもたれかかってクスクスと直樹さまは上機嫌で笑って言った。

「これで僕は翼の妻だ、大人って自由でいいね」
「そうですね、政略結婚なんて嫌なものです」

「翼は僕と結婚したんだから、言葉遣いも改めて」
「えっ、えっと。政略結婚なんて嫌だったよな、直樹……ですか?」

「そうそうその調子、これから頼むよ。僕の旦那さま」
「ああ、分かった。今日は誕生日だから、夕食にはケーキを出すね」

「うん、分かった」
「学校に着いたよ、また授業が終わったら迎えに来る」

 俺は直樹さまが上機嫌でいる様子を見て、政略結婚がよっぽど嫌だったんだろうなと思った、そうして俺は直樹さまを学校まで俺の車で送っていった。そして途中で買い物をして美樹本家の離れに帰ると、俺はいつもどおりに掃除をして直樹さまの夕食とケーキを作った。そういえば昼食を食べてなかったから軽くおにぎりで済ませた、直樹さまには朝作ったお弁当を持たせていたから心配なかった。そろそろ直樹さまの授業も終わるので、俺はいつも通りに車に乗ってお迎えに行った。

「迎えにきたよ、直樹」
「うん、ありがとう。翼」

 そうして俺たちは美樹本家の離れに帰ってきた、直樹さまはお誕生日でもあって上機嫌だった。俺が作る素人のケーキを嬉しそうに見てた、俺は夕食とケーキをテーブルに並べて、そしていつものように二人だけでお祝いした。美樹本家の人間は三男の直樹さまをほったらかしで、赤ん坊の頃から直樹さまの誕生日を祝うのは俺一人だった。十八歳になってもそれは変わらず、今年もやっぱり二人だけでお祝いした。

「直樹、十八歳の誕生日おめでとう」
「今年のプレゼントはなぁに?」

「うん、俺たち一応は結婚したんだから、プレゼントはこれにした」
「うわぁ、綺麗な結婚指輪だね。翼、早く僕の薬指にはめて」

「はい、サイズもぴったりだ。学校もアクセサリー禁止じゃなかったよね、改めておめでとう。直樹」
「ふふっ、嬉しい。大好きだよ、翼」

 俺は偽装とはいえ結婚をしたのだからと、急遽プレゼントを変更して直樹さまに指輪を送ることにした。プラチナの指輪で夫婦で会わせて何十万かした、でも俺は直樹さまとずっと一緒の生活でほとんどお金を使うことが無かった、だから直樹さまに似合うと俺が思う綺麗な指輪を贈った。俺自身も左手の薬指に指輪をしておいた、偽装結婚とはいえそれは不思議と俺の指に馴染んだ。

「ああ、夕食もケーキも美味しかった」
「それは良かった、直樹」

「翼、明日は休みだ。早く用事を片付けて、僕をお風呂に入れて」
「夕食の片づけをしたらそうするよ、直樹」

 そうして俺は手早く夕食の片付けをして、直樹さまと一緒にお風呂に入った。これもいつものことで俺は自分と直樹さまの髪を洗って、それから体も洗って綺麗にした。そうして二人でゆっくりと湯舟につかって体を伸ばした、ここは大きめのお風呂で二人で一緒に入っても大丈夫だった。そうしたら、直樹さまからだんだん良い匂いがし始めた。俺はこれはヒートの前兆じゃないかと思った、だから早めに直樹さまをお風呂から上げて、体を拭いて髪を乾かしてベッドに寝かせた。

「直樹、ヒートの前兆らしき匂いがする。ほらっ、抑制剤を飲まないと」
「どうして? 今日は翼との初夜だ。抑制剤なんて要らないよ、何も要らない。翼さえいれば、僕はいいんだよ」

 そう言うと直樹さまが俺をベッドに押し倒した、直樹さまの体からヒートの匂いがしてきて、俺はちょっとその良い匂いにくらくらっとした。そうして直樹さまは俺の服を脱がせ始めた、俺は訳が分からなくて抵抗した。そうしたら直樹さまが頬を膨らませて怒った、そうして俺の目の前で全裸になってしまって、ますます直樹さまからヒートの良い匂いがした。

「直樹、服を着るんだ。ヒートを起こしている、このままだと危ないだろ」
「何も危ないことはないよ、だってこれから翼とセックスするんだから」

「え? 今なんて言ったの、直樹」
「僕とセックスするんだよ、翼。だって翼はもう、僕の正式な夫なんだから」

「ええ!?」
「ねぇ早く僕の体に触って、キスしてよ。翼、早く、早く、僕とセックスして」

 そう言って直樹さまは俺に全裸のままで迫ってきた、俺は偽装結婚だから直樹さまとセックスする気はなかった。でも直樹さまのヒートの良い匂いがして、凄く良い匂いがして俺は直樹さまを抱きしめた。そうして、直樹さまにキスしようとして、ギリギリのところで俺はそれを思いとどまった。

「直樹さま!! 俺たちは偽装結婚ですよ!!」
「止めてよ、翼。直樹って呼んで、それに偽装なんかじゃない、僕たちは正式に結婚したんだ」

「一体どういうことだ、直樹!!」
「僕は翼が大好きだってこと、愛してるってこと、だから早くキスして、そうして僕を抱いて」

「そっ、そんなことできない!! うっ!! 直樹!?」
「もう翼からしてくれないなら、僕から翼にキスしてあげる」

 俺は直樹さまからキスをされた、最初はちゅっと唇を合わせる、その程度の軽いキスだった。でもやがて舌を入れる深いディープキスになって、直樹さまのヒートの匂いが俺を物凄く誘惑した。ヒートの凄く良い匂いで何も分からなくなりそうだった、直樹さまはキスの場所をだんだんと移していった。

「ふふっ、翼のものおっきい。僕に入るかな?」
「直樹さま、いや直樹。止めろ、止めるんだ!!」

 そうして俺は服を脱がされて、俺のものにも直樹さまはキスをして、口に含んで愛撫しはじめた。俺はそれを止めようとしたが、そこらじゅうが直樹さまのヒートの匂いでいっぱいで、俺は頭がくらくらっとして訳が分からなくなった。直樹さまからキスをされて口の中に残った、直樹さまの甘い唾液を感じた。俺のものを凄く気持ちよく直樹さまから愛撫されて俺は勃起してしまった、直樹さまも興奮していて足の間からとろとろと愛液が零れ落ちていた。

「早く、早く、僕を抱いてぇ、翼」
「だめ、駄目だ。それは駄目だ」

「どうして僕たちは夫婦だよ、結婚したんだから当然のことだよ」
「あれは偽装結婚で、直樹さまは、いや直樹は、うぅ、甘い匂いがして訳が分からない」

「翼、僕を抱きしめてよ。僕は寂しい、翼がそうしてくれないと寂しい」
「ああ、わかった。ははっ、大きくなったなぁ。直樹、凄く良い匂いがする」

 俺は赤ん坊の頃から大切に育てた直樹を抱きしめた、すごく良い匂いがして直樹からそれはしていて、俺はその匂いに逆らえずに直樹を抱きしめてキスをした。

「ああ、翼からの初めてのキス。僕は凄く嬉しい、やぁん。翼、僕の中を指でかき回してくれるの、ああんっ!! 気持ちが良いよ!! そこっ、そこが気持ち良い!! ああんっ!!」
「直樹、本当に気持ち良い?」

 俺は直樹を抱きしめて、直樹のお尻の中に指を入れていった。そこはもうとろとろと愛液で濡れていて、軽く愛撫するだけで指が三本入ってしまった。そして、そこをかき回すたびに直樹が甘い悲鳴を上げるので俺は興奮して、そうやって直樹の中をかき回し続けた。

「やぁ、翼。気持ち良い、気持ち良いのぉ!!」
「直樹は可愛いな、ずっと昔から可愛い」

 直樹の中をかき回して愛撫すればするほど、直樹は甘い声を上げて俺を誘惑した。直樹の吐く息まで甘いような気がした、そうして直樹の中はほぐれて愛液がまたとろりと零れた。

「うん、翼は僕のこと可愛いでしょう。だから翼のものを僕の中に入れてぇ、早く僕を犯してぇ!!」
「ああ、直樹入れるよ。直樹の匂いでくらくらする。ああ、もう限界だ!!」

 俺は直樹にキスをしながら俺のものを直樹の中に入れた、直樹は乳首を立たせて真っ赤な顔で俺のものを受け入れた。

「ひゃあん!! んん、んくっ。あっ、あああああっ!!」
「直樹、凄く可愛い。俺のものを飲み込んで、締め付けてくる!!」

 そして直樹の立っている乳首が可愛いかったから、俺はそれを舐めたり吸ったり手で触って愛撫した。その度に、直樹は甘い悲鳴を上げて俺を興奮させた。

「やぁん!! 乳首そんなにいじられたら、そこばっかり気持ち良くなっちゃう。やん!! ああっ!! ああんっ!! やぁん!! ああっ!! ああっ!!」
「直樹、それじゃ。動くぞ、直樹のこと望み通りに犯してあげる!!」

 俺は直樹の腰を逃がさないように捕まえた、そうしてから俺はなるべく直樹が気持ち良いように、俺の腰を振って直樹の体を揺さぶった。何度も、何度もそうして直樹が気持ち良いという、直樹の弱いところをみつけて、俺のもので直樹の中をこするように動いた。

「ひゃあああん!! ああっ!! ああんっ!! 気持ち良い!! 気持ち良いよ!! 翼ぁ!! 好き、大好き!! やぁぁん!! ああっ!! ああんっ!!」
「うっ、直樹の中が締めつけてくる!! 直樹、気持ち良い? 気持ち良いんだね?」

 直樹は気持ちが良いといって体をくねらせた、甘くて良い匂いがして綺麗な直樹の顔が本当に嬉しそうで、俺は夢中になって直樹に俺のものを抜き差しした。入れたり出したりするたびにぐちゅん、ぐちゅといやらしい水音がした。そして、直樹が一際大きな甘い悲鳴を上げた。

「やぁ、いっちゃう。ああっ!! ああっ!! いっちゃうよぉぉ!!」
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