黒羽の約束

猫目オテテ

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第6章 再会の影

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夜、商店街近く──

 冷たい雨が降っていた。

 街灯に照らされ、ぐったりと倒れ込んでいた“少年”の姿。
 黒い髪に濡れた前髪が貼りつき、服の下からは血が滲んでいる。

「……おい、律、ちょっと来い」

 買い物袋を提げた宗一が声を潜めて駆け寄る。
 その隣で、弟の律が眉をひそめた。

「えっ、マジで人……? 血、めっちゃ出てるじゃん!」

 宗一は迷わなかった。
 少年の脈を確かめ、すぐに抱き上げる。

「急げ、車出すぞ。……このままじゃ死ぬ」

「……兄貴、なんかおかしくない?」

「そうか?」

 それでも宗一の瞳には、どこか懐かしさと、焦りが混ざっていた。



宗一の家・診察室の裏部屋──

 夜が更けても、アルマは目を覚まさなかった。

 人の姿となった彼の胸には、まだ血の跡が残る。
 宗一は手当をしながら、どこか既視感を覚えていた。

(……黒い髪、細い身体。肌は冷たくて、熱を奪われるようで……)

(まさかな)

 そんな偶然、あるわけがない。
 けれど、どうしてもあの時のカラスと重なって見える。

 律が毛布を持ってくると、ふと兄の表情に目を留めた。

「兄貴……」

「なんだよ」

「この人……あのカラスと似てると思ってるでしょ」

 宗一は笑わなかった。
 そして、否定もしなかった。



翌朝──

 雨音が止み、淡い光が差し込む。

 ベッドの上で、アルマは目を覚ます。
 視界に映る天井が白くて、異様に遠かった。

 すぐに、見覚えのある後ろ姿が視界に入る。
 白衣の男。あたたかな背中。

(まさか……)

 宗一がアルマの方に振り返った。

「おはよう。……ようやく目、覚ましたな」

 その目に驚きはなく、むしろ懐かしさが滲んでいた。

「君……名前、あるか?」

 アルマは、声を出そうとして喉を震わせる。
 言うべきか、言わざるべきか。
 人間の中にいていい存在なのか。

 けれど宗一の言葉が、すべてを断ち切った。

「前にも……お前に、会った気がする」

 その言葉に、アルマの胸が軋んだ。

(やっぱり、会いたかったんだ。あなたに――)
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