黒羽の約束

猫目オテテ

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第13章 君を見つけた日

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放課後・図書室

 放課後の図書室。窓際の陽が傾く頃、律は黙々と資料をめくっていた。
 その隣に腰掛けているのは、ノア。

「宿題? 珍しいね、君がこんな真面目なの」

「……言っとくけど、これでも進級はしたいんだよ。お前が見てると集中できねぇけどな」

「ふふ、それは僕のせい?」

「……知らねーよ」

 横目でノアを見ると、彼の白銀の前髪が揺れていた。
 図書室の静けさの中で、律の鼓動だけが騒がしい。

 ――なんだよこの感じ。

 距離が近い。呼吸が合う。
 触れたら、壊れてしまいそうな繊細さと、惹かれていく確かな実感。

「なぁ、ノア」

「ん?」

「……お前、誰かに似てるって言われたことある?」

 ノアの表情が一瞬だけ強張ったのを、律は見逃さなかった。

「……どうして、そんなこと聞くの?」

「いや……なんとなく。夢の中で、昔お前に似た誰かに会った気がしてさ」

 ノアは笑みを浮かべたが、瞳は遠かった。

「もしかしたら、会ったことあるのかもね。どこか、別の世界で」



夜・宗一の家・屋根の上

 アルマは静かに屋根の上に座っていた。
 夜風が羽織ったパーカーを揺らす。

 ――ノア、間違いない。

 律から聞いた特徴、仕草、話し方。どれも三男そのものだった。
 兄弟の中でも、ノアは一番“自由”だった。掴みどころがなく、けれど、誰よりも賢くて、優しかった。

 そんなノアがなぜ、律に近づいているのか。
 ただの偶然では済まされない。

 アルマは小さく息を吐いた。

「……どうしてお前が、ここにいるんだ、ノア」



翌朝・登校途中

 律はいつものように自転車をこぎながら、ぽつりと呟いた。

「俺さ、恋してんのかな」

 風に紛れたその言葉は、誰にも届かなかったけれど、
 それが律にとって“初めての自覚”だった。



一方その頃・魔界・王族の聖堂跡

 ノアは魔界の隠れた聖堂跡で、ひとり祈るように目を閉じていた。

「律……」

 名を呼ぶ声は、どこか苦しげで。

「このまま君の隣にいてはいけないと、分かってるんだ。だけど、もう……引き返せる気がしない」

 ノアの指先が震えていた。
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